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中国小売最前線2019年8月号

こんにちは。中国インターネット研究所です。

・中国で消費者向けにビジネスを展開されている
・そのような事業会社を支援する日系企業で勤務していて中国の最新情報を仕入れたい
・日本で中国の情報を仕入れたいと思っている事業開発や起業家の方

を主に対象にし、以下の内容を毎月発信しています。

発信内容

A:中国小売最前線(この記事の内容)
AlibabaとTencentを中心に動く、中国小売業界の最新情報を毎月1回発信

B:中国スタートアップ最前線
Alibaba&Ant Finacial、Tencent、IDG&SequiaCapitalの投資先を一行で紹介し(3ヶ月分を各社まとめて配信)、いくつか気になるスタートアップをピックアップ。中国スタートアップの最新企業を知りたい方におすすめ。
C:中国最前線トレンド
中国現地のレポートやホットなトピックを毎月1つ厳選してお届け。

中国最前線トレンドの過去トピック

・コンビニ:イノベーションのジレンマによりコンビニチェーンが進出できない地域(2-3級都市)でAlibabaが勝つのでは?
・ミニソー:単純な個別事例紹介ではなく、中国特有の新たな業界(洗練された商品を扱う総合新小売業態)として紹介
・生鮮食品Hema:単純なスーパー業態としての面白さではなく、会員化率100%の経営を行うデジタル経営の事例として紹介・団地向け共同購入
:日本ではただの安売りとして拼多多が捉えられていが、共同購入のさらに進んでモデルの可能性(コープのオンライン版)として紹介
・小売向けクラウドサービス:TencentやAlibabaが単純に小売業に進出しているわけではなく、小売業向けへのSaaSを出していることを紹介

筆者紹介

大学時代に上海に2年間在住し中国スタートアップに特化したメディアを立ち上げ、中国市場のリサーチャーとしてVCで働く。
卒業後はメルカリにてアプリのPdMとして1.5年間、中国での新規事業開発のために半年、メルペイに出向し創業時のマーケティングの戦略立案などに約1年従事。
2019年1月より小売・メーカーのデジタル化を支援する上海の企業にてエンタープライズ向け営業をしながら、部門の統括。

メディア記事
中国で「決済革命」の次は「OMO」だ 
・NewsPicks中国特集~【メルペイ家田】僕が、中国ビジネスを学んできた理由
・月刊MD特別寄稿~中国「新小売」のいまとその次に来るもの


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2019年8月の中国小売の動きを紹介しています。小売・メーカーの動きと、インターネットのプラットフォーマーと大きく2つに分けて記載しています。1つの記事に平均数百文字前後のコメントをしています。10のニュースを扱っています。

小売・メーカーの動き

「社区生活中心」という新たな業態

胖东来天虹が新たなショッピングセンターを開設し、注目を集めている。子供向けの施設や家庭用品を充実させ、授乳室を設けたりしている。

このような業態を「社区生活中心」。日本語に訳すと「コミュニティ・生活・センター」と名付けることができるのでは中国チェーンストア協会が発表した。

単純に物を売るだけでなく、「生活」を起点に様々なサービスを総合的に提供している業態と認識しているようだ。ショッピングセンターとは違うようで、より「生活」感があふれる業態を指すそう。

「新小売」や「OMO」もそうだが、中国でこうした「戦略の概念」を自分たちで作っていく動きには引き続き注目したい。

Alibabaが出資する銀泰百貨店が百貨店内に倉庫を構える

8月8日の百貨店大手銀泰のセールで販売員の方たちが例年に比べると暇そうだった。それは店頭で扱っていた在庫を別の倉庫に移し、オンラインからの注文はその倉庫で処理することにしたからだ。

店員向けに発行される注文表には、倉庫のどの位置にあるのかが下記画像の赤枠のように記載されている。

下記画像は倉庫から商品を運送する様子。非常に小さい倉庫であることが分かる。

銀泰はAlibabaの資本が入り、デジタル化を目指して構造改革中である。日本の記事では目立ちやすいフロントでの新しい技術を使った改革にスポットライトが当たりがちだが、クラウドのPOSシステムへの移行、在庫のオンラインとオフラインでの同期など、表では目立たない領域の改革も着々と進んでいる。

またオペレーションそのものを抜本的に変えるため、見た目の技術的な変革よりも時間がかかり、組織改編なども伴うため難しい。

サブスクを提供するハドソンズ・ベイ・カンパニーが老舗百貨店を約78億円で買収したのが先日日本でも話題になったが、Alibabaは2017年に約3000億円を投じ、銀泰の筆頭株主になり、デジタル改革を実施している。

日本ではスタートアップが中国企業に学んで新規事業を立ち上げようという空気が強かったように思う。今後は伝統的企業が、銀泰がAlibabaのちからを借りたように、「いかにインターネット企業の力を使って事業を再生するか」が論点になり、それに答えられるインターネット企業が新たな主役に躍り出るのでは無いだろうか。

残り8つのニュースです。

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