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#78 妖精のためのファータの実

「あ、そうそう!この樹の実はね、
すっごくおいしいんだよ!
Fataは世界の何よりも美味しい実を作ったの!
あっちの方にいくつかなってるはず…」

Sophiaはファータの樹の一帯の
奥の方へ進んでいった。

私は樹を観察しながら
ゆっくりSophiaの後を追った。

「あった!こっちこっち!!」

Sophiaの声のする方へ行ってみると
その近くの樹には実がいくつかなっていた。

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華の中心部と同じような
とても不思議な色の実で
中はとても瑞々しかった。

まるで炭酸ジュースを
丸い粒にしたかのようだった。

風に揺られて陽の光が差すと
虹のような強い光を放つのも
華と同じだった。


ふとSophiaを見ると
実をもぎ取ってパクッと口に入れた。

「う~ん!おいしい!」

Sophiaの幸せそうな顔に笑顔を向けながら
私も実をもぎ取った。

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口元へ持って行こうとした瞬間、Sophiaが叫んだ。

「ああ!だめぇ!!」

それと同時に私の手に持っていたファータの実が
逃げるように飛んで行った。


驚いてSophiaの方を見ると
私に向かって短い杖を向けていた。

「えっ!?」

Sophiaの大きな声と、
少女には似合わない形相、
そして何より、まっすぐ自分に向けられた杖に
私は少し恐怖を感じた。

その私の恐怖の色を感じ取ったのか
Sophiaはハッとして杖を下ろし、
少し泣きそうな顔になって言った。

「あの…ごめんなさい…
忘れてて…

「あぁ、大丈夫…だけど…
どうしたの?忘れてた?何を?」

「ダメなの、食べちゃ。」

「食べちゃダメ?
ん?Sophia、さっき食べてなかった?」

「私は大丈夫なの。妖精だから。

Sophiaは申し訳なさそうに言った。

「私達妖精は食べても大丈夫なの。
妖精にとっては何よりも美味しいんだもん。
でもね…
妖精以外にはダメなの。になるんだって…」

「え!そうなんだ…
確かに、妖精のために作られたものだもんね。」

「そう…ごめんなさい。
もう少しで…」

「実を吹っ飛ばしてくれてありがとう。」
私は笑いながら言った。

「助かったよ。持ってるのは問題ない?」

「…うん。大丈夫だよ。」

「そっか。綺麗だからいくつか拾って帰ろう。
手伝ってくれる?」

「うん!」

私達は柔らかい草原が受け止めた実を
拾い始めた。



これが妖精のためのファータの実
採った時のおはなし。
続きはまた次回に。


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