「エディプスの恋人」になれなかったあなたへ(家族と愛着とDBDマーチを考える)
「時をかける少女」をドラマでたまたま観た小学生の私が、鬱蒼とした父の本棚にその原作の筒井康隆の小説群を見つけるのは、その後「世にも奇妙な物語」で映像化された「七瀬再び」に子どもながらこれは、と唸らされた後だった。興味を搔き立てられる。面白いのだ。物語の運びに、そして「もしもこうだったら」のパラレルな世界の隅々まで行き渡る描写に、「そうかもいや、」と想像力を駆使させられた。
本棚の密林に「エディプスの恋人」も鎮座していたが、そちらが気に留まったのはかなり長じてからのことだ。大