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落ちるにまかせず


 
連日の雨のせいだろうか、なかなか気分が晴れない。
予定のない三連休、起き抜けのままダラダラとPCに向かっていたら、いつの間にか午後になっていて、パジャマにすっぴん、ボサボサ頭の自分をうっかり鏡で見てしまい、ますます気分が落ちた。
 
前の晩に友人と飲んだ時の会話が頭に残っていた。
仕事の話になり、自分の働く職場がどうよくなるか考えていると友人は言った。
後進のために、色んなしくみを変えていきたいと。

私、自分の携わる仕事は深めたいし、よりやりやすい形にしていきたいと思うけど、組織のことって正直あまり興味がない。
そんなことを話したら、え、ないの?と意外そうなリアクションだった。
 
働きかたの方向性とでもいうのか。
見ているものが違うなぁと思った。
どっちが優れているとか劣っているとかって話ではないのだけれど、なんだか自分が近視眼的な人間に思えてきて、これでいいのかとちょっとモヤモヤした。

そんな会話を引きずっていたのも、憂鬱の理由ではあった。
 
 
 あぁ、立て直してしまいたい。
 
雨の休日の午後だけど、気分を上げたい。

 
どうすればよいのか見当がつかなかったので、
ひとまず、顔を洗い、軽くメイクをした。
出掛ける予定はないけれど、先日買った新しい服に着替えた。
 
夏の間、ずっとひとつに結んでいた髪をおろしてみる。
折角パーマをかけたので、水でぬらしてセットをした。

久しぶりにおろした髪型を鏡で見て、パーマをかけたての時は失敗したかなと思ったけれど、意外と似合っている気がしてきた。
 
それだけでもほんのり気持ちが明るくなる。
 
それから、たまっていたビン・缶のごみを捨てに、マンションのゴミ置き場まで降りることにした。
サンダルを履いて家から出ようとして、ふと立ち止まる。
そうだ、せっかく新しい服に着替えたんだから、出掛けてみるか。
 

幸い、雨脚もだいぶ弱まってきて、家から出られないほどの雨ではなかった。
履こうとしていたサンダルをパンプスに変え、ゴミ出しのついでに出掛けることにした。
 
近所のショッピングモールに行って、しばらくぶらぶら買い物をして帰ったら、仕事帰りの夫が先に家にいて、顔を合わせるなりくだらないバカ話をした。
 
その頃には憂鬱な気分から立ち直れていた。
 
 
ぐずついた空の影響と、モヤモヤした感情に引っぱられ、泥沼に落ちそうな気分だったけれど、もがいて抜け出した自分をほめたい。
 
 
顔を洗い、着替えて身だしなみを整え、ゴミ出しをする。
 
たったこれだけ。
 
でも、やってみる価値はあった。

 
泥沼のふちは、きっと日常のどこにでも隠れている。
落ちそうになったら、まずはしぶとくもがくこととしよう。

 

 
  
 
 
 

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