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【連載 RingNeプロジェクト】第1回 僕が見た『RingNe』の世界

これは2023年10月8日に開催された「RingNeフェスティバル 第1章」の振り返りである。

社会人2年目のある日のこと、学生時代より付き合いのあった瀧本くんからRingNeフェスティバルについて紹介された。

元より彼はフリーランスの表現者?言語化コーチ?声優?ダンサー?など色々な表現活動を学生時代からしてきており、「何者」かと一言で表すのが難しい。
だが、独特の世界観や謙虚な人柄、どこか気の置けないところが面白く、かれこれ4年くらい連絡を取り合っている。

そんな彼が体験作家アメミヤユウ氏の下、小説『RingNe』の世界を現実世界で体験できるフェスティバルを企画・運営するというのだ。

また何か面白いことでもするのだろうか?
興味?
怖いもの見たさ?
新しい体験を通して自分の世界を広げたいのか?

色々な気持ちが自分の中から沸き起こってきたので、さっそくRingNeのランディングページをのぞいてみた。

「色は匂へど 散りぬるを 有為の奥山 今日を超えて 浅き夢見し 酔ひもせず
この世は未だ、不確かなまま。おぼろげな世界の夢中、狂ひ、祭る。砂上の楼閣、夢の外。
分かった気になったことで分かれた社会 “持続可能”という大旗、我が世誰そ、常ならむ。
「さようならだけが、人生だ」そう云った海風の風合い。流れ星。
これからはじまるの人が植物に輪廻する世界。
僕らは新たな生命線を見つけに植物と再び出会い直す。
生まれて 在りて 滅するだけじゃない。
巡って 祝いて 美しむ
さようならだけじゃない物語、、、、、、、、」

https://www.ringne-festival.com/story

初見でこの文章の概念を理解することはできなかった。
彼曰く、この文章に共感できる人を全国各地から集めてフェスをやるとのこと。

この時点で僕の頭の中は混乱というか、怪しさMAXだった(ごめんなさい笑)

次にプロモーションムービー。

「時は2044年、人は死後、植物に転生することが科学的に解き明かされました。それにより植物と人間の関係は一変しました。」

人が植物へ科学的に転生するとはどういうことなのか?疑問に思った。
この世界観を現実世界で体験できるようにした「体験作品」とは何ぞや?

何がなんだか分からない。
だけど面白い友達が何か面白いことをしようとしている。
このプロジェクトに関わっている人たちもアーティスト、フリーランス、何で生計を立てているのか分からない人、はたまた社会不適合者な感じの人(失礼でごめんなさい)。

様々な個性が渋滞、いや乱舞している感じが面白く感じた。
普段の生活では出会うことのないような人に出会えるかもしれない、あとフェスティバルの開催地が神奈川県南足柄市の「夕日の滝」という自然豊かな秘境ということもあり飛び込んでみることにした。

このRingNeフェスティバルは2023年から2025年の3年がかりで行われるプロジェクトだ。
年に一度「夕日の滝」でフェスティバルを開催する。
その第1回が2023年10月8日に行われた。

人間が死後、植物に輪廻転生する世界。
様々な動植物が生態系を織りなし、それぞれ個性がありながらも一つの世界を形成する。

まさにRingNeフェスティバルはそのようなコンセプトを体現していた。

会場へは準備のため前日から入った。
小田原駅から車で40分。人里離れた山道を走り、ようやく会場にたどり着いた。

会場には夜遅くにもかかわらず多くのフェスティバルの企画・制作・運営メンバーがおり、デザイナー、アーティスト、声優、俳優、ゲストハウスの管理人、無職の人など様々な個性を持った人がいた。

例えばあるアーティストの女性は出会って第一声が「尾骨を触ると海の波動とリンクしてリラックスするのよ~」だった。

はたまた最近K-POPにドハマりしているちょい悪風デザイナーのおじさま。

その他にも自分のSNSに銀行口座情報をプロフィールに書いてカンパをお願いしている無職の青年とかいた。
どうやって生活しているのかと尋ねると、多くの大人たちから衣食住を提供してもらいながら全国各地のフェスティバルを放浪しながら生きているとのこと。

僕はこれまで何かと生きづらさを抱えながらも、なんとか高校、大学、大企業に就職とレールに乗った人生を維持してきた。
履歴書だけを見ると綺麗だけれども、その「普通」を得るために個性をつぶし、社会に適応できるようにしてきた。

彼は社会的に見るとレールから外れた人かもしれない。
けれども僕から見たら自分の魅力や個性で生きられる、それを許されている彼を少し羨ましく思った。

夜が明け、いよいよフェスティバルが始まった。
様々なアーティストたちによる音楽ライブ、プロジェクションマッピング、マルシェでの出店、植物を崇拝し人間である現世を祝う植物神輿の祭りなど色々なイベントが催された。

一方で瀧本くんは現場の中心的な存在として、ものすごい量のマルチタスクをこなして現場を仕切っていた。

3年前に初めて会った時の彼は行動力はあるものの、あっちやったり、こっちやったり何をしている人なのか分からない人だった。ただ何故か魅力を感じる人だった。

今や周囲の人から信頼され、自身も周囲の人をリスペクトしながら一つのプロジェクトを運営している。
それもフリーランスという「何者」でもないところからスタートしてここまでやっている。

やっぱり自分の「好き」に正直で、謙虚に努力できる彼をすごいと思った。
僕も社会人として彼のその姿勢を学びたい。

一方でフェスティバルの方に話を戻すと、色々なアーティストの音楽ライブ、プロジェクションマッピングは圧倒的だった。
大自然の中で各々が個性を発揮しながら、一つのRingNeという体験作品が、全国各地から集まったメンバー約200人によって創り上げられていっている。

多くの個性、そして情報量に圧倒的された一日だった。

人は死後、植物に輪廻転生する世界を現実世界で体験する体験作品。
自分は死んだ後、その体や魂が植物に転生する。

その感覚はまだつかめていない。

だけれども、個性豊かなメンバーが全国各地から集まり、その個性を活かしながら一つの世界観、いわば個性の「森」が形作られていく過程をこのRingNeフェスティバルを通して見られた気がした。

体験作品というのはただ消費者として当日だけフェスティバルを楽しむのではなく、「当事者」として時間をかけて創り上げるその過程を通して体験していくものだと感じた。

今年は第2章が9月22日に開催される。
さて、また自分もこの「森」の一部になって、植物に輪廻転生する世界を感じてみよう。

そしてこの記事を読んだあなたも。


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