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布団をかぶって無言を貫く息子と。

二男は暴れもしたけれど、しばらく無言を貫いた時間も長かった。
布団にくるまって何も言わず、ただすすり泣く声が聞こえることもあった。
私はそんな息子を前に、何がどうしてこうなって、どこの何から手をつけていいのかわからず、途方に暮れていた。 

当初の私は、そんな息子を前に「どうしたらこの子は学校に行くのだろう」とばかり考えていた。
学校に行くことが息子の未来のため、ここにとどまらせないことが息子のためだと思っていた。

そしてそれは、間違いだったと今は思う。

息子が布団をかぶって無言を貫くのは、親に話しても何も伝わらないと失望していたからで、こういう精神状態になるまで追い詰められたからで、息子に、無理な理想や我慢や、偏りのある価値観を一方的に押し付けて子育てしていたんだと、つくづく思い知ることからスタートする必要があった。
そのことがとても難しかったのは、それまで、愛情深く育ててきたと思いこんでいたから。

とにかく、息子の心は壊れた。
この事実と誠心誠意向き合わないと、この家族は終わるのではないか、、、と、悲しく予感しながからの再出発だった。

息子の気持ちが安定するまで、長い時間が必要だった。

私の気持ちも安定するのに、同じく時間がかかった。私は私で、反省しすぎておかしくなった。何事もし過ぎはよくないなと。




今、三年経過の春。

桜の花はきれいだけど、とても切ない。



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