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平成生まれが令和に昭和のドラマ『金八先生』をみてみたら

先日TVerで、『3年B組金八先生』第3シリーズを見た。
とても有名なドラマで、もちろん名前は知っていたものの、見たのは初めて。
事前知識として持っていたのは次のことくらい。
①武田鉄矢さん演じる金八先生とその生徒たちを描いた作品である
②現在ではかなり有名な俳優さんたちが生徒役で出演している
③当時の世相を反映するようなテーマを扱ったことで話題となった回がある

放送当時のままお送りいたします。ご了承ください。

TVerの注記でも、「作品の時代背景およびオリジナリティを考慮し、放送当時のままお送りいたします。ご了承ください。」との文言があるとおり、現代の価値観を基準に考えると問題になりそうな描写もよく見られ、当時の雰囲気を知ることができて興味深かった。具体的には、次のような点。

喫煙シーンのオンパレード

とにかくタバコを吸いまくるので驚いた。よく昭和のオフィスで、(喫煙室などではなく)普通のフロアで吸っている描写を古いドラマで見ることがあるが、ここは教育現場やで。職員室で吸うならまだしも、生徒と会話中に吸っているシーンや、生徒の家で吸っているシーンがあってビックリした。
ちなみに、途中のシリーズからは喫煙シーンが一切なくなっているようだ。

がっつり体罰

ペナルティーとして生徒を正座させるシーンがあった。保護者も見ている前での体罰も。今では考えられないところ。

不登校に対する考え方

中学生の妊娠などを扱った他シリーズに比べると、割と穏やか目な第3シリーズではあるものの、不登校(当時は「登校拒否」)が取り上げられていた。金八先生は保健室登校となっている生徒をとにかく教室に戻そうと躍起になっている。無人とは言え、無理やり教室に入れたり、保健室の三上先生(樫山文枝さん)も、「目的は、きちんと自分の教室に返してやることですから」と発言したりする。
一方、現在は、「不登校児童生徒への支援は、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。」と文部科学省も言っており、当時とはだいぶ様相が変わっている。

ジェンダーバイアス

理科の実験について、「男女で着眼点が違う」という趣旨の発言があったり、生徒に発破をかける意味で「男だろ!」が連発されるなど、今なら炎上間違いなしのシーンが多く見られた。
一方で、職員室にて、女性の先生がお茶くみをしようとしたところ、「そんなことはしなくていい」と止めるシーンもあった。

セリフを噛んでも止めない?

これは当時の世相云々というより、ドラマの作られ方の問題なのだけれど、「あれ?今、俳優さんがセリフを噛んでない?」と思えるようなシーンが結構あった。当時のドラマをあまり見たことがないのだが、もしかして今ならNGシーンとなってしまいそうなところも、当時は採用してしまうという緩やかさがあったのだろうか?ちょっと面白かった。

このほか、「母原病」というワードが登場し、だいぶ驚いた。

一方、今に通じるところも


一方で、意外にも、今に通じるなと思える描写も多かった。「どうせ昭和の価値観ベッタリだろう」などと思っていたので、少し反省した。

新任教員の大変さ

新任教員である真野先生(石黒賢さん)が、新人は研修が多くて疲れる・・・と愚痴っているシーンがあった。この辺は今と変わらないのでは。

中間管理職は大変

金八先生が真野先生を飲みに誘うも、「ラストエンペラーを見たいから」という理由でフラれる描写があった。付き合いの悪い若手に対する愚痴みたいなものは今の時代でも定期的に話題になる気がする。本シーンで断られた金八先生はあっさりと引き下がっており、意外と柔軟なんだなと思った。

このほか、今でいう「ブラック校則」「ルッキズム問題」に通じるような描写も登場していた。



ちなみに、なんで第3シリーズだけ見たかというと、私が十五年来のファンである萩原聖人さんが生徒役で出演していたから、だった。だから正直なところ、萩原さんが出てこないシーンは倍速再生・ながら見だったのだが、山田裕子(浦明子さん)の父(前田吟さん)が亡くなるエピソードなどでは、不覚にもほろりとしてしまった。このシリーズが人気であり、長年にわたり続いた理由が分かった気がした。

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