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ナイチンゲールは病院建築家「病院と看護師のあるべき姿を追求」


written by 病院建築note@医療機器出身のゼネコン社員

ナイチンゲールという人がいます。

看護師として活躍し「近代看護教育の母」「光を与える貴婦人」「クリミアの天使」と称されていますが、世界初の病院建築でもあります。

■ナイチンゲールの経歴


1820年生~1910年没 イギリスの看護婦。

裕福なジェントリ(イギリスの中世末期、中小の封建領主層であった騎士が地方に土着して地主になったもの)の家庭である両親の元に生れる。

クリミア戦争で負傷した兵士への献身や統計に基づく医療衛生改革で著名。

■ナイチンゲールは「病院」を大きく変えた。

この時代は「病院」の位置づけは現在とは大きく異なりました。

19世紀の病院は「下層階級の病人が集う不潔な場所」で病院の形態を成していませんでした。

病気になった場合、医者が家へ行き往診するのが普通でした。また修道院・宮殿・大邸宅などが病院に転用された例がほとんどであり、室内の換気はなく衛生状況は劣悪で、とても機能的とはいえませんでした。

しかしナイチンゲールは病院での衛生管理の重要性を誰よりも先に認識し社会に訴えました。

著書「病院覚書」の中では「良い病棟とは見かけが良いことではなく、患者に常時、新鮮な空気と光、それに伴う適切な室温を供給しうる構造のものである」と述べています。

ナイチンゲールはそれまで単なる病人を収容する施設でしかなかった「病院」を大きく変えました。

■ナイチンゲールは「看護師の役割」を大きく変えた。

また当時の看護師は専門知識のいらないただの御手伝い・お世話係の様な立場でした。

病人の世話をする単なる召使として見られており、専門知識の必要がない職業と考えられていた時代だったのです。

ナイチンゲールは看護師が専門知識を身につける必要があることを唱え、看護学校を設立しました。

■ナイチンゲールの功績

クリミア戦争では兵舎病院の衛生環境を改善し、死亡率を大幅に減少させるなど成果を出しています。

兵舎病院での死亡者は大多数が怪我ではなく、病院内の不衛生により蔓延する感染症によるものでした。

ナイチンゲールの病院における衛生環境の大切さを説き「換気のための窓を設置」「ベットの間隔を1.5m以上離す」などの規定を考案しました。

またナイチンゲールは専門知識を学んだ看護師の育成を提言し、看護師のシステム全体を改善していきます。

ナースコール、ナースステーションを中心とする病棟のシステムはナイチンゲールの考案によるものです。

その彼女の功績が母国イギリスで新聞報道されていたこともあり,ナイチンゲールは国民から熱狂的な人気を博すことになりました。

集まった基金で看護学校を作り,看護師教育システムを整備していきます。

現在の病院は機能面だけでなく「病気を治す施設」から「患者や見舞客を癒す空間」としての側面も求められています。

また今後予測される労働力不足に備えて、看護師の業務効率UPを促す動線を考えて設計されています。

現在の病院があるのはナイチンゲールの功績が非常に大きいと思います。

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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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