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ショウ・マスト・ゴー・オン

三谷幸喜さん作・演出の舞台「ショウ・マスト・ゴー・オン」を観に行った。

1991年初演の作品で、当時5日間だけの公演だったにもかかわらず、客席の盛り上がりは相当だったらしく、伝説のコメディとも呼ばれている。

私も、観たことはなくても、三谷さんの作品としてタイトルだけは聞いたことがあった。

その伝説のコメディが、28年ぶりにリニューアルして再演されるらしい。
当選すると思わなくて、何気なく申し込んだ先行予約のチケットだったが、まさかの当選メールが届いた時は、思わず二度見した。

会場入り口のポスター。前日休演のシルビア・グラブさんが復帰との朗報でした。


場所は世田谷パブリックシアター。三軒茶屋駅直結の、キャロットタワーの中にあった。

席は2階席の2列目。前列との高低差がかなりあり、見晴らしは良い。

普段あまり買わないパンフレットを購入し、始まる前にざっと目を通す。

三谷さんのコメントによると、この2年間、ずっと大河ドラマに関わってきて、登場人物が次々に死んでいく、面白いながらもかなりシビアなお話だったので、久々の舞台はその反動で思い切り楽しく笑いに満ちたものにしたかったとのこと。

毎週「鎌倉殿」をヒヤヒヤした気持ちで楽しんでいる身としては、三谷さんの「反動」がどんな形で見られるんだろうと、楽しみで仕方がなかった。

あらすじは、とある芝居の舞台裏でおこるアクシデントをかいくぐって奮闘する、裏方スタッフたちのお話。※ネタバレはしません


始まってすぐに、クスっと笑ってしまうシーンがあり、そこから先は作品の中にどんどん引き込まれていった。

三谷さんの作品は、どんな登場人物にもそのひとの思いや正義、バックボーンが感じられ、人間らしさがあふれているところが特に好き。
この作品でもそんな「三谷節」とも呼びたくなるような人物造形の素晴らしさがさく裂していて、毎度毎度いいもん観せてくれるよなぁ、と涙ぐみそうになった。

三谷さんがこれからもずっと物語を書き続けてくれますように。


久々に観るお芝居は、先日観たミュージカルとはテンポ感がまったく違い、新鮮な印象だった。
役者さんたちがとにかく、動く動く。

特に、秋元才加さんの滑舌の良さ、声の聴き取りやすさが印象的だった。
「鎌倉殿の13人」でも記憶に残る役柄(巴御前)だったけれど、これから舞台やドラマで活躍していくんだろうな、と思わせる存在感。

声に出して笑ったり、クスっとさせられたり、こんなひと居るよなぁ、と登場人物たちの仲間になったみたいな気持ちで応援したり。
明るく楽しいエネルギーに満ちた約2時間15分は、あっという間だった。

今週はこの舞台を観るのを励みに仕事をしていたので、心の「お楽しみエリア」がしばらくぽっかり空いてしまう。

公演終了後、駅に向かう通路で、前を歩く女性二人組が、「面白かったね」「元気をもらったね」と話していて、ホントそうだよね、と心の中で大きくうなずいた。


時々こうしてエンタメに力をもらう。
これからも素敵な作品と出会えますように。


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