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教員免許を一種免許から専修免許にしよう(前編)

 学校の教員教員免許状にはいくつか種類があります。校種ごとにわかれており,さらに大学の学部相当の「一種免許」と修士相当の「専修免許」などがあります。基本的には大学で教員免許の要件を満たす単位を取って取得することになります。

大学院を卒業して教職課程を取っていった方は「専修免許」をお持ちのことでしょう。しかーし,私は学部卒なので「一種免許」でした。

 というわけで,今回私は,現職の教員として働きながら,教員の「一種免許状」をもとにして「専修免許状」を取得したので,その方法をお伝えしていきます。(教育関係者向けです)


1 都道府県の規定をチェックしよう

教員免許状は都道府県に大学の単位をそろえて申請,というのが基本的な仕組みです。このため,社会人になってからも,取得のためにはまず都道府県教育委員会の情報をチェックする必要があります。(以下,私の場合の鹿児島県で説明していきます。)


一部リンクが切れていたので各リンクや説明などを編集しなおしました。画像には古いものもあるので実際に取得を検討する方は自治体や放送大学でしっかり確認をしてください。
鹿児島県では、詳細の掲載をやめてしまったようです。
質問表による問い合わせが必要とのことですが、おおよそ下記のような流れは変わらないと思われますので、確認してから聞いてみるのもいいでしょう。

2024/9月更新


以前掲載されていた条件はこのようなものです。
(現在はもしかしたら何かしら変更があるかもしれないので確認しましょう)

(鹿児島県教委HPより)

例えば,鹿児島県では「一種免許状をもって3年以上勤務」すると,「大学院で所定の単位を15単位以上取得」することで「専修免許」を取得できます。

この資料自体の掲載はなくなっていますが、「教員免許法 別表第三(第六条関係)」が法的根拠になっているようなので、これを手元に相談するといいと思います。

文科省HPより

見ての通り、同じことが書いてありますね。「高校教諭専修免許状」を受ける場合、「一種免許状」を持っていれば「三年」働いて「十五単位」とればいいということがわかります。

基本的にどの自治体でもこれは同じはずです。


ただし,放送大学はじめ,対象の大学の単位が免許取得に使えるかどうかは,事前に教育委員会に必ず確認しましょう。

その場合,ある程度「どの単位を取得して申請する予定か」を説明できた方が担当者の方もわかりやすそうです。あまり多い話ではないので,担当の方も即答できなかったり勘違いをする場合もあるようです。必ず関係法規等を読み込んで説明できるようにしておきましょう。(根拠や法令などの記載がない県もあるようです。その場合は「法律は一緒なので」他県も参考にするといいと思います。)

例えば東京都は結構詳しく掲載しています。
私のパターン、高校一種免許持ち、専修を取得の場合はこんな感じです。


2 大学院に入ろう

 私の場合は放送大学の大学院で取得しました。専修免許の取得には「大学院」の単位が必要なことに注意しましょう。

放送大学の入学は1年で前期・後期2回あります。

大学院に普通に「全科履修生」として入学するためには入試があるわけです。そちらで入学して頑張れば晴れて「大学院卒」で「修士」になりますが,今回の目的はそこではありません。

放送大学の「修士選科生」か「修士科目生」を選択すれば,入試もありませんし,「選科」は1年ずつ「科目」なら半年ずつ細切れに入学することもできます(連続してやった方が入学料が軽減できます)

というわけで,私は「修士選科生」で入学することにしました。

入学の際は,公立学校職員だと,共済組合の割引が使えることがあります。



参考までに,上記サイトは富山県の例ですが、下のようなパンフレットが掲載されています。

(放送大学から福岡県の学校共済組合に出されていたチラシより)

例えば上記は福岡県の昔のものですが,このようなチラシが配られていることがありますし,共済組合か,お近くの放送大学学習センターに聞いてみましょう。
(なぜかあまりネット上には転がっていませんので,問い合わせるのがよさそうです。)

修士選科生の入学料が18000円から9000円になります!

※が、もしかしたら昨今の値上げで価格変動があるかもしれないので必ず確認してくださいね。


3 単位を取ろう(その1)

放送大学大学院では,入学の手続きの際に修得希望の講義を申請します。
どんな単位を取ればいいのか…?という話になるので,このへんを参考にしましょう。


その中でも,上のパンフレット掲載ページから飛べる「教員免許状及び各種資格について」は重要です。印刷でもして手元に持っておくといいでしょう。毎年更新されるようなので,最新版を見るようにしましょう。

こちらの中にも,こういう記述など,今まで述べたようなことが詳しく書いています。

放送大学「教員免許状及び各種資格について2022」p6より

そして,この中で「上位の免許状」を取得するためにまずどんな単位を取るかはここです。

放送大学「教員免許状及び各種資格について2022」p12より

ここでは,高等学校教諭「一種免許」をベースに「専修免許」を取りたいので,「大学が独自に設定する科目」の15単位を修得すればよいことになります。そして,(注2)には

「教科に関する専門的事項に関する科目」又は「教諭の教育の基礎的理解に関する科目等」の中から、取得対象免許状に対応する科目の単位を修得してください。

放送大学「教員免許状及び各種資格について2022」p12より

とありますから,そちらをさらに参照します。

放送大学「教員免許状及び各種資格について2022」p17より

そうすると,専修免許状取得に利用できる科目はこの右側の部分になり,かつ,「第三欄」「第四欄」の部分「教諭の教育の基礎的理解に関する科目等」という部分になることがわかります。

12科目あるように見えますが,一番下の「道徳教育の理念と実践」は高等学校の欄に「〇」がないので私のケースでは使えない可能性が高いです。というわけで選択肢は10科目。基本的に大学の単位と同じで1科目2単位ですから,この中だけでとるなら8科目16単位を修得すればいいことになります。

私の場合は,この中では「教育文化の社会学」「教育行政と学校経営」「海外の教育改革」「教育心理学特論」「発達心理学特論」「カリキュラムの理論と実践」「eラーニングの理論と実践」を修得しました。(念のため多めにとっています。単位落としちゃうかもしれないしね…)

4 単位を取ろう(その2)

先に説明した「教諭の教育の基礎的理解に関する科目等」ですべて必要分揃えてもいいわけですが,高校教員ならもう少し専門性を高めたいというのもあります。必要15単位の内訳は,要件を満たしてさえいればいいのでもうひとつの「教科に関する専門的事項に関する科目」をとってもいいわけです。

これは,教科によって違ってきます。例えば数学・理科ならこちら。

放送大学「教員免許状及び各種資格について2022」p24より

ご覧の通り,専修免許で利用できるのは右の欄ですからそれほど多くはありません。大学等で教員免許を取る際には各分野から必須の科目を取る必要があったりしますが,上級免許状申請ではそのようなことはないようです。というわけで,私は理科なので「現代物理の展望」「環境工学」「地球を読み解く」を修得しました。

このような形で,修得したい・すべき科目を検討して,まずは入学時に、最初の半期に取りたい科目を同時申請します。学校共済の申し込みをする場合は専用の用紙で,紙での申し込みになります。

私の場合,最初の半期は3科目6単位を修得しようとしました。しかし,はじめで勝手がつかめなかったこと,実際に仕事の後や休日を使って勉強してもあまり時間が取れなかったことから正直きつかったので,以降は半期に2科目4単位ずつ修得していきました。ご自身の余力に合わせて,という感じですが,あまり最初から無理しないほうがいいかとは思います。

さあ,そういうわけで,履修のプランが整ったら頑張って単位を取っていきましょう!放送大学の単位修得の様子などはほかの記事でも少しずつ書いているので参考にされてください。

大学院は1単位11000円なので、最安で165000円の授業料が必要です。とはいえ2単位で1科目ですから、実際16単位8科目の176000円の授業料は必要でしょう。

単位を取り終わったらどうするか…?は後編に続きます。