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【超短篇絵本小説】地球。


地球は普段は深い深い眠りについています。地球で何が起きていても分かりません。

ある日地球はふと数千年ぶりに目覚めました。

すると、地球内で犯罪や戦争が絶えなくなってきたことに気付き、世界中の人々の悪行の多さに怒って大きな、大きな火災を起こしました。

地球内では、原因不明の火災と報道され、研究者たちが必死に原因を探っていました。 

取り敢えずこれで暫くは大丈夫だろうと一息吐こうとしたその時、それでも悪行が絶えない地域を見つけた地球は、次の日津波を起こしました。

これもまた、予測不能で原因不明の自然現象として取り上げられました。

それが何日も何日も続き、とうとう研究者たちは「地球が意図的に起こしている現象だ」ということに気付きました。

それを知った世界中の人々は、更なる災害を恐れ、いじめや万引きなどの小さい罪から、強盗や殺人などの大きい罪が、全くといっていいほど減少しました。

地球がふぅとため息をついて安心したところに、この状況を逆手に取って世界を支配しようとする者が現れました。

「言うことを聞かないと大きな災害を起こすことをするぞ」と、大々的に世界に発表した者がいたのです。
その者たちは死を全く恐れておらず、今の地球を、今、支配できれば良いと言う考えを持つ人々でした。

地球は再び怒り、その者たちが災害に巻き込まれるよう仕向けようとしましたが、ふと違う地域に目を向けると、その者たちに立ち向かう人々が現れていることに気付きました。

「地球を守りたい」「好きな人と一緒に生きていきたい」「死にたくない」「子どものために、この状況を続けたい」

そのような、色んな思いを持った人たちが現れたのです。

地球は少しだけ見守ることにしましたが、悪いことはしないと決めた人々と、生きることに執着しておらず犯罪を犯すような人々の力の差は歴然でした。

それでも諦めず、正義を信じて戦う人々は、話し合いをしよう、と声をかけ続けました。何度も何度も、自分たちの地球を守ろう、そんなことをしても何も変わらない、君たちが酷い目に遭うだけだと。

最初は暴力や暴言によって反抗していた悪行をしていた人々も、その熱意で諦めるかと思われましたが、全くの反対でした。

逆撫でしてしまったのです。

銃声が聞こえ、悲鳴が聞こえ、暴力は悪化し、悲惨な状況になりました。正義を信じる人々は疲弊し、どんどん立ち向かおうとする人々は減っていきました。


「もう駄目だ。」


誰かがそう言った瞬間、ぷつんと、地球の堪忍袋の尾が切れました。

空のはるか高くから雷鳴を轟かせながら、悪行を行っていた人たちの上に雷を落としました。


甲高い悲鳴と共に、悪行をしていた人々は倒れました。

突然の出来事に呆然としていた人々の頬には、ツーッと涙が流れてきました。
各々の複雑な感情を抱きながら、ずっと、ずっと。





それから再び犯罪や戦争はめっきり減り、地球だけが、穏やかで深い眠りにつくことができました。


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