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舌鋒仕事人の復活 (1)

かつて、「舌で人を殺せる」と評された私。
まったく自覚はなかったが、私のズバズバ語りを恐れていた人が一定数いた、らしい。

もともと、腹に抱える事が苦手なタチで、うっかり本音を語って敵を作ることも多かった。

「お前、落語なんか好きな癖に、洒落でまるく収める話し方ひとつできないのかっ」
かつての上司に、そう怒鳴られたことがある。
これは、かなり堪えた。
日々の会話ではなく、期初面談的な、バリバリの業務トークの最中だった。とても納得できなかったが、その日から、それまで以上に話し方に注意した結果、少しだけ無口になった。

さて、無口になると。…私は、見た目はかなりひ弱そうなのだ(ボリュームはあるが)。
友人に「親の借金のカタで吉原に売られて死にそうな不幸顔」とコメントされたくらいの弱者顔。『必殺仕事人』なら途中で悪人達にあっさり殺される役まわりだ。
高田郁の『みをつくし料理帖』が一斉を風靡するはるか前の咄…「元祖下がり眉」の幟でも立てたいような顔なのだ。

で。大人しくなった私は、初対面で舐められることが増えた。
ただでさえ我が「ぜんざい公社」は、「解ってなくても言った者勝ち」の社風である。無口さが巻き込まれ事故を増やし、業務量を増やし、過労の一因になったところもある。

復職した今、新しい業務に就いて、この舐められ問題とどう付き合うかを考えた。
「しばらくは、舐めたい奴には舐めさせておけ。そのかわり、『分かりません』『できません』を手持ちの札に加えさせてもらう」
この二言を、私は永らくほぼ封印して働いてきた。解禁するなら今だ、と思った。

実際には、慣れない台詞を口に乗せるのは苦痛で、ほとんどできない。
休職中に通ったリワークで、「アサーション」の練習をあれほど積んだのに、いざ実践となると、できないのだ。
「自分を守るためですよ」
カウンセラーに説得され、辛うじて体調面、環境面での困りごとに、この言葉を使えるようになってきた。

さて、先日の産業医面談。
2ヵ月半ぶり(緊急事態宣言を機に保健室機能全面停止、予告なく電話も不通になっていた)のそれに、それなりの準備をして臨んだ。
体調面を鑑み、当面のテレワーク併用のお墨付きを得たい、という魂胆があったためだ。

「アサーティブ・コミュニケーションで行くぞ!」
と、自分に気合いを入れた。
…けれど、この面談で、私はアサーションどころか「舌鋒仕事人」として完全復活を遂げてしまったのだったorz.

…続きます。。。

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