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「ビジネスは結果論。カルチャーをつくるためのコミュニティ形成」- 新拠点チームメンバー INTERVEW③ 小田政志[後編]

301新拠点プロジェクトのチームメンバーと、301代表の大谷によるインタビューシリーズです。第三弾は、コーヒーを中心としたカフェ部分を担当し、バリスタとしてだけでなくロースターとしても活躍する小田政志さんです。

サードウェーブの流れでコーヒーが世界中でブームになり、高クオリティのコーヒーを楽しむことが比較的日常的になってきた現在。そんな中流行に左右されることなく自身のスタンスを持ち、コーヒーを自由に捉えている小田さんに、コーヒーカルチャーの今とこれからを伺いました。
前編はこちら

ビジネスは結果論。カルチャーをつくるためのコミュニティ形成

大谷 今はシングルオリジンの流れで、生産地の透明性みたいなことが価値や面白さと言われているけど、小田くんはそれとはまた違ったスタンスで表現しようとしている。そういう冷静なスタンスを取っている立場として、今の日本のコーヒーシーンをどう見ているの?

小田 一般層とコーヒー好きな層とコーヒー関係者の間でギャップがあると思っています。トレサビリティーや生産地の情報など付加価値的な意味であるという事が多く、それがどのくらい伝わっているのかなと常に思っています。そういった生産地の情報がデザインの一部としてあるのではなく、お店やバリスタのスタンスから伝わっていくにはどうしたらいいかを考えています。特に日本ではストレートに伝わりにくいと思います。それでも昔と比べたら、本当に多くの素晴らしいコーヒーショップがあり、日常的にコーヒーが楽しめるのは嬉しいです。ただ自分と同じくらい、一般の人にもコーヒーを楽しんで欲しいですね。朝も昼もエスプレッソなくらい。

大谷 海外だと状況は違うの?

小田 海外だとブームも正しく伝わりやすいのかなと感じています。イギリスとかは特に、ブームになってから浸透してカルチャーになるまで特に早かったと思います。

大谷 その状況は何が原因になってるのかな。

小田 日本は選択肢が多いのがあり、いろんなスタイルもあるから。最初からカルチャーではない作りになってる場合も多いとは思います。ローカルコミュニティやサービスの違い、お店のブランディングの違いもあると思います。

大谷 海外を見た時に、日本でもこういうことしたら面白いのにと思うことはある?

小田 その地域のローカルの顧客をつかんでいくのが一番だと思います。東京にも沢山あるのですが、それぞれのエリアのお客さんがみんなコーヒー好きになるっていうのが一番理想かなと思います。そういう場所がもっと増えていいと思う。特にオーストラリアとか、海外のいいお店ってやっぱりローカルのお店が多いから、コーヒーショップを通して街の魅力を知る事が多いです。それだけ影響力のあるお店では、コーヒーの事も好きになると思います。

大谷 加藤さん(「Paddlers Coffee」共同代表/バリスタ)とも先日話したけれど、ビジネスとしてコーヒーをやっていこう、ということが先に来るのではなくて、まずコミュニティで自分たちが目に届く人たちのためにコーヒーを入れて、そこから提供できる人を増やしていくためにビジネスを広げていこうっていう発想。ビジネスは結果論ってことだよね。

小田 そうですね。だから街を知って、人を知ってその場所にあった店舗作りをしたい。多くの場所がまだまだ可能性を秘めてると思っていて、コーヒーがコミュニティを広げてくれます。その為に出来る努力をもっともっとしたいと思っています。

大谷 スケールを大きくしていこうと思った時に、何を意思決定の基準にするのかって結構重要だよね。当たり前なんだけど思いを貫いてビジネスするのは結構大変。みんな大金ちらつかせられるとやっちゃうか!みたいな気持ちになったり(笑)それは誰もが入りやすいコーヒー屋さんだからこそ、大事にしなきゃいけないのかもしれないね。

集まる個人が輝くコミュニティ

大谷 このプロジェクトを通して、自分の事業だけではできないようなチャレンジしてみたいポイントはある?

小田 チームで、この場所だけじゃなくて外でも色々な案件を実現してみたいですね。コーヒーをもっと色んな場所で、様々なシチュエーションで組み込みたいとも思います。2月にポートランドに行ったんですが、Coquineというレストランは料理とコーヒーが高いバランスでとれていて、なおかつカジュアルだった。目新しいと言う事ではなく伝え方やプレゼンテーション、サービスの重要さを再認識しました。違う業種の方々ともっと交流をする中で、どう融合するのか色々なチャレンジしていきたいです。

大谷 このチームでやることに対して特に期待してるポイントは?

小田 それぞれのパートがしっかりしているチームだから、実現力が高いこと。あとは自分では持ってこれないような仕事を持ってこれる人がいて、コミュニティとしてそこに繋がっていくこと。それは自分だけでは絶対できないことですね。

大谷 小田くん自身の取り組みと、このプロジェクトがどう重なっていくかっていう視点では、コミュニティの可能性を広げていけることが一番大きいということかな。

小田 そうですね。やっぱりコーヒーの可能性を広げていくには、新しいコミュニティを形成する事。色んな業種の人と様々な場所で働く。すぐ隣に沢山の可能性があるんだと思って動いていきたいです。経験上、こんなとこからこんな事が出来るんだとか、あらゆる所にできる事が沢山ありますよね。

大谷 空人くんは、今フリーランスでバーテンダーをやりたいっていう知り合いからいくつか相談受けたりしているらしくて、でも場所もないしどうしたらいいのか、っていう問題があるから、この新拠点を自分のコンサルティングとか、そういったチームの拠点としてうまく活用することでコミュニティのハブにしていくようなイメージを持っているみたいで。そういうコンサルの仕事の広げ方みたいな視点はある?小田くんの場合はロースターが拠点になってくるのかな。

小田 コミュニティのハブや色々な仕事の可能性を広げるのは、新拠点ではないかと思います。ロースターはもっとコアな場所なので。カウンターの上でコーヒーを作る姿を見てもらって、その場でコーヒーを飲んでもらって話をするという方が、一番わかりやすいし伝わるかなと思っています。

大谷 実際の仕事を見てもらうことが結局一番大切ってことだよね。バーテンダーの場合は、試作しながらのセッションが必要だから場所が必要っていうのもあるみたい。

小田 それはありますね。僕個人としても多くのバリスタが気軽に来て欲しいですし。
色んな話をしたいですね。そこから新たな仕事や何かが生まれるかもしれない。

可能性を広げるために、一途に向き合う

大谷 どういう人がコーヒーをもっと自由に考えていったり、こういうプロジェクトにするのに向いていると思う?

小田 どんな分野でもいいんですが、一つのことをある程度長くやってきている人が向いてるのかなと思います。

大谷 後藤さん、空人くんともまさに同じ話をしてた。301も広告ばりばりやっていた自分たちがそれを崩して今に至ってるし、後藤さんも三つ星店でトップまで行った上で崩しとしてやってる。あることを追求した上で、それをどう転換していけるかっていう視点があるといいんだろうね。

小田 いろんな可能性を広げるっていう柔軟な考え方は大事だけれど、それはちゃんとしたベースがあっての話かなと思います。そうじゃないと浅く広くになっちゃうから。

大谷 追求しているものはコーヒーじゃなくてもいいと思う?

小田 いいと思います。

大谷 その考え方は後藤さん、空人くんもみんな本当に同じなんだよね(笑)他には何か合いそうな人のポイントはある?

小田 なんでもいいけど、ひとつ別の大きい趣味があるといいんじゃないかな?ランニングでもいいし、自分の場合サーフィンですが。あるライフスタイルをずっと続けているとか。

大谷 好奇心みたいなことだよね。興味を持って掘り下げていく姿勢というか。小田くんの場合その別の趣味はどう活きているの?

小田  何事もしばらく向き合わないと、そのものの良さって気づけないと思っていて、それがあるから次に活かせるのかな。

大谷 別の角度からも何かに向き合うことを学べるのかもね。

ーー

大谷 実際この場所で入ったひとたちにとって、その先にどんな可能性があると思う?

小田 考えつく限りのことが実現できる可能性があって、自分の実力次第で本当に出来ちゃうんじゃないかと思っています。大きい案件をとってきて、海外でもやりたいと本気で思っています。

大谷 POPUPとかも面白いよね。「noma」が移転期間中にやっていたPOPUPレストランのようなことを、飲食だけじゃないクリエイティブチームを巻き込んでやっちゃうとか。

小田 オリンピックもありますね。一つ面白い仕事が決まったので、それをこのチームで実現したいですね。

大谷 面白いことになりそう。最後に新拠点への意気込みをどうぞ。

小田 どんどん動いていきます。みんなで共有して新しいものを作っていきたいですね!

小田 政志 Masashi Oda
オーストラリア、イギリスのコーヒーロースターで、焙煎やクオリティーコントロール等を行う生産部門で勤務。イングランド南部やロンドンの卸先のコーヒートレーニング、レシピ作成、様々な店舗の立ち上げを行う。ヨーロッパ最大規模であるロンドンコーヒーフェスティバル等、様々なイベントにバリスタとして参加。現在、東京を中心とした様々なコーヒーショップとコラボレーションしながら、ゲストバリスタとして活動。また、新規店舗立ち上げ時のコーヒー器具選定やバリスタトレーニング等、コンサルティングの活躍の場も広げている。
301は、新拠点立ち上げに向けて飲食チームとして参画してもらえる仲間を募集しています。インタビューを読んでこのプロジェクトに興味を持っていただけた方は、HPのフォームから応募いただくか、301メンバーや飲食チームメンバーへ直接ご連絡ください。

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