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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話

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息子が急性散在性脳脊髄炎を患い倒れた急性期から完治を目指している現在までの経過をまとめています
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#体験記

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話30

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話30

息子が倒れて16日目。

この日、やっと主治医の先生に会うことが出来た。

この頃になると私も夫も仕事に復帰しており、一日おきで面会に行っていた。

加えて面会時間は限られており、外来や急患対応もある主治医の先生と会って会話が出来るタイミングはあまり多くは無かった。

それでも、先生は出来る限り時間を取って病棟に顔を出してくれ、長男に声をかけてくれていた。

「長男くんわがままも言わないし、すごく

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話29

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話29

息子が倒れてから15日目。

面会に行くと、理学療法士の先生がきてくれた。

熱は変わらず37度5分と高めだったが、本人は元気そうだった為、病棟外に出る許可を得た。

敷地内に公園のような屋外のリハビリ施設があり、そこで遊びながら動きを見せて欲しいと言われた。

長男は入院して以来初めての外の空気だった。

冬の寒い風が吹き始めた頃だったが、まだ日差しは暖かく、カーディガンと心拍計測器を入れたポシ

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話25

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話25

『麻痺が残るかもしれない』

この言葉にショックを受けなかったとは正直言えない。

けれど、目が覚めなかった頃に感じていた不安に比べれば、目標が明確に思えた。

幸い会話に問題は無く、食事も取れるようになってきている。

顔面への麻痺は感じられなかったし、排泄も、ベッドの上ではあったが、オムツでは無く自分のタイミングできちんと出来ていた。

もちろん本人からすれば、今まで出来たことが突然できなくな

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話24

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話24

病棟に入ると、ナースステーションからほど近い個室を案内された。

そこにはベビーベッドを大きくしたような、柵で囲われた金属製のベッドに入った長男が居た。

ひどく不安気な長男の様子に、あえて明るく声をかける。

「長男!ママきたよ!長男がいっぱい頑張って元気になってきたから、今日から一般病棟に来られたんだって。やったねぇ!」

私の顔を見ると、ホッとしたのか仏頂面がみるみる泣き顔に変わっていった。

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話23

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話23

長男が倒れて10日目の朝。

突然電話が鳴った。

長男の入院している病院からだった。

胸が痛いと思うほどの鼓動を感じながら、急いで電話に出る。

『おはようございます。

昨日からの様子を見て、問題無さそうでしたので、本日一般病棟に移ることになりました。

お立ち会い頂きたいのですが、よろしいでしょうか?』

長男の体調になにかあったのかと思い電話に出た為、真逆の内容に頭がうまく働かなかった。

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