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天真爛漫に爆走していく女性の自立 映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」 #550

「恋は、本屋さんに売っている」

秀逸なコピーですよね。これは、恋愛ロマンス小説の代名詞「ハーレクイン」のキャッチコピーです。

カナダから始まった恋愛小説専門の出版社も、いまでは世界97か国に広がっているのだとか。「ハーレクイン」とは、フランス語で「道化師」を意味する「アルルカン」の英語読みです。

DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)シリーズの中で「ハーレイ・クイン」といえば、道化師のコスチュームを着た「ジョーカー」の恋人のことを指します。

という設定を知った時。わたしの頭の中は「?」で満たされました。

「ダークナイト」のヒース・レジャーの……? 会話が成立しなさそー。

ダークナイト

(画像は映画.comより)

「ジョーカー」のホアキン・フェニックスの……? とりあえずヤンニョムチキンでも食べさせたい。

ジョーカー

(画像は映画.comより)

アメコミに疎い身としては、ちょっと、いや、かなり面食いました。もちろん、映画としての関連はなく、シリーズ3作目の「スーサイド・スクワッド」でマーゴット・ロビーが演じたぶっ飛びキャラクターです。

ジョーカーとの恋に生き、恋愛ロマンス小説さながらにメロメロのラブラブだったふたりですが、あえなく破局。失恋を乗り越えたハーレイが、さらにぶっ飛んだ“ワル”へと変貌を遂げていく「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」は、意外にも女性の自立を強く打ち出した映画でした。

<あらすじ>
悪のカリスマ・ジョーカーと別れたハーレイ・クイン。モラルのない天真爛漫な暴れっぷりで街中の悪党たちの恨みを買う彼女は、あちこちから追われる身となってしまう。謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、ブラックマスクや警察とも対立。ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成することに……。

DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の8作品目にあたる映画です。マーゴット・ロビー自ら、「ハーレイ・クイン」をメインとするスピンオフ作品の製作を提案。監督のキャシー・ヤンや脚本のクリスティーナ・ホドソンら、制作の中心を占めるのはすべて女性という映画です。

ストーリーも、「スーサイド・スクワッド」でジャレッド・レトが演じたジョーカーがちょろっと出るだけ。男はせこいか、残虐か、アホかに分類される世界。完全に女性の自立に振り切っています。

映画は、男に捨てられ、自分が「虎の威を借る狐」だったことに気づいたハーレイから始まります。そのことに傷つき、町中から嫌われていることを知る。そんなハーレイが、奇想天外・天真爛漫に爆走していくのです。

カサンドラを保護する最凶チームのメンバーとなるのも、女性ばかり。

で、やっぱり女性のアクションシーンって、重みがないんですよね。その分、カンフーを取り入れたり、軽めの武器を華麗に操ったりといった工夫がなされています。

DCEU作品で、現在までに公開されている映画は9作です。時系列で観たいよ、という方は、こちらを参考にしてください。

マン・オブ・スティール
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
スーサイド・スクワッド
ワンダーウーマン
ジャスティス・リーグ
アクアマン
シャザム!
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY
ワンダーウーマン1984

このうち、「スーサイド・スクワッド」と「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」だけが“悪党”たちの映画です。通して観ると、6人のヒーローが大集合した「ジャスティス・リーグ」が転換点だったんだなーと感じました。

・ DCEUのヒーローは弱くない
・ “悪党”映画の方がポップな作り
・ 「アクアマン」以降はコメディ要素多め
・ 監督が違うせいか味わいがそれぞれ
・ 世界観の設定がゆるい

といったあたりが特徴といえそうです。わたしは「ワンダーウーマン」に惚れてシリーズを見始めたくちで、やっぱりこの映画が一番好きだなと思います。ムキムキのオッサンヒーロー「シャザム!」には大笑いしたし、ノリノリの悪たちが突っ走る「スーサイド・スクワッド」はドキドキが止まらなかった。

揺るぎない信念のもと、どこまでも我が道を押し通す、ひたすらかっこいい女性、ダイアナ・プリンセス。

今後も地上最強の女性として輝いてほしい!

DCEUは今後、キャラクター単独の映画を作ることにしているそうで、今年はマット・リーブス監督による「ザ・バットマン」や、シャザムの宿敵を主人公にした「ブラックアダム」の公開が予定されているそう。

劇場で公開されますように……。心から祈りたい。



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