飛行機で出会った優しいベトナム人の話Part2

 大学二年生の夏の時。私は約3週間東南アジアを一人バックパッカー旅をした。

 今回はその時に出会ったベトナム人の話Part2。

 Part1はこちら↓

https://note.com/310_ki/n/n90c77344d8c5

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 市内に向かうといっても、空港からは車で一時間ほど掛かるらしいというのは事前にリサーチ済みで、夜中まで走っているリムジンバスのようなものに乗る計画を立てていた。

 しかしながら彼女達は「この時間にバスは走っていないからタクシーで向かうよ」と言いタクシー乗り場に向かっていく。ネットの時刻表で見ることにはまだそのバスは走っているのだが、「現地の人の方が詳しそうだし、間違っていてもそっちの方が面白そうだ。」と思い私は彼女達とタクシーで市内に向かうことにした。

 ベトナムの空港でも日本と同じ様なタクシー乗り場があり、そこに何台もタクシーが止まっていた。彼女達はそこに着くと何やらタクシー運転手と大声で話し始めた。

 彼女達は運転手と値段交渉をしているようだったのだが、その交渉の様子は日本人の私から見ると値段交渉をしている雰囲気ではなかった。まさに大阪のおばちゃんが初手からパワー全開で値切りに挑んでいるかの如く彼女達は話し続ける。

 どうやら提示された値段に納得できず話し続けていた様だ。少しヒートアップがすぎそうだったのでドゥエンに「大丈夫?」と聞くと優しい声で「だいじょうぶ」と日本語で返事をした。明らかに大丈夫な雰囲気ではなかったのだが、私は彼女達に全てを委ねることにした。

 結局最初に交渉していた運転手とは別のタクシーでようやく成立したようだ。全ての荷物をトランクに詰め込みタクシーに乗ろうとしたのだが、助手席に一人、私と同い年ぐらいの青年が乗っていて驚いた。そう、私達は相乗りタクシーでハノイ市内に向かうことになったのだ。

初めての相乗りタクシー

 空港からハノイ市街までは大きな幹線道路がまっすぐに伸びていて周りも結構なスピードを出して走っていた。日本の高速道路のようなものなのだろうか。

 道中では私以外の四人がベトナム語ですっかり仲良くなっている雰囲気だった。日本では、タクシーや交通機関に乗った時に、運転手や一緒に乗車している赤の他人とこんなに仲良くなれる人の方が少ないであろう。でも海外に行くとこのような場面を多く目にする。私は外国のこの「話したことも無い見知らぬ人と気軽に話をして仲良くなるという一種の文化のようなもの」が個人的に大好きである。

↓その時の写真がこちら。

画像2

画像1

 (ブレブレなのは動画をスクショしたためです。)

 しばらくして助手席の青年がこっちを見て、何やらベトナム語で話しかけてきた。何もわからなかった私は英語で「ベトナム語は喋れません。」と返すと「あ、そうなんだ!ベトナム人かと思ったよ。」と英語で返してきた。

 どうやら彼は私の事を純ベトナム人だと勘違いしていたらしい。(ベトナムを旅している中でベトナム人に間違われる事が多々あった。これはまた今度話そう。)

 助手席に座っている青年は韓国の大学に通っているらしく、一時帰国の帰り道だったようだ。英語が通じそうだったので、私が「韓国の大学は楽しい?」と聞くと、彼は首を横に振り「そんなに楽しくないんだよね」と言っていた。訳を聞きたかったのだが色々と複雑なのかなと思い、深くは踏み込まなかった。

 そうこうするうちに私達はあっという間にハノイ市内に近づいていた。

 ここである一つの疑問が浮かんだ。

「これってどうやって運賃払うんだ?」ということ。

 相乗りタクシーは今まで乗ったことも無かったし、ましてやこれがベトナム初タクシーであったので、どう計算して運賃を出すのか、どんな感じで払えば良いのかと分からないことだらけだった。私は不安になりドゥエンに運賃はどのくらいかを聞くと「ダイジョウブ」と言い運転手に何やら声を掛けてくれた。

 ドゥエンが説明してくれたから「もうこれで安心だ。」と

 韓国の留学生の青年とドゥエンの友達が次々と降りていき、運賃は4人で割った分のお金を払っているようであった。

 ドゥエンと車内で二人きりになって彼女から「明日予定ある?よかったらハノイ市内を案内してあげるよ!」と提案された。明日の予定は全く決めていなかったので願ってもない提案だった。「嬉しい!ありがとう。」と言い私達はSNSを交換して明日また私が泊まるホテルの前で再会する約束をした。

 ドゥエンが降りてついに私が最後の一人になった。ドゥエンの家はハノイ市内からちょっと離れた所だったため、Googleマップを見ると泊まるホテルにはまだ少しかかりそうだった。

 さっきまであんなに賑わっていた車内が嘘だったかのように静かだった。本来だったら空港からバスでずっとこの静けさだったのかと思うと、彼女達に出会えて本当に良かったなと思った。

 旅の醍醐味の一つはこの「出会い」だ。出会いには一期一会だったり、今回のように再会することもある。一人旅とは寂しいもので、ましてや周りに日本語を話す人がいないとよりいっそう孤独感を感じる。このような状況で色々な人と出会い、時には優しく時には助けてもらったりする中で、見知らぬ土地では自分という存在がいかに無力であり、他人の存在がいかに大切かを教えてくれる。人間は一人の時間が必要ではあるのだが、それは誰かとの繋がりを前提とした上で成り立っているのかもしれない。

 そう考えるうちに、タクシーはもう予約していたホステルに到着したのだが、ここで事件が発生する。ドゥエンが伝えていたはずだったのだが、そのタクシー運転手は私に明らかに高額な運賃を請求してきたのである。空港からここまでタクシーで来る相場は一人で乗ってきたとしても40万ドン(約1800円)ぐらいなのだが、その運転手は私に4人分の80万ドンを渡せと言ってきたのである。

 そんな金額だったら相乗りタクシーをした意味がないし、外国人だからって舐められたくはなかったので(かと言ってベトナム語を話せるわけでもなかったので)私は「NO!」を連発した。

 しかし相手も全く引き下がらない。格闘すること約五分。彼の強欲さに呆れながら、もう時間は夜中のテッペンを回りそうなこともあり、ついに私が60万ドン(約2800円)という高額な運賃を払うことで手を打打つことにした。正直、腹立たしくは思ったが日本のタクシーと比べれば安いもんだと自分に言い聞かせ、予約していた日本人宿に向かった。

 予約した日本人宿は一泊1000円以下にも関わらず比較的綺麗で良いところだった。結構有名なところなのか、壁中に以前ここで泊まった旅人達の言葉が壁一面に埋め尽くされていた。しかし、旅の緊張もあり余程疲れていたのか、周りをじっくりみる体力もなく、すぐにシャワーを浴びてその日は死んだように眠った。

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今回はここで終了。

ここまで見てくれてありがとうございます!

小説風に書くと、どうも長くなって仕方がない。。

続きは次回挙げます。良い一日を!

#大学生 #東南アジア #一人旅 #日記 #ベトナム #相乗りタクシー #小説