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私の心の守り本尊(=推し仏)

私の推し仏はHKH48にいる。

何を言っているんだ、と思った方も、仏像に興味がおありなら少しだけお付き合いいただきたい。仏像に興味がないなら、無理にとは言わない。お時間があれば是非、くらい。

小学生の時、父に東京国立博物館(東博)の「特別展 百済観音」に連れて行ってもらった。我ながら渋い小学生だが、私は子供の頃からこういうものが大好きだった。

が、正直、百済観音はあまり好みではない。しかしまあ国宝だし、滅多に東京で拝めるものでもないし、「ふーん、これが国宝ね」とちょっとすかした感じで拝見した。どうせなら救世観音のが見たいわ、なんて思いながら(秘仏秘仏!)。

さて、東博には、法隆寺献納宝物という所蔵品群がある。今では新築された法隆寺宝物館で常設展示されている(傷みやすいものは展示替えされる)が、当時の法隆寺宝物館は雨ではない木曜のみの開館で、拝める機会は少なかった。

この特別展は法隆寺宝物献納110年を記念したものであり、メインは百済観音であったが、戦後に皇室から国へと所管が移った法隆寺献納宝物も共に展示された。

その中の小さな観音菩薩立像に、小学生の私は心を撃ち抜かれたのである。

178号(N178)。そう番号の振られた金銅仏。「四十八体仏」と通称される飛鳥・奈良時代の小金銅仏群の中のひとつである。像高は僅か30cm少々。小さいながらも国指定重要文化財だ。7世紀、白鳳時代の作と考えられている(白鳳仏っていいよね!)。

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その貌は穏やか且つ妖艶な微笑みを湛え、やや肉感的な体躯を少しくねらせて、いやらしさのない色気と異国情緒を漂わせている。少年のようでも少女のようでも青年のようでもあり、可愛らしくて美しい。え、何これ欲しい(※子供の率直な感想です)。

あの仏(こ)が私の心の守り本尊(キラーン)。

あの時からもう30年近く恋焦がれている仏像は、現在では常設展示されており、東博の常設展のチケットでお目にかかることができる。しかも法隆寺宝物館は一定の条件のもと撮影可だ(なので上の写真は私が撮った)。なんだ東博は神か。いや仏か。ありがたすぎて涙がちょちょぎれるわ。

だから私は東博へ行くと、必ず法隆寺宝物館へ立ち寄る。中へ入ったら一目散に金銅仏の展示室(第2室)へ行き、まっすぐお目当ての展示ケースに向かう(もう場所は覚えている)。そして四方八方からそのお姿を拝んで堪能し、「また来ます」とお別れをして宝物館を出る。

全国各地の寺院を巡り、博物館や美術館でも多くの仏像を見た。迫力という点では、法隆寺献納宝物の金銅仏たちは皆小さく、東寺の立体曼荼羅や金峯山寺の蔵王権現の足元にも及ばない。でもそんなのは問題じゃない。だって一目惚れなんだもの。

法隆寺宝物館は大体空いているので、ゆっくり思う存分堪能できる。ホント空いてるからみんなも見て。四十八体仏とかいいながらもっといるから。HKH48だからコレ(※Horyuji Kenno Homotsuの略)。推し見つかるよ!

ちなみに私の中でのNo.2は円成寺(奈良市)の大日如来坐像(運慶最初期の作品)、No.3は観心寺(大阪府河内長野市)の如意輪観音坐像だ。こちらは秘仏だが、八重桜の季節、ご開帳に馳せ参じた。脱活乾漆造も好き。別格は西往寺(京都市下京区)の宝誌和尚立像!

もしN178様が海◯堂フィギュアになったりしたら、絶対買うんだけどなぁ。厨子作って毎日拝みたいレベル。てかそれ仏壇だな?

しかしまあ我ながら、仏像相手に煩悩が酷い。何がHKH48だ。仏罰が下るわ。

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