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「バレンタインショック」から3年!目的のお金の受け皿作れてますか?[2022.2月号]

ニュースレター誌面では大まかに

・バレンタインの衝撃から3年
・昔、全額損金で計上可能な金融商品があった
・全額損金=全額利益で受け取る日が来る
・お金を受け取る準備出来てますか?
・課税の繰延という考えについて

という、とある金融商品に起きた出来事、
歴史を学ぶという形で執筆させて頂きました。
今回のnote記事における内容と
ニュースレターに記載のとある金融商品と
今回の生命保険との関連性はお察し下さい。

保険業界におけるバレンタインショックとは

2019年2月に法人の生命保険ニーズが大きく変わる出来事がありました。

その当時における法人の生命保険は
・払い込む保険料は全額損金計上可能
・保障は有って無い様なもの
(保険事故の確率が極めて低い等)
・契約時に保険料を年払い可能
・保険を解約した際に戻ってくるお金は高割合

という事もあり、もっぱらの保険加入ニーズは
法人税の繰延の為に使われているものであり
企業の決算時に利益を圧縮する対策としての販売が
生命保険業界全体で加熱していました。


当時の保険は法人で税金を払った後の税引後のお金より、生命保険に加入して保険解約時に残るお金の方が多いという事。

厳密に言うと
A.法人税を支払った後の現預金
B.生命保険を解約した税引前の解約払戻金
(税務上は解約した時のお金に税金が掛かる)


A,Bを比べると
法人で生命保険に入った方が
合法的に利益を年度を跨ぐ形でプールできたと。
経営資金留保主義な日本企業には、めちゃくちゃ助かる保険だった訳です。

しかし、こういった保険商品は売り止めになり、今の法人における生命保険のニーズは節税一辺倒では無くなりました。
というより、今の法人保険税制では、この尖っていた特徴を抑制された形です。

節税保険に残された期限はどれぐらいある?

入り口では課税の繰延が合法的に出来るという事で
異様な過熱感があった節税保険ですが
デメリットが2つあると思っています。

解約払戻金の価値を据え置く事ができない
益金受け取りのタイミングを図る事が難しい

解約返戻金の価値を据え置く事ができない

生命保険の解約払戻金はレートが一定では無い。
一般的に保険商品は解約返戻金が
一定期間上昇した後、今度は下降していきます。

例えば下記の様に

前提条件:年間保険料100万円

n年目:
累計保険料100万円/累計の解約返戻金90万円 返戻率90%
n+1年目:
累計保険料200万円/累計の解約返戻金195万円 返戻率97.5%
n+2年目:
累計保険料300万円/累計の解約返戻金240万円 返戻率80%

支払った保険料に対して
解約時に戻ってくるお金の価値、占める割合が動き続ける。
つまり、解約返戻金の割合が据え置かれているものでは無いのです。

益金受け取りのタイミングを図る事が難しい

全額損金で計上できる金融商品があるとすれば、そこで貯めたお金を会社の内部留保に戻す際は全額が利益になります。
さて、ここで問題になってくるのが、戻ってくる雑収入が膨大に膨れ上がっている点です。
数年かけてお金を払い込んでいる訳ですから、今後も積み上がる。
このお金の受け取りをする時は、その年度の利益が大きなものになる可能性がありますね。

Q.利益が大きいって良い事じゃないの?
A.中小法人の利益は課税所得でもあります。
その課税所得が事業年度に幾らなのかによって、掛かってくる概ねの税率(実効税率)も変動する為、雑収入により大きな利益計上をした場合、税額が占める割合も大きくなりがちです。

これらの保険は加入後から数年で
解約払戻金のレートがどんどんと下がります。
それでも契約は動き続ける為、保険料を払い続ける限り
解約返戻金の総額は膨らみ続ける。

そして、いつ雑収入を受けるのか。
実際には益金の受け取りのタイミングを図る事が
とてもセンシティブな問題で難しいという事。

つまり、考え方によっては
期限付きで受け取らないといけないお金とも言えます。
これらを受け取る方法、準備はお済みですか。

節税や課税の繰り延べという考え方について

私個人は資金繰りとしての
節税を否定するつもりはないです。

ただ、節税は、税金が掛かるお金を
課税の入口の手前で迂回させているに過ぎないです。
これは考え方の一つですが
迂回だけで節税は完結せず、迂回したお金の価値をなるべく目減りさせない事で初めて節税と言えると私は思っています。
この迂回させたお金を財布に入れようと思えば
再びそのお金を課税の入口に立たせないといけない。
その為に課税の繰り延べと言われている訳です。
故に節税というのは奥が深いですね。

要約すると
長い間、お金の価値が据え置かれているもの
そして、繰り延べたお金の出口に置く受け皿


の2つが揃って、初めて役に立つ手段だと思っています。

ところが節税の為の手段のはずが、節税どころか
解約返戻金の推移によるお金の目減り
戻ってきた税引前のお金に対する課税による目減り

の板挟みにあう可能性がある訳ですから
コンコルド効果の様な状態にはなっていませんか?

コンコルド効果
ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。

今から節税保険の受け皿について考える

複数の企業様において
私は上記のお金の考え方をお伝えして
既にご加入済みの節税保険との上手な付き合い方をご案内してきました。
なるべくお金の目減りを防ぎながら
戻ってくる税引前のお金にもれなく受け皿を置く事が大切です。

私がこれらの相談事に対してご案内している対応方法は
常日頃、法人様と保険商談をしているからこそ取れる策と思います。

全額損金の保険解約時期を見計らっている
解約返戻金のピークが間もなくである

という法人様においては
お手伝いできるかもしれませんので、一度コチラからご連絡ください。

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