たのしすぎる水中大運動会からヒーローが生まれる 映画「アクアマン」 #548
「あなた自身にもすばらしいことをする才能がある。そのためにマントは必要ない」
DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の6作目、映画「アクアマン」でメガホンをとったジェームズ・ワン監督は、ヒーローの物語についてこんな風に語っていました。
マントは必要ない。だって、ここは海の中だから……。
というわけではなく、ヒーローだって悩み、迷い、成長していく。その姿から学べることは多いよねというお話です。
「ジャスティス・リーグ」で、バットマンに招集された“メタヒューマン”のひとり、アクアマン。その誕生からアトランティス王になるまでを描いた映画が「アクアマン」です。
<あらすじ>
灯台守であるトム・カリーは、岩場の海岸に打ち上げられた女性アトランナを助け、愛し合うように。海底から来た追っ手に見つかったアトランナは、自ら国に戻ることを決心。いつか戻ってくるから忘れないでと言い残し、帰って行く。息子のアーサー少年は、アトランティスの参謀バルコから武術の指南を受け、たくましく成長する。一方、アーサーの異父弟オームは、自然を荒らす人間に怒りを募らせ、ついに戦争をしかける……。
2017年に公開された「ジャスティス・リーグ」で、「DCコミックス」のヒーローたちが大集合。スーパーヴィランである「ステッペンウルフ」の侵略を防ごうと立ち上がります。
が、ヒーローが多すぎると、ひとりひとりの活躍はどうしても薄まります。製作のゴタゴタなんかもあって、以降、DCEUはキャラクター単独のオリジン・ストーリーを作ることに。
方向転換があって最初の映画が「アクアマン」になります。でも、この変更はよかったんじゃないかと思うんです。
なぜなら。
水中大運動会、たのしすぎー!な展開だから。
「ジャスティス・リーグ」から引き続き、アクアマンを演じたジェイソン・モモアの貫禄。でも内面はファザコンです。
(画像は映画.comより)
その母を演じたニコール・キッドマンなんて、あんな美女なのに魚の着ぐるみを着ちゃうんだもん。これも役者魂。
(画像はIMDbより)
イギリスBBCが制作したネイチャードキュメンタリー「BBC Earth」のような美しい海の世界と、「スター・ウォーズ」を彷彿させる人工的で幻想的な光の世界が融合。そんな画の中を、魚と会話でき、海の声を聞く“メタヒューマン”が超高速で泳ぎまわる。
さすが「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督だなぁと感じる映像です。
海底国アトランティスからは「半地上人」と蔑まれ、他の海底国の王からも「半端モノ」といたぶられてしまうアーサー。真の王の証であるトライデントを求める旅は、RPGゲームそのものです。父のトム・カリーとアトランナの恋物語にもドキュンときました。
一番好きだったのは、シチリアでのシーンです。アーサーに助けを求めに来たメラは海底国出身なので、地上人のルールを知りません。シチリアの街でおいしそうにアイスクリームを食べる人、ピザを頬張る人を見て、マネしたくなったメラ。
ちょうど手渡されたバラの花を、パクリ!
それを見たアーサー。たしなめるでもなく、笑うでもなく、自分もバラの花を食べて、ニッコリするんです。
ジェントルマンやー!!!
ひとつずつ課題を乗り越え、強くなっていくヒーロー。マントはなくても、心優しき海の覇王の物語。
「あなた自身にもすばらしいことをする才能がある。そのためにマントは必要ないんです」とワン監督は語っていたけれど。
いや、わたし泳げなかったよ。
マントはいらないけど、浮き輪はほしいな。
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