見出し画像

#89 OliviaとCedric

先程よりも
少し音が大人しくなったシンクの食器たちを
うまく操りながら、Oliviaはため息をついた。

「Olivia、何か、やりたいこととかできたの?
ココを離れるの?」

「実はね…
まだ決まったわけじゃないんだけど、
この前、Cedric(セドリック)が言ってたんだけど…
彼、海底研究所に異動になるかもしれないの。
深海よりももっと深い、海の底よ。

あそこは気軽に行き来ができないから、
もしかしたら私もそこに…
まだ、何も決まってないんだけどね。」

「そうなの!?
海の底…なんだか大変そう。」

「実はね、海底研究所での研究は、彼の夢なのよ。
あそこでしか研究できない生物や植物…
彼はそれが好きなの。」

「そっかぁ…
応援したいけど、複雑な感じなんだね。」

そうなの、とOliviaはまた深いため息をついた。


「そうそう!
あなたに伝えなきゃいけないことがあるんだった!

奇数月の第3土曜、このカフェで集まりがあるの。
みんなあなたと同じ、を持ってこの世界へ来た人達よ。
あなたも、もうすっかり行き来に慣れたようだから
是非参加するといいわ。」

「なにそれ、面白そう!!
奇数月なら…来月の第3土曜だね。
必ず来るようにする!」

その集まりについて色々と話を聞いているうちに
またカフェが混んできた。

ティータイムや買い物帰りの休憩のために
立ち寄った客で席が埋まっていった。

常連なのか、Gregoryと親しく話す客も少なくなかった。


「Olivia、そろそろ私、行くね。
この前送ってくれたフクロウ、
私の世界で待ってもらってるから
帰ったら送るね!」

「わかった!待ってるわ。じゃあね!」

Oliviaは忙しそうにオーダーを取りに行った。


私は、広場へ出て、向かい側にある花屋を目指した。
そこでGerardに、
一方的に送られてきたモノを返そうとしていた。

時間には少し早かったが
Gerardとオオガラスは既にそこにいた。

私に気付いたGerardは
髪をサッと触り、笑顔を向けた。

「やぁ、M.ちゃん。来てくれると思ってたよ。
突然呼んでごめんよ。じゃ、行こう、こっち。」

「あ、待って。これ、返しに来たの。
とても素敵な仮面と扇だったけど、
そんなの突然もらえない。」

「そんな…困るよ。君が来てくれないと。
それに、それは君に似合うと思って贈ったものだ。
君が受け取らないなら、燃やしてしまうよ。」

Gerardは本当に燃やしてしまいかねない顔だった。
うーん…と困っている私にGerardは続けた。

「今夜、仮面舞踏会があるんだ。
仕事の付き合いでね。
エスコートさせてくれる女性がいないと
格好付かないだろう?
だから、僕を助けると思って、頼めないかな。」

仮面舞踏会という非日常的なモノに
すごく惹かれてしまって、
私はすごく行きたくなった。

しかし、何の準備もせずに行くには
とてもハードルが高いように思えた。

「仮面舞踏会…
それはとても興味があるけど…
私、何の準備もできてないよ。
服も靴も鞄も…全部、普段のままだし。」

「心配ないよ。これから準備して行くんだ。
さぁ、マダムLuisa(ルイーザ)のお店へ。」

Gerardは私の背中をそっと押して
街を進んだ。



これがOliviaとCedricの今後について
聞いた
時のおはなし。

続きはまた次回に。


最後までお読みいただき
ありがとうございます。

サポート、フォロー、スキしてくださった方
応援のお気持ち大変嬉しいです。

ありがとうございます。

あちらの世界で仕入れたものは
アクセサリーやインテリア雑貨にして
販売しています。


他、ギャラリーの裏側なども
SNSにて発信していますので
ご興味あればこちらもご覧くださいね。

https://linktr.ee/3count_m

サポートは、あちらの世界での仕入れやパーツ、活動の幅を広げる為の資金にさせていただきます。