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ダメ人間の7時間

 エアコンが動かなくなり、近くの電気屋さんに確認に来てもらうだけなのに、部屋がひどい状態だったので、掃除を妻にしてもらった。


 その後、エアコンの取り付け工事にお願いしていた日が、前の日から雨が降るのも分かっていたので、電話して、1週間伸ばしてもらった。

当日の準備

 午前10時過ぎから、掃除をする。今日は天気が良かった。
 最初は、いつもお客さんが来るときにする手順で、1階と2階の廊下の拭き掃除をする。
 それから、トイレを掃除して、玄関をはく。

 昔から、とても整理整頓や、掃除や片付けることが苦手だった。ほぼできないと言ってよかった。

 努力が足りない、とか、出したものは仕舞えばいい、といったことは、ずっと言われていて、それができなくて、部屋もごちゃごちゃしたままだった。それには、色々なレベルがあるとは思うけれど、それでもテレビなどで見ているような汚部屋まではいかないと思っているけれど、そう思うこと自体がダメなのかもしれないとも感じている。

 そういえば、オフィスみたいな場所で働いている時は、机がどうしようもなくなったので、その時は、編集の仕事をしていて、編集部には、空いている机があったので、そこも使って、だから2カ所を使って、怒られて、謝って、昼ご飯をご馳走して、の繰り返しで乗り切ったりもしたし、その頃、机が汚い人間は仕事ができない、などとも言われていた。

 一人暮らしの時の部屋は、ひどかったけど、そのひどさに対して、あまり分かっていないところが、ダメなのだと思う。

ブラインドの掃除

 玄関を掃くのが終わってから、今度は、エアコンを取り付ける部屋の掃除になる。

 やっぱり私だけだと、掃除や整理ができなくて、部屋はひどいことになって、それがあまり気にならないから、その能力がないのだと思うから、どういう掃除をすればいいかを、妻に聞いていた。

 最初は、妻が数日前にやってくれたので、これ以上、掃除をしなくていいと思っていたので、いったんは少しもめた。だけど妻に、まだホコリが溜まっているし、喘息にも良くないし、と言われたので、ああ、そうだった、そういうことがあれば、やらないとダメだと思った。妻の喘息が悪くならないようにしないといけないのに、今までも、掃除が足りなかったと、反省する。

 今日は、ブラインドと、テレビの下あたりをキレイにしたい、と改めて妻と話をして、納得できた。

 ブラインドの掃除のために、妻は、その道具を手渡してくれた。
 柔かいゴムみたいなイボイボがついていて、それで、ホコリが取れる、と言われた。

 ブラインドには、いつも何かのチラシがつけられて、並んでいる。その掃除の道具を持って部屋に行ったら、すでに、妻がその半分くらいは取ってくれていた。だから、残りの半分のチラシなどを取って、久しぶりに何もないブラインドを見られた。

 そのブラインドは、妻が昔、仕事を辞める時に、その餞別としてもらった、という話を思い出す。
 結構大きいもので、横も縦も2メートルくらいある。
 
 最初は、ホコリがとれて、快調かと思ったが、すぐに、ホコリはうまくついてくれなくて、下に落ちてしまっていて、それを拾いつつ進めたのだけど、何度もふかないと取れなくて、これだと、ホコリが取れなくて、空気が綺麗にならない、などと焦って、それでも、その横2メートルのブラインドの一本をふくだけで意外と時間がかかる。

 掃除機も一緒に使うことにした。

 ふいて、吸って、ふいて、吸って。

 イライラしてきた。

 それで、またふいて、ホコリを取って、の繰り返しで、でも、全体のブラインドは100本くらいのはずで、まだ、10分の1も終わっていないのではないか、と思って、ふいて、ふいて、ふいて、ふいて、ふいて、だけど、全然きれいにならない。吸っても、吸っても、それほどキレイにならない。

 それでも時間は経つし、今日はエアコンの工事の日だし、畳の掃除もしないといけないし、そして、ブラインドの全体をめくったら、その裏のガラス窓のあたりも、大きくほこりが溜まっていて、ここも掃除しないといけなくて、だけど、ブラインドのほこりも取れない。

 うー、と声が出ていた。

 ふいて、ふいて、ふいて、ふいて、ふいて、ふいて、ふいて。
 吸っても。吸っても。吸っても。吸っても、吸っても。
 キレイにならない。
 道具の先の部分がいつの間にか、どこかへ飛んでいた。
 ブラインドをめくっても、ない。

 それでも、ふいて、吸って、キレイにしないといけない。
 吸って、吸って、吸って、吸って、吸って、吸って。吸って。

 たまらなくなって、わー、っと声が出ていた。

 妻が2階にあがってきて、
 「半分でいいと思ってたのに」
 と言われる。

 それで、またもめる。

 もう嫌だったけど、また吸った。

 新しく道具を持ってきて、続ける。
 ふいて、吸って、吸って、ふいて、ふいて。

 そこから、ブラインドも、畳の面も、掃除機もかけて、なんとか工事ができるくらいに整えられるまで、1時間以上かかる。

 このくらいができなくて、大声出してしまうような、ダメ人間だと、改めて分からされてしまい、そのことで、またぐったりして、自分が情けなくて、嫌になった。

 全部が終わるまで、2時間かかった。

 すごく消耗した。

エアコンの工事

 妻は先に昼ごはんを食べてくれていて、私が食べるホットサンドまで作ってくれていた。
 ありがたい。

 食べて、今度は、午後1時半頃からの工事に備える。

 少し早めにきてくれて、そして、2階にあがってもらって、ブラインドの向こうの窓を開けてもらえませんか?と言われて、焦る。

 ふだん、この部屋のブラインドは閉めたままで、あげたり、下げたりをしていない。
 それでも、あっちのヒモを引っ張り、こっちをあげての繰り返しでなんとか上げて、それから久しぶりに窓を全開にした。

 室外機の作業から始めてくれて、そして、あれこれの作業をして、その途中で、私もいろいろと様子を見て、不都合を聞いたりして、それで、取り付けは進めてくれて、3時間少しで、新しいエアコンがついた。缶のお茶だけは、出した。

 同じ電気屋さんに、この部屋にエアコンをつけてもらったのを思い出すが、それから10年以上が経っているらしい。

 今回のは、新しく、掃除の機能までついていて、ありがたい機種だった。

 その途中で、古いプリンターや、昔、義母のショートステイの時だけに使ったブラウン管のテレビとか、いろいろと引き取ってもらう話を妻にされたが、すでに気持ちがいっぱいいっぱいだったので、その話を妻にされただけで、もうダメだった。

 こういう能力は極端に低いのではなく、欠落していることを改めて分かり、ダメ人間をまた認識し、なんだか嫌になった。

 それでも工事が終わってから、電気屋の人に相談をし、プラウン菅のテレビと、今は使えなくなってしまった地デジ対応をしていない液晶テレビと、古いプリンターと、故障しているオイルヒーターも持っていってもらった。

 少しほっとした。

ダメ人間であること

 例えば、こうやって文章を書いていたりする時や、人の話を聞いているときは、それほど感じないのだけど、物事を整理したりすることは苦手を超えて、できない自覚はあったので、割と長く社会人をしているのだけど、事務作業などは極力しないで済むように工夫はしてきた。

 おかげで、恥ずかしながら、勤怠管理、という言葉自体を、つい最近まで知らなかった。

 だから、そのダメさに直面することも少なかったので、その能力も秘かに向上しているかも、などいう気持ちまであったのだけど、相変わらず、ダメなのだと思い知らされた。

 今、生活が一応できているのは、妻が、私の欠落をなんとかしてくれているからで、だから、全部が終了したのが、午後5時過ぎだったのだけど、それから、お茶をして、今日のことを謝った。謝ることないよ、と妻は言ってくれたのだけど、自分がダメ人間だと、7時間思い続けたから、やっぱり辛い一日だった。


 それでも、取り付け工事の間に読んでいた本は、面白かった。それは、またご紹介したいリンクありと思います。





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