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【映画感想】『生きる-LIVING』自分を見失った時に見て欲しい映画

黒澤明監督の「生きる」のリメイク映画
ビル・ナイ主演の『生きる-LIVING』をご紹介しようと思います。

とても素晴らしい映画でした。
特に、クォーターライフクライシスに陥り、
「人生とは?」「生きがいとは?」
と考えていた私にとって、とてもタイムリーな映画でした。
何か生きがいを探している人、何かに焦っている人にぜひ見ていただきたいです。

#ネタバレ
#ネタバレを含みます

あらすじ

1953年、第二次世界大戦後のロンドン。
市役所に勤めるウィリアムズ(ビル・ナイ)は、毎日同じ時間同じ列車同じ車両に乗り、無遅刻無欠勤で無感情に淡々と仕事をしていた。
ところがある日、医者から癌を宣告され余命半年と告げられる。
自分の人生を生きよう、と初めて仕事を欠勤して海へ向かうも、どこか満たされない。
ロンドンに戻ったあとも、家族には仕事に行くふりをしていた。
そこで偶然、元部下のマーガレット(エイミー・ルー・ウッド)を見かけ、一緒に過ごす。
天真爛漫で未来輝く彼女を羨ましく思い、ウィリアムズは「あること」を思いだす。


↓ここからネタバレを含みます ご注意ください!!!! ↓

感想

※ここからはネタバレを含みます。ご注意ください。

とても美しい映画で、号泣してしまいました。
そしてとにかくビル・ナイの淡々とした演技が素晴らしい。

人は誰しも一度は「生きるとは何か」や「生きがい」について考えると思います。
でも日々の忙しさや、目の前のことに精一杯になって、忘れてしまいがちです。
ウィリアムズ(以下、課長さん)もその1人でした。

彼は病気になり余命宣告されたことで自分の人生を見つめなおします。
私も学生時代に病気になり手術したこともあって、
自分の人生や将来について考えた経験があるので、とても共感しました。

月並みですが、「死」について考えると、
同時に「生きること」についても考えるんですよね。

そして私も就職して忙殺されるなかで、
一度は考えたはずの「生きがい」について忘れてしまっていました。
そしてクォーターライフクライシスに陥っていました。

クォーターライフクライシスとは、20代後半から30代が陥りやすい幸福の低迷期のことだ。2001年頃から浸透し始め、アメリカやイギリスでは一般的な概念として広まっている。同年代の人が自分よりも輝いて見えたり、自分らしさを見失ったりする状態を指す。

https://www.profuture.co.jp/mk/recruit/management/39512
『クォーターライフクライシスとは?意味や5つのフェーズ、対策方法を解説』2023.11.14閲覧

アラサーになり結婚ラッシュがきたり、
昇進や転職の話が友人との会話の大半を占めるようになり、
「自分だけが取り残されている」ような気持ちになったり、
「自分の人生ってこれでいいんだっけ?」と思うようになっていました。

そこでちょうど気になっていたこの映画を見たのです。
私は課長さんに自分を重ねていました。

この映画の素晴らしい点は、
ビル・ナイの演技や、当時の時代背景など色々ありますが、
この記事では2つピックアップしようと思います。

  • マーガレットの存在

  • 課長さんの手紙


マーガレットの存在

マーガレットは課長さんの部署で働いていた元部下です。
明るく天真爛漫な若い女性で、課長さんに自分の将来について語ります。

彼女は自分のキャリアに目標を持って生きていました。
そしてパフェ一つに目を輝かせます。
課長さんはそんな彼女を羨ましく、優しくも羨望の眼差しで見つめます。

きっと課長さんは人が喜ぶ顔を見るのが好きな人なんだと思います。
でなければ、残りの人生をあのまま海に行って遊んで暮らせばいいんです。
でも課長さんはそれでは満たされませんでした。

マーガレットは市役所時代に同僚ひとりひとりにあだ名をつけていて、
課長さんのことを「Mr.ゾンビ」と名付けていました。
課長さんは自分はまさにそうだったとマーガレットに言います。

そして課長さんはマーガレットに
「自分はゾンビのまま死にたくない」
という旨の告白をします。

私はこのシーンであまりの共感に大粒の涙を流していました。
私も病気になった時に、このまま何も残さずに死ぬなんて嫌だ!
と思っていました。

当時は『アンパンマンのマーチ』に本気で涙するくらい悩んでいました。

なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられない なんて
そんなのは いやだ!

作詞:やなせたかし、作曲:三木たかし

課長さんは『アンパンマンのマーチ』を思い浮かべたりはしていないでしょうが、
概ねこんなことを考えていたのだと思います。笑

そして課長さんは「やり残したこと」を思い出します。

課長さんの手紙

課長さんは児童公園の建設に奔走し、完成を見届けて亡くなります。
そして同僚のピーター(アレックス・シャープ)に手紙を残します。

公園の建設は長い人生のなかで些細なことだ。
仕事に追われるなかで、忘れてしまうかもしれない。
だが、やり遂げたということはきっと君のなかで生きていく。
壁にぶつかった時にはそれを思い出してほしい。

映画『生きる-LIVING』より要約

生きがいを忘れてしまうこともある。
でもやり遂げたことは残っていく。

忘れてしまってもいいんだ、と自分を肯定してもらったような気がして、
本当に衝撃でした。

「生きがい」を忘れずに生きることは、実は難しいことだと思います。
日々、環境は変化します。
年を追うごとに責任とプレッシャーが増え、目の前のことで手一杯になることもあります。
時には自分を犠牲にして生きなければならない時だってあります。

私は就職して仕事に追われるなかで完全に自分を見失っていました。
あんなに「生きがい」にこだわっていたのに。

それでもいいんです。
何かをしたことが大事なんです。

私は自分を肯定してもらったと同時に、
「心の拠り所にすればいいんだよ」と言ってもらった気がしました。

「自分の生きがいを探そう!」という本や映画はたくさんあります。
でも忘れることもあるよ、と肯定してくれたのはこの映画だけでした。

最後に

手紙を受け取ったピーターは、なんとマーガレットとデートしています。
課長さんを想ってくれる2人が結ばれるなんて、
なんてハッピーエンドなんでしょう。
きっと課長さんの思いは未来に託された、というメッセージなのだと思います。

私はこの映画を見て改めて「生きるとは何か?」について考えました。
今の仕事でいいのか、
本当は違うことがしたいんじゃないのか、
でも今の生活を捨てられるのか、
死ぬ前に後悔しないか、、、etc

そして自己啓発本を読んで自己分析をして、自分に向き合いました。
その結果、今noteを書いています。

私も創る側に行きたい!と思いました。
まだ私の夢は走り出したばかりです。
「生きがい」について考え直させてくれたこの映画に本当に感謝しています。

この映画は、将来に悩む人にこそ見てもらいたい作品です。
きっと、あなたの心に響くと思います。

この映画に携わってくださった全ての方に感謝しています。
こんなに素晴らしい映画を作ってくださって、ありがとうございました。


3食小麦


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