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「不安材料の週末」。2021.6.19.

 朝は、珍しく目覚まし時計が鳴ってから、目が覚めた。
 さっきまで、あんまり眠れないと思っていたことを思い出す。

 ヒゲを剃っているときに、唇のすぐ下に、違和感があったら少し切れていた。明るい赤色の血が少し出ている。いつもならば、その位置にバンソウコウを貼るのは、変に目立つからちゅうちょするのに、マスクをするから見えない、と思うと、ためらいなく、貼っていた。

人通り

 午前8時40分頃出る。

 雨が降っている。
 1日、カサを手放せない、らしいことを、天気予報で知る。

 駅まで続く道路を歩くと、前に運動部らしい短いズボンをはいた若い男性がカサをさして歩き、その前をスーツを着た女性が歩いている。だいたい、自分も含めて5メートル間隔くらいを保ちながら、3人でほぼ同じペースで歩き続ける。

 前から、明るい色のビニールのカッパを着て、自転車に乗った二人の男子小学生が、並んで競うように、結構なスピードで走ってきて、あっという間にすれ違う。

 小さな交差点をいくつかすぎて、駅にかなり近くなったときに、後ろからカサもささない若い女性がスーツを着て走ってきて、それに刺激されたように、私の前を歩く男性も走り始め、その時に踏切の警報機が鳴り始めたから、次に来る電車に乗ろうとする動きだったとわかる。

 3人で等間隔で駅まで行くと思ったのに、と勝手に思い、今日は1000円カットの店の前も、牛丼屋にも一人もお客がいない。

 さらに歩いて、踏切が閉まっているので待っていると、さっき自分の前を歩いていた男性よりもひとまわり大きい、やはり運動部らしき男性が、エナジードリンクの缶のプルトップを引き上げ、飲み始めた頃、電車が走り去っていく。

少し開いている窓

 踏切をわたって、駅の入り口に着く。

 2台ある切符の自動販売機のうち、1台は若い女性が長く使っているから、残りの1台を使っている人が終わるのを待って、チャージをする。ちらっと横を見たら、スマホで路線図のようなものを見て、目的の駅を探していて、そこで買おうとして、時間がかかっているようだった。

 ホームに入ると、人が多い。
 それは、奥側にあるベンチのところに、さっき見た運動部らしき団体が座ったり、立ったりして、10人くらいは、そこにいるせいだった。

 それだけで、なんだか活気があるように思える。

 電車が来て、電車に乗ると、雨が降っているけれど、窓は少し開いている。コロナ禍になってから、新しくできた習慣は、すっかりなじんでいるように感じる。

 静かな車内のまま、駅を進んでいく。

不安材料

 この週末に向けて、不安材料だけが揃ってきたような気がする。

 オリンピックは、とにかくやる。

 ワクチン接種は、進んでいるといっても、自分のところに来るのはいつになるのか。職場などで行われるらしいが、組織に属していないと、あまり関係ないと思う。

 東京の感染者は、少し増加傾向にあるのに、緊急事態宣言の解除は決まったらしい。

 こういう主張が与党政治家から出るのは、不合理を通り越して、なんだか怖い。

閉まっている窓

 電車に乗って、終点に着く。
 いつものように乗り換える。

 人が多い。もう少ない人数の頃の記憶や印象はなくなっている。

 周囲が小走りで動き始めているから、その流れと一緒に自分も走る。
 改札を出て、違う改札に入って、走りながらカードをおして、少し流れを外れて、一人だけアルコール除菌をして、階段を降りたら、ギリギリ発車する電車に間に合った。

 その車両は、窓が閉まっている。
 こんなに完全に密閉されているのは久しぶりで、さっきの電車では、雨でも開いている窓が「習慣」になっているはずだったのに、そういうことではないみたいだ。

 スーツケースを足元に置いて、座席に座っている女性がいる。

ワクチン接種

 目的の駅に着いて、降りて、改札を出て、歩く。

 今日も、当たり前のように、公共の建物の入り口には、ワクチン接種の案内のボードを持っている男性が、静かに立っている。

 その建物の中には、イスが並び、座ってワクチン接種を待っている人たちが見える。

 公衆トイレに入ったら、小学生くらいの団体と一緒になる。
 
 トイレの中の一つの小便器が、どうやら微妙に詰まっているらしく、明るく高めの声が響く。

「たまっているー」。
「たまってるよ」。
「ほんとだ」。

 同じ話題でしばらく微妙な「祭り」みたいになっていて、本当に久しぶりにエネルギーの無駄遣いのような元気さや明るさに触れた。

 当たり前だけど、マスクをする習慣はついても、子供たちは、変わっていないところもあると思うと、勝手な話だけど、ちょっとホッとはする。

夕方の電車

 午後4時過ぎ。
 用事を終えて、外へ出たら、雨はやんでいた。

 一日ずっと絶え間なく降っているようなイメージがあったので、意外だった。
 だけど、あちこちに雨粒が残っている。

 また同じ駅に戻ってきて、電車に乗る。

 今度は、朝と同じ路線だったけれど、窓は少し開いている。
 
 静かな車内。

 ドアの上の小さい画面の上のスポーツニュースが流れる。
 女子ゴルフ。
 ボクシング。
 メジャーリーグ。
 日本のプロ野球。

眠り

 大きな駅で人が降りていく。

 座席はほぼいっぱい。

 若い男性が、小さい女の子をヒザに乗せ、その子は、少し上を向き、口を開けて、男性に体を預けて、完全に安心して寝ている。親子だと思う。

 こんなに信頼している姿は、なかなか見られない。

 男性は、スマホを見ながらだけど、女の子が少し傾いたら、素早く対応して、少し違う姿勢でも、変わらずしっかり保持できるように腕で支え直している。

 少し角度は変わったけれど、少し口を開けて、安心して寝ている姿は変わらない。


 ドアの上の小さな画面で、今度は一般のニュースが流れている。

 五輪、無観客が望ましい。
 56歳逮捕 スナック常連。
 河井元法相 懲役3年。
 市街地に熊。
 コロナ後遺症 調査。

 自分が降りる駅で、さっき寝ていた女の子を見たら、顔は、少し下向きになり、口を閉じていたが、すっかり安心して眠っていることに、変わりがなかった。

タトゥー

 電車を乗り換える。

 座席に、短いズボンからしっかりしたタトゥーが入っている外国人らしき男性が座っている。そういえば、さっきの電車では、いわゆる刺青の男性がいた。

 服装が、薄着になってきているから、目にする機会が増えたようだ。



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