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コロナ禍の「確定申告」。

 確定申告は、ここ何年かは毎年おこなっている。
 その書類を作るための準備や整理、計算も含めて、考えるだけで、憂うつになる。
 
 昨年から、コロナ禍という、世界を一変させる「変化」に襲われていて、それによって収入が大幅に減った場合は、フリーランスであってもサポートされる、という話も知っていた。

 だけど、2018年の年末に介護生活が突然終わり、その後、1年間は、心身を休めることを優先していたし、介護が続いていたここ20年くらいは無収入の時期も長かったし、確定申告を再開した後も、収入が低すぎて、冷静に考えると怖くなるくらいだった。

 2020年からは、コロナ禍になってしまい、感染リスクを避けるためにも、仕事を増やすことも難しくなっていたが、前年の収入が低すぎるから、そうした公的な支給を利用できる資格すらなかった。こうして書いていると、少し恥ずかしく、少し悲しい。

いつもと違う確定申告

 昨年(2020年)は、確定申告3月上旬税務署に出向いて、申告書を提出したけれど、入り口付近に並んで、机があって、いつものように署員の方に提出し、2ヶ月後くらいに還付金が振り込まれて、その頃、全国一斉休校があり、いつ申告期限が延長されたかもよく覚えていないけれど、その時に、いつもと違う感じはあまりしなかった。

 もしかしたら、マスクもビニールもしていたかどうかも記憶が定かではない。


 それと比べると、今年は、完全にいつもとは違っているのは、分かっていた。
 
 申告に関して、混雑を避けるために整理券が必要といった言葉を見て、普段と違うのは嫌でも分かって、だから、ただでさえ憂うつになりがちな確定申告の気持ちの負担は増えていた

 しかも、前もって整理券をもらうにはスマホが必要という文字も見えた。私は、携帯もスマホも持っていなかった(リンクあり)。

 書類の作成に関しては、いつもと同じように、手間ひまをかけて、時間を費やして、作業として進めるしかないのは、同じで、そして、できた時はいつもと同じで、やっとの気持ちだった。そして、同時に、4月15日まで申告期限が延ばされたのは、緊急事態宣言が出てからのはずだった。(すでに、よく覚えていない)。

整理券への緊張

 いろいろと迷って、自分の予定とも調整をして、4月中旬まで伸びたこともあって、最初は、3月中旬くらいに確定申告に行こうと思っていた。

 だけど、いつもの3月15日までに、という気持ちが自分にもどこか働いていて、だから、他の人も同じような感覚かも、と思い、3月に入ってから早めに行こうと思い直して、3月第一週に行くことにした。

 何しろ整理券をもらわなくちゃ、などというプレッシャーがあり、勝手に想像していたのは、整理券をもらえないくらい混んでいたら、行ったはいいけど、その日は帰ってこなくちゃいけなくなるのだろうか、という不安な状況だった

 行く前の日に、「税務署 整理券」で検索したら、関東地方の税務署が一括の表になっている。そして、東京都内は、全部が税務署かどうかは定かでないのだけど、入場整理券の配布状況がわかって、都内は約30ヶ所。そのほとんどが配布終了が16時になっているから、それは実質的にはギリギリでも大丈夫ということだと思った。ただ、その中でも4ヶ所くらいが、早めに終わっているのも分かった。最も早い場所は、午前9時台。その後はだいたい午前11時、午後1時、午後2時だった。

 自分が行く予定の税務署は、16時だったけど、その隣に並んでいる税務署は午前11時台だったから、なんだか意味なく焦っていた。

(入場整理券の配布状況↓)。

税務署の時間

 当日は平日で、同様にそのサイトを見てから、現在、配布中という表示を見て、午前11時前には家を出た。歩いて、いつもはあまり利用しない路線の駅まで10分ほど歩き、電車に乗って、毎年の道順で、税務署に着いた。
 
 建物の外には人がいない。
 
 玄関を入ったところに、すぐアルコール除菌のボトルがあったから、それを使って、次のドアをまた入ったら、検温機と、除菌機の両方が縦に並んでいる機械があって、そこで、頭を近づけて体温を計り、再び、アルコール除菌をした。(いらすとや のイラストが使われていた)。

 午前11時24分。

 そのすぐ隣に、申告書を提出するために列があった。
 ビニールの向こうに2人の職員がいて、手早く書類の確認をして、そしてハンコを押している。

 私より前には5人ほど待っていた。
 足元には、マークがついている。
 後ろには、すでに3人ほど並んでいた。無意識のうちに、そのマークよりも、前の人と少し距離をとっていたようで、いつの間にか、後ろから、フェイスガードをした職員から、ここまで詰めてください、と声をかけられる。

 ずっと確認作業が続いている人は、ファイルに2冊くらいの書類があるようで、こんなに大量の申告書は見たことがなかったけれど、ただ、それが本当に大量の書類なのかは分からなかったが、その人の確認作業は、結構時間がかかっていた。もしかしたら、税理士といった方かもしれない。

 提出する場所には、ビニールがあって、その向こうではマスクの署員がいる。

 一人ずつ進む。意外と時間がかかっているように思うのは、毎年に比べると、ここで並んでいる時間が少しだけ長いせいと、いつもと違う緊張感があるせいだった。

 一人が終わると、列を詰める。
 次に呼ばれる場所まで行ったところで、また職員がそばに現れて、もう少し詰めてください、と言われるが、それは、その足跡マークの間隔が、距離が少し近いような感じがしていたせいだった。

 自分が呼ばれる。
 書類を、お願いします、と提出する。
 指をさして、作業を手早くしていて、そういえば、整理券のことは一言も言われなかったし、見回しても、なかったから、一応、尋ねたら、相談の方だけで、提出だけする方はなくて、大丈夫です、みたいな話をされた。

 知らなかった。無駄に緊張していたように思った。

 ハンコを押してくれて、2ヶ月くらいお時間がかかります、と還付金について伝えてもらった。

 これで今年も終了した。
 ほっとした。
 とても長く感じたけれど、税務署に入ってから、ここまでで、だいたい10分ほどに過ぎなかった。

もやもやする気持ち

 帰りに、駅の「確定申告」のポスターを見たが、そこには、「確定申告会場への入場には整理券が必要」とあって、相談だけに必要という文字はなかった、と思う。

 国税庁のホームページのトップにもその表記は見当たらず、そこから、確定申告会場にお越しになる方へのページに行ったときにやっと、こんな文章があった。

 ■確定申告会場への入場には、「入場整理券」が必要です
 令和2年分確定申告については、確定申告会場の混雑緩和を図るため、確定申告会場への入場には、入場できる時間枠が指定された「入場整理券」が必要となります。
 なお、「入場整理券」は作成済みの申告書を提出する場合など、相談を必要としない方については取得していただく必要はありません。

 この最後の部分を、もっと広く知らせてくれれば、無駄に緊張する必要もなかったのに、と思い、とにかく今年はいつもと違うこと。密を避ける努力をさせるために、このところを広く伝えなかったのかもしれないなどと思うと、なんだかもやもやする。

 できたら、最初から知っておきたかった。でも、ここまでちゃんと調べなかったから、と言われたらそれまでだけど、でも、普通はここまで見ないけど、などと思い、やっぱりもやもやする。

生春巻きとお弁当

 それでも、やっぱり一つ作業が終わったような安堵感はあって、帰りに、隣町にできた、ちょっとこぎれいで、行きに「あ、生春巻きがある」と見ていたレストランがあったので、そのことを妻に電話をしたら、食べたい、と言ってくれた。

 その店の前で、少し迷って、スパイスカレー弁当と、妻には「からくない」という表示があるビーフシチューライス弁当にして、それぞれ生春巻きをつけてもらった。生春巻きは、いろいろな種類があった。赤なすや、あやめかぶ、鈴かぼちゃなども試したかったのだけど、初めてのお店なので、ベトナム風と、ポテサラにした。スタッフの女性は終始クールな対応だった。

 それを持って歩き、ちょっとだけカレーがもれて、それでも、まだ少し温かいくらいで家に着いた。私だけが、器を替えて、レンジで温めた。

 どれもおいしく、妻も喜んでくれた。
 うれしかった。

 少し、新しいことをするのは、やっぱりちょっと楽しい。



(他にもいろいろなことを書いています↓。よろしかったら、読んでくださったら、うれしいです)。



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