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【成功する売り方を考えるマーケティング基礎③】本当に困っている人はだれ?

「マーケティング」という言葉を聞くと、何だかとても難しい論理のように感じられる方も多いかもしれませんが、マーケティングの基本はとてもシンプルです。それは…
「必要な時と場所に、必要な人へ、必要なものを提供する」これがマーケティングの最も基本的な考え方です。前回は「顧客が本当に必要としている物は何?」を考えました。今日はそこから一歩踏み込んで、ではその必要としている物を本当に必要だと感じている人はどんな特徴を持っている人なのか?について考えてみましょう。

人によって欲しいものはまちまち

当たり前のことを話しますが、人によってお金を出してでも買いたい、欲しい、と思うものは違います。
私は毎年冬になるとその年の新作のコートが欲しくなりますが、主人には「そんなに何枚もコートを買ってどうするの?!」と理解してもらえません。私の夫は、気が付くと筋トレグッズが我が家に増えていますが(笑)、私にとってはお金の無駄遣いにしか見えません。娘はビーズが大好きで、お店で見つけるたびにお小遣いの全財産をつぎ込もうとしますが、「本当に全部使っていいの?」と横で見ている母はヒヤヒヤします…。

そう、商品を開発したら、それが本当に欲しい人に届かなければせっかくの良品もただのガラクタになりえるのです。

なんちゃってターゲット

「ターゲット」という言葉は皆さんご存知だと思います。ビジネスをされている方なら誰もが耳にし、またご自身の商売のターゲットが誰なのか?は意識したことがあると思います。この商品(もしくはサービス)のターゲットは誰ですか?という質問をした時に、ターゲットが明確に言語化できていない、という方が意外とたくさんいます。

実は私も…コーチとしてコーチングサービスを提供しようと考えた一番始め自分のターゲットを明確に言語化することが出来ていませんでした。
「このサービス誰に紹介したいですが?」と聞かれると…
「仕事と育児の両立に悩むママさんに」とか
「これからキャリアで悩む40代女性に」とか…
ターゲットとしてはそれらしいことを言っていたのですが、これ実はターゲットの言語化としては全く意味がないものです。これを私はなんちゃってターゲットと呼んでいます。

「仕事と育児で忙しいママさん」といっても、人によって状況は全く違います。中にはご主人がほぼ仕事で家におらずワンオペで自分の時間が全くない人もいるでしょう。実家が近くてお母さん(子どものおばあちゃん)の助けを借りてやりくりしている人もいるでしょう。子育ては楽しいけれど職場での人間関係が辛く困っているママさんもいるでしょう。逆に仕事はとても充実して楽しいけれど、子どもの反抗期やイヤイヤ期でストレスが溜まっているママさんもいるでしょう。つまり「誰の何を解決するのか」が全くクリアにならないまま、「私はターゲット設定をちゃんと行っている!」と勝手に満足していたのです。(ターゲットを考える際、そのターゲットに「何」を提供するのかもやはりセットで考える必要があります→詳しくはこちらを参照

ターゲットの細分化

顧客の「不」が見えたら…その「不」を一番抱えている人が多いゾーンはどこか?を考える必要があります。ここで言うゾーンとは、単に年齢・性別・職種・居住地域、などでグループに分けるのではなく、趣味趣向や価値観、悩み事など、気持ちの面でどのような状態にあるのか、という切り口で分けたゾーンです。(マーケティング用語ではこの切り口の事を「セグメント」と呼びますが、ここでは「切り口」という言葉を使っていきます。)
例えば先ほどの例でいうならば…

「仕事の育児の両立に悩むママさんで」をさらに切り口として
→自分の時間がないことに困っている
→周囲の協力が得られないことに困っている
→職場で肩身の狭い思いをしていることに困っている
→仕事でのキャリアアップが見えないことに困っている

これくらい切り口を小さく分けて、その切り口に人たちに何を提供するのか?を考えていくのが妥当です。

切り口を分けたらそのゾーンに本当に自分が考えた「不」を持っている人がいるのか?!というのをユーザーインタビューで検証していきましょう。

切り口を小さくすると多くの人に届かないのでは?という不安

「ターゲットを狭くする」と聞くと対象者が少なすぎてサービスを拡大するチャンスを逃すのでは?という不安を良く耳にします。不安になる気持ちは理解できますが、まずはその「不」を抱えている層が一番多い所で確実な実績を上げてから、ターゲット層を広げて行けばいいのです。「ターゲットを狭くする」というのは一生そのサービスのターゲットを限定する、という意味ではなく、一番始めの立ち上げ段階でターゲットを絞る、つまり的をもっと絞って、狙うための戦略を研ぎ澄ませていく、という意味です。
誰かにしっかりと刺さる商品もしくはサービスが作れていれば、同じく必要とする人が他にもたくさん出てきます。一方、誰にでも当てはまると設計されたサービスはむしろ誰にも当てはまらないサービスであることが多いのです。

ターゲットは狭く深く、しっかりと根をはってから他のターゲットに枝葉を分けていきましょう。

皆さんの商品やサービスも「なんちゃってターゲット」になっていませんか?改めて振り返ってみて、「誰のどんな課題(不)を解決し、その人がどのような状態なれることを提供しているのか」と言葉で表現してみてください。答えに詰まる、もしくは違和感を感じているところが、まだしっかりと検討されていない部分だという事が分かるでしょう。

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