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Instagramの新機能「リール」を1週間試して合計180万回再生突破「TikTok」との違いを考察してみる

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

ふだんの私のnoteは、特定のサービスのノウハウなど、テクニック寄りなことは書かないのだが、今回、Instagramに追加された新機能の『リール』に夢中になっていて、めずらしく特定サービスに関する記事を書いてみようと思う。

なお、今回の記事で『TikTok』について触れるが、現在、世間を賑わせているような米国事業の買収や、TikTokが利用者の追跡機能を仕込んでいた疑惑?等には触れないこととする。

あくまで『TikTok』を、一人の利用者目線から、多くの人に受け入れられてきた人気アプリとして捉え、記事を書き進めていく。

また、比較するTikTokとInstagramのリール、それぞれに言えることは、これまでの従来型SNSでは、すでに認知があったり、ファンがいる主体がサービス内(SNS内)で発信者として関心を集めやすい傾向があったのが、そうではない無名な個人やサービスが「認知」を獲得しやすいサービスになりえると捉えている。だからこそ、私がリールに夢中になっているとも言える。

こうした視点を踏まえ、Instagramの新機能『リール(Reels)』を掘り下げてみる。

Instagramの新機能『リール(Reels)』とは?

このInstagramの『リール』について、詳しくは上記の記事に機能の説明があるので、そちらを参考にして欲しい。

私からの超ざっくりした紹介としては、リールとは、TikTokのInstagram版だ。

Instagramの『リール』を説明するために、あえてTikTokに触れてみる。
(TikTokは中国のサービスで、中国国内では『ドーイン』という別名のアプリであるが、便宜上『TikTok』の名前で掘り下げていく)

TikTokはエンタメ系「SNS」を開拓

従来型のSNSは、”ライフログ”と言われる日常を切り取った”瞬間”を、「文字」や「写真」や「動画」を使って、自分のアカウントにアップして友人や知人たちとシェアして楽しむものだ。

多くのSNSが、この”ライフログ”することを楽しくさせる機能の充実や、サービスのアルゴリズムとしてコミュニティ形成をしやすい方向に進む中、かつ、そうしたライフログが主流にあるな中、新たな軸のSNSとして風穴を開けたのが、この『TikTok』だ。

『TikTok』が他のSNSと大きく異なるのは、豊富なクリエイティブツール、編集ツールを活用し、音楽をつけたしながら、自分で動画をつくることができる、一個人でコンテンツづくりを楽しめるSNSとなっている。

『TikTok』誕生以前の2010年代初期、『Vine』という6秒動画に絞ったSNSもあり、エンタメ的な使われ方として流行ったこともあるが、『Vine』はエンタメ軸の設計というより、6秒動画という超短尺縛りが、自然とエンタメ的な使い方をするユーザーが増えた傾向と捉えている。

Vineのアプリ自体(アプリの機能的な特徴も含めて)の設計思想としては、まだまだライフログ系であったと記憶している。TikTokのようなエンタメに振り切っていたSNSとは言い難い感想を持っている。

エンタメ系SNSを世界的に開拓し、定着させたのは、このTikTokといえるだろう。

TikTokの人気の秘訣は「レコメンド」と「短尺縛り」

Instagramの『リール』が日本で使えるようになってすぐに使いはじめてみたが、1日経ってからつぶやいたのが以下の通りだ。

『IGTV』とは、スマホ向けの「縦型動画」の先駆けと言えるアプリだったが、今は、Instagramのアプリの一機能へと切り替わった。

『TikTok』とまるで異なる”アルゴリズム”

Instagramの『リール』を、この数日いろいろ試して思うことは『TikTok』と、まるで”アルゴリズム”が異なるということが推察できる。

ほぼ同じような内容のコンテンツを双方にアップしても、それぞれの反響がまるで異なっている。『リール』の”注目”への選出は、とてつもなく高いハードルを感じる。

『TikTok』は、画面上では「フォロー中」と「おすすめ」の2軸しかないので、おすすめに選出されるハードルは、リールに比べてそこまで高くない傾向。すでに成熟したInstagramの新機能として追加された『リール』は、「注目」への選出のハードルは劇的に高い代わりに、フォロワー外にも掲出される箇所が多い。

フォロワー外にも掲出される箇所に「検索」がある点が『TikTok』との大きな違い。

『TikTok』では、「おすすめ」に選出されない限りは、自分のアカウントのフォロワー外にコンテンツがリーチされることがないが、Instagramの『リール』の場合、「注目」に選出されなくても、検索からのフィード画面など、フォロワー外にコンテンツがリーチされる接点がある。

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(Instagramの「検索」画面のスクリーンショット)

『TikTok』では、いかに「おすすめ」に選出されるか?が多くの方にコンテンツを見てもらうか?のポイントであったが、『リール』の場合は『注目』に選出されることは、数中万人から数百万人にリーチされ、選出された場合、大きなステータスになる一方、ほぼ選出されることがないと言えそうだ。現実的には、いかに「検索」などのフィードにコンテンツが掲出されるか?がポイントになってくるだろう。

『TikTok』は”おすすめ”で『リール』は”注目”に選出?

両者のSNSで、投稿したアカウント主のコンテンツをどうしたら広く受け入れられるか?を整理すると・・・

『TikTok』は”おすすめ”に選出されると、フォロー外の方にもコンテンツがリーチできる。再生回数がグッと伸びる。

『リール』は”注目”に選出されると、TikTokのおすすめと同じく、再生回数がグッと伸びる。

ただ、リールは”注目”に選出されずとも、検索に掲出されるなどすれば、フォロー外へリーチされるコンテンツもある。

Instagramのリールが”注目”に選出されずとも、フォロワー外にリーチ可能なのだ。その点は、TikTokよりも新規のユーザーにコンテンツを見てもらえるチャンスが大きいと言える。

今は『リール』はボーナス期間とも捉えられる

『TikTok』に比べて、大幅な遅れを取るInstagramの『リール』が取るアルゴリズムは、おそらく『リール』への新規投稿者に、リーチ数を、どれだけ増やし、ユーザーに、このリールの機能を使いたくさせるのか?という動きになるはずだ。

そう考えると『TikTok』に比べて後発なため、新規投稿者のモチベーション喚起でリーチを増やしやすいボーナス期間が続くと推察している。今のInstagramの豊富なアクティブユーザーたちに、いかにリールを楽しんでもらえるか?を開発者たちは考えているはずだ。

記事にもある通り、しばらくの期間は、リールに広告が掲載されない期間が続くことが予想される。

かつてFacebookにもボーナス期間があった

この『リール』の今の状態は、かつてFacebookで「動画」が投稿できるようになった最初の期間と似ている。というのも、かつてFacebookで「動画」が投稿できるようになってからしばらくの期間、動画の「リーチ数」が上がりやすかった。

そのボーナス期間に伸びたのが『DELISH KITCHEN』や『クラシル』などの料理系のアプリ。

この短尺動画縛りで相性が良いサービスは、このボーナス期間に影響力を増す可能性があると言える。

180万回以上再生中、どちらも”ネタ系”が強そうな印象

リールの機能が追加されてから1週間だが、フォロワー数5000名弱の運用アカウントで、トータルで180万回以上再生されている。リーチしたアカウント数では、この1週間で35万名を突破し、インプレッションでは48万回を超えた。

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(運用しているアカウントのインサイトデータ)

フォロワー数5000名弱に対し、35万名以上のリーチとは、フォロワー数の70倍以上の数字であり、ニッチなコンテンツの割には広く受け入れられている印象である。まさにボーナス期間の恩恵を受けてもいると捉えている。

今のところ『リール』は『TikTok』より”見栄え"が整ったコンテンツが求められている傾向と感じる。その一方で、どちらも”ネタ系”が強そうな印象を持っている。

ネタ系とは、コンテンツの中で、笑えるポイントがある、または、突っ込みどころのあるもの。ただ、今のところ、『リール』はInstagramの従来の世界観を維持してはいるので、従来のフォロワーが求めるコンテンツを提供していくことで多くの方に受け入れられると捉えているだ。

Instagramは”ソーシャルグラフ”が起点

Instagramのサービスの傾向は、Facebookと同じように、ソーシャルグラフと言われる”直接的なつながり”のネットワークが起点である。

さらに、趣向やカテゴリの”属性”で集まりやすいSNSであるため、今回の新たな機能の『リール』も、その方向性を維持すると捉えている。今回の新機能によってInstagramのトータルでのユーザーの滞在時間が増え、さらに強いSNSになっていくかもしれない。

TikTokとリールの差分としては、TikTokは「パーソナル」な個人を主体としたコンテンツが人気の中心であったが、Instagramの場合は、動画でプロレベルな編集も加わったコンテンツも人気になる可能性がある。(TikTokの場合はプロが編集したような映像が受け入れられることが少ない傾向)

つまり、上記に書いた通り、従来のフォロワーが求めるコンテンツ、かつInstagramの世界観を維持するようなプロレベルな編集が加わったものがウケる可能性がある点がTikTokと異なるポイントかもしれない。

レコメンドの精度の”高さ”こそTikTokの凄さ

TikTokの凄さとは”レコメンド”されるコンテンツの精度の高さだ。つまり、ユーザーが見たい動画を、フォローやフォロワーの属性とは関係なく、あくまでユーザーが見たいと感じる動画をどんどん紹介していく傾向なのだ。だからこそユーザーがハマる。

TikTokでは、AIのプロフェッショナルたちが、数千人態勢でレコメンドの精度向上に努めてきたと言われる。今現在では、属性(趣向やカテゴリ)に寄せているInstagramも、いつか将来は、TikTokのようなレコメンドの精度こそ優位とするスタイルに移行する可能性もある。

そうするとInstagramの今のような属性(趣向やカテゴリ)に寄せた世界観も崩れる可能性がある。現時点でリールがどう進んでいくのか。現時点ではなんとも言えない。今後は、このリールの利用者の傾向、Instagramの向かいたい方向によって決まると言えるだろう。

『TikTok』 vs Instagram『リール』はどうなる?

今後『TikTok』vs Instagram『リール』はどうなるか?であるが、現時点では正直、分からんと言いたい。笑

TikTokがこのまま各国で禁止されなければ、SNSとして世界的に影響度もつ一角を築いていた可能性は十分にあるが、インドなどの巨大市場を失った他、米国での先行きも不透明な今、未来の変数が多すぎていて、今後、どうなるかは分からない。

一方、リールは、Instagram盤石な後ろ盾、かつFacebookという巨大な企業の運営サービスであり、地盤は揺るぎないと言える。

あくまでも推測ベースの記事であるが、私個人としては、今回のInstagramの新機能「リール」の追加は、TwitterやFacebookが日本語に対応、Facebookが動画コンテンツを投稿できるようになったことに継ぐようなくらい、大きなタイミングと捉えている。

しばらく私は、この「リール」に夢中な状態を維持し、楽しみながら使っていきたいと思っている。

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