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小説

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#超短編小説

【短編小説】お花を咲かせるために。

【短編小説】お花を咲かせるために。

ある人は、勝手に育てば良いと、植えた種に水やりをしない。

注いだ水が多過ぎても少な過ぎても、申し訳ないと要望を言えないし、そもそも育てようと思わない。

咲かなかったらどうしようとか、水を注いだ人に責任を負わせるのが申し訳ないと思うんだろうから、「がんばれ」とだけ言っておこう。

もし枯れた時、自分に責任が負わないようにしてるんだったら、雨が降った時の水と晴れの時の日光で、自分の力で、育てば良い

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【短編小説】北へ傾く。

【短編小説】北へ傾く。

ある電柱は、毎日苦言を呈していた。

なんせ、日々自分の身体が北へ北へと傾いているからだ。

このまま傾き続ければ、自分はいつか中心辺りからぽっきりと折れ、死に絶えるだろう。

 傾く理由は、地形や天候など様々あるが、1番の根幹の原因は「電力の供給割合の傾き」によるものだ。

家庭によって、使われる電力量は違う。そして電柱は、より多く電力が使われる方へと傾いていく。 

普段は倒れないように、人間

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【短編小説】6と9の苦悩。

【短編小説】6と9の苦悩。

この世の見た目は、数字で構成されています。
ある人は2という形で。ある人は、7という形で。

その中でも、ある6は、勉強、運動、人付き合い全般が苦手で、いつも劣等感を抱いている少年でした。どんなに練習しても、努力しても、みんなに追いつけないので、いつもいつも、自分を責めては他人を羨んでいました。

一方で、その幼馴染の9は勉強も運動もでき、周囲からも好かれ、いつも生き生きとしている、世にいう優等生

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【超短編小説】君に届け。

【超短編小説】君に届け。

僕たちの光が、地球のみんなに届くまでは、沢山の時間がかかる。 

でも、その瞬間その瞬間の光に、僕たちは様々な想いを込めるんだよ。

そして、君たちの寿命はそれよりも遥かに短いから、この人に届いて欲しいって願った光も、届かない間にその人が死んでしまう時もあるんだ。

それに、最近の地球は地上が明るくなって、僕たちが見えにくい環境になってしまっているしね。

一等星とかは見えやすいと思うんだけど、小

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