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相手の言っていることは氷山の一角です

これは私がコーチングの講座で受講生の方に必ずお伝えしている言葉です。


言葉の背景に広がる世界

私たちは言葉を使って人に何かを伝える時、私たちの頭の中には言葉では表しきれないほどたくさんの映像や、過去の経験、自分の価値観、心の底に渦巻く感情、ものすごく膨大でものすごく深く複雑に絡み合った物事が、まるで宇宙の様に広がっていいます。

例えば…
「私は飛行機が大好きです」
この一言を聞いても皆さんには何も響くものがないと思います。
なぜ好きなのか、どこが好きなのか、何も伝わっていないからです。
でも実は、私が「私は飛行機が大好きです」と声に出した時、
実は私の頭の中には…

北海道の田舎から東京に出てきたときに乗った飛行機が離陸する瞬間ワクワク感。始めてヨーロッパに地に降り立った時、これからどんな世界が見られるのか、とドキドキしながら窓の外をのぞいたあの時の光景。私にとって飛行機はいつも、人生の中で起こる新しい冒険の出発を意味する乗り物でした。そういえば、そもそも海外に興味をもった最初のきっかけは子どもの頃にみた映画「TOP GUN」(アメリカ空軍パイロットの映画)のトム・クルーズがあまりにもカッコよすぎで、いつが英語で会話がしたいと思ったのが始まりでした…(笑)

「私は飛行機が大好きです」この言葉だけを聴いた人は、その背景にこんな想いがあるなどと言う事はもちろん想像もつかないですよね。
つまり私が「飛行機が大好き」という言葉は、私の中にある大きな氷山のほんの一部を表現した言葉でしかないわけです。

7つの習慣のパラダイム

私は「7つの習慣」にあるパラダイムの話が好きです。

 ある日曜日の朝、ニューヨークの地下鉄で体験した小さなパラダイム転換を、私は忘れることができない。乗客は皆、静かに座っていた。ある人は新聞を読み、ある人は思索にふけり、またある人は目を閉じて休んでいた。すべては落ち着いて平和な雰囲気であった。

 そこに、ひとりの男性が子供たちを連れて車両に乗り込んできた。すぐに子供たちがうるさく騒ぎ出し、それまでの静かな雰囲気は一瞬にして壊されてしまった。

 しかし、その男性は私の隣に座って、目を閉じたまま、周りの状況に全く気がつかない様子だった。子供たちとはといえば、大声を出したり、物を投げたり、人の新聞まで奪い取ったりするありさまで、なんとも騒々しく気に障るものだった。ところが、隣に座っている男性はそれに対して何もしようとはしなかった。

 私は、いらだちを覚えずにはいられなかった。子供たちにそういう行動をさせておきながら注意もせず、何の責任もとろうとはしない彼の態度が信じられなかった。周りの人たちもいらいらしているように見えた。私は耐えられなくなり、彼に向かって非常に控えめに、「あなたのお子さんたちが皆さんの迷惑になっているようですよ。もう少しおとなしくさせることはできないのでしょうか」と言ってみた。

 彼は目を開けると、まるで初めてその様子に気がついたかのような表情になり、柔らかい、もの静かな声でこう返事をした。

 「ああ、ああ、本当にそうですね。どうにかしないと……。たった今、病院から出て来たところなんです。一時間ほど前に妻が……。あの子たちの母親が亡くなったものですから、いったいどうすればいいのか……。子供たちも混乱しているみたいで……」

 その瞬間の私の気持ちが、想像できるだろうか。私のパラダイムは一瞬にして転換してしまった。突然、その状況を全く違う目で見ることができた。違って見えたから違って考え、違って感じ、そして、違って行動した。今までのいらいらした気持ちは一瞬にして消え去った。自分のとっていた行動や態度を無理に抑える必要はなくなった。私の心にその男性の痛みがいっぱいに広がり、同情や哀れみの感情が自然にあふれ出たのである。

 「奥さんが亡くなったのですが。それは本当にお気の毒に。何か私にできることはないでしょうか」

 一瞬にして、すべてが変わった。

7つの習慣

これも同じ話で、目に見えること、耳に聞こえることは氷山の一角であり、海の中には想像もできないような背景やストーリーが潜んでいるわけです。

勝手な解釈

私たちが日々繰り返すコミュニケーションの中には、この氷山の一角だけを捉えたやり取りがあちらこちらで展開されていることに驚きます。
SNSでの炎上や批判合戦に始まり、上司部下、家族、友人関係にいたるまで、誰かが使った言葉を自分のフィルダーで解釈し、一喜一憂する、怒る、落ち込む、そんなことが毎日至ることろで繰り返されています。

丁寧に聴く

コーチングセッションの中でも実は同じようなことが起きていることが多々あります。クライアントが使った一言を勝手にコーチが解釈して分かったつもりになっている、という状況です。
私のコーチング講座では、クライアントが使う一言一言にもちゃんとこだわり、丁寧にその言葉の意味するところをクライアントに説明してもらいながら、コーチがよりクライアントを理解するために務める様、お伝えしています。

コーチングセッションにだけ限らず、日常のコミュニケーションにおいても、相手と自分の解釈の違いをちゃんと聞いて理解を深めたり、どんな行動、言葉にもその背景にどんな考えや出来事があるのかを確認してあげるだけで、より理解し合える関係値が作れることが良くあります。



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