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文章を書く その1 いい子として育ったので面白くありません

 私は自分のことよくわかってなかったんですよね。鏡で見る自分と写真で見る自分って全然違うじゃないですか。そんなふうに写真がわりじゃないですけど、note記事を書いていて気がついたことがあります。私は「綺麗」を求めがちな性格だということと、比喩や抽象的な表現から入る癖があることです。特に文章を書くとなると、装飾や大袈裟な表現をしがちです。シンプルに書くにしろ格好をつけたがります。整って、綺麗に、スタイリッシュにいきたいなあという欲望があります。
 なぜよく見せたいかと言うと、根底には「いい子に見られたい」「優等生に見られたい」というところがあると思います。私は親や先生にほめられるのが大好きな子だったんですよね。小学校一年生の頃に両親が不仲になり、家の中で喧嘩が絶えない日々がありました。何も言わず黙り込む父と、泣きながら父を責める母を見て、私はいい子でいようと思いました。いい子でいればほめられるし、ギスギスした両親の癒しになれるのではないかと。そして優等生であることで、先生からも「佐藤さんはえらいね、頑張っているね」と言われました。先生に言われるがまま、理科委員会の委員長になります。つい何時間か前にくぼさんが「私はエッセイが書けない。」という記事に書いているのですが、「家庭環境から目を背けるために学校でのコミュニティに依存してきた」という境遇とまったく同じように私も学校でのコミュニティに依存することになります。いい子であることで、家の外に居場所ができたんですね。結局小学校五年生の時に両親は離婚しますが、優等生としての居場所は中学校、高校でも続きました。
 こうしていい子を装う私が生まれました。装うや演技するというのは生きていくうちで誰しもが身につけていくテクニックではありますが、本当に自分がやりたいことを隠して生きていくことが当たり前になっていきます。本当は美術をやりたかったけれど進学校を選びましたし、将来は学校の先生になるんだと言っていました。それが先生を一番喜ばせる言葉だと思っていたのです。今思うと最低なこどもだなと思います。ガチガチによく見せたいという気持ちを背負い続けて高校三年生になります。そこでついに折れます。進学先に、苦手な理系を志望したのです。東京農工大学の農学部を受験します。そして受験は失敗します。受験に失敗した私は卒業後に出される進路状況の進路未定者となりました。いい子であり続けていた私がいい子でなくなった瞬間でした。
 いい子でなくなった私は何をしたかというと、一切発信をすることを止めました。できる限り家から出ず、友達と連絡をとることを止めました。書いていたブログも更新が止まりました。何かをして「何もしていないお前が何言ってるんだ」と言われるのが怖かったんです。いい子として作った居場所しかなかったので、コミュニティすべてに顔を出すことができませんでした。その後、孤独な自分はどうしたでしょうか。
 また自分を装うことをはじめました。大学には行かず、アルバイトを経てIT系中小企業に就職しました。学校という「最強のいい子でいていいコミュニティ」がなくなってしまったので苦労しましたが、社会人の自分はNewsPicksというアプリを見つけたんです。ここでもいい子になろうと奔走しました。今思い出すとほんとうに恥ずかしいのですが、場をよくしよう居場所を作ろうと必死でした。
 いい子を装って整えて綺麗に見せたくてって普通じゃないか、何が問題なのか?と思う人もいると思います。はっきりと書きます。面白くないんですよね。私も含め、いい子は面白くないです。そして周りと比べて面白くない自分にコンプレックスを抱いて、何かしなくてはと奮闘します。正しいであろうと思われる範囲内で奮闘するので、好きなことを伸ばして生きてきた人と比べるとちっちゃい規模で、ちいさなことにがんじがらめになりながら本人なりに頑張ります。いいことを書いて、面白いことをして、誰かをよろこばせたい。
 じゃあ面白いことって何かと考えると、やっぱり突き抜けて好きなことをやっている人は面白いです。ガチタンバリン奏者の大石竜輔さんとか、この人毎時間ってくらいタンバリン叩いてるのなんでかよくわからないけど面白いし、「継続するコツ」の坂口恭平さんも半端ない量の文章を書いています。身近なところだと谷保の富士見台トンネルで中東のクナーファというお菓子を作っているシュウくんがいます。汚い言葉を使うと頭おかしいなあと思うくらい面白いです。
 好きなことを突き抜けるには緊張したり、萎縮したり、躍起になって悩む時間はないなと思います。その隙や時間をとにかく好きなことに費やした方がいい。本当に作りたいものを作ると、そんな悩み自然と後から解決されていくんだろうなと思います。なんだか冒頭から話が逸れましたね。今の自分は文章を書いて絵を描いてウクレレを弾きたいので、綺麗にできなかろうが不完全だろうがやっていきます。

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