見出し画像

【ゲーム】デスストランディングが魅せたゲームとしての革新性【レビュー】

今回は数か月前にプレイしたゲーム「DEATH STRANDING(デスストランディング)」についてレビューを綴っていきたいと思います。

ここではデスストランディングがどういったゲームであるかや、ゲームのストーリーについては割愛します。

ストーリーについては、僕のYoutubeチャンネルにまとめた動画があるので、興味のある方は以下をご覧ください。ストーリー自体とても良質なSFといった具合で、クリアからしばらく経った今でも余韻が残っているほどです。

実況プレイした動画(合計でPart20)もあるので、良ければこちらもどうぞ。


さて、今回のレビューとしては、ゲームとしてデスストが優れている点についてお話したいと思います。この点について整理しておかないと、自分の中でもデスストを完全に消化しきれないなと感じて、筆を執った次第です。ちなみに、ここで書く内容はあくまでも個人的感想になるのであしからず。


1.「お使い」をメインに据えたゲーム性

最近のゲームの一つの主流であるオープンワールドゲーム。この類のゲームにほぼ必ず出てくるのが、いわゆる「お使い」と呼ばれるサブクエストで、メインストーリーとは直接関係しない要素です。

バトルなどを軸にしているゲームでは、サブクエストは往々にして手間がかかる割に退屈といった印象が多く、内容も「特定のアイテムを集めて届ける」とか「色んなNPCの話を聞きながら困った人の悩みを解決する」など、まさに「お使い」といったものになりがちです。

しかし、デスストに関しては「物資を配達するゲーム」と言える内容で、これまで「お使い」として一般的に敬遠されていた要素が、ゲームを進める上での主軸の内容です。

ここが非常に斬新で、ストーリーとともに「配達」を楽しむといったことをド正面から提示されるゲーム性です。

険しい山道や大きな河川を越え、BTという化け物や武装集団を回避(戦闘も可)しながら、依頼人の元へ荷物を届ける。これを行っていくことで、依頼人からの信頼が高まり、その先に進めるという仕組みが組まれています。

やっていることは従来の「お使い」と言える内容でも、それをやらないと先へ進めないという強制力と、配達自体における多様でリアルなアクション性、さらには自分なりのルート計画などのオープンワールド的自由度によって、思わず「お使い」を夢中になって楽しんでしまう新しいゲーム性が体現されています。もしこれがバトルメインのゲームであれば、配達は非常に退屈なものとなっていたに違いありません。

この部分に、「デスストって新しいな」と思わせる一番の革新性が詰まっていると思います。

画像1

時にはこんな大量の荷物を配達することもあります。荷物が重いとそれだけバランスを崩しやすい、というような細かい作りがとても斬新でした。



2.ロード時間を感じさせない「ストレスフリー」な体験

現行の家庭用ゲーム機にとって、一定のロード時間というものは切っても切り離せない要素です。(とはいえ以前に比べればだいぶマシにはなっていますが…。ちなみに、まもなく発売される次世代ゲーム機においては、ロード時間を大きく短縮した驚くような快適性が一つの売りになっています)

この問題に関しても、デスストでは細かな工夫によって、ロード時間自体の短縮や、時間を感じさせない配慮がされています。

開発に関するインタビューなどでも言われていましたが、開発体制は非常に小規模であるため、開発工数を削減するため、フィールド上にはほとんどNPC(ゲーム内のキャラクター)が存在しない作りになっています。これによってグラフィック部分の構築を簡易化するとともに、プレイにおけるロードの負荷も軽減できています。

オープンワールドゲームは、比較的シームレスな作りにされているものもありますが、どうしてもフィールドマップの読み込みに時間がかかるものが多く、プレイ開始時に相当な時間を要する傾向にあります。しかし、デスストはこの点が非常に軽い。他のゲームよりもスッとプレイを始められる印象があります。

また、ロードを必要とする部分の大部分に「決まったムービー」が挿入されるようになっていて、プレイとプレイの間も待ち時間の感覚にならず、違和感なくシームレスな繋りを生んでいます。よくある「NowLoadingの画面」というものを目にすることが、意図的に少なくされている印象を受けました。

これによって、常にゲームの世界へ浸ることができ、現実に戻されるタイミングがほとんど無い没入感が生まれています。



3.音楽をゲームの要素としてしっかりフューチャーしている

音楽好きな僕にとっては非常に嬉しいポイントが、デスストにはありました。

それは、音楽にもきちんとこだわって制作されているという点です。もちろん、他のゲームもBGMなどにこだわりや力が入っているゲームは多くあります。しかし、デスストからは、音楽へのリスペクトが溢れているように感じます
というのも、ゲームに合う音楽を後から添えているのではなく、しっかりと音楽込みで作られているんだなと、思えるようなゲームと音楽の一体感があるからです。まるで、「ゲームというエンタメには音楽が無くてはならないものだ」という強い主張すら聞こえてくるような、こだわった作りがデスストにはあるのです。

例えば、ゲーム内でフィールドを移動していると、特定のエリアに入ったタイミングで不意に歌付きの楽曲がBGMとして流れ出すのですが、その際に曲名とアーティスト名が画面の端に表示されます。少々メタ的な演出で毛嫌いする方もいるかもしれませんが、ここは非常に小島監督らしい部分だと思います。

リスペクトしているアーティストに楽曲(一般楽曲からゲーム専用楽曲まで)を提供してもらうといったこだわりようで、特別なシーンでも無いのに歌付きの楽曲が挿入されているというのは、ありそうで無かった作り方だと思います。そして、それらの楽曲をきちんとプレイヤーに認知してもらう仕組みも用意している。ここに音楽好きとしての血が騒ぎました。

また、ゲーム内の特定の場所では、設備から好きなBGMを流せる仕組みがあり、改めてそのエリアに近づいた際には、ちゃんと設定した音楽が遠くから聞こえてくるんです。これは、他のプレイヤーとも共有できており、誰かが設定したBGMが自分のゲーム内で流れてくるといった工夫もされています。その他にも、ゲーム内の拠点となる場所で、使用されている楽曲を自由に聴けるようになっていたりと、随所で音楽を楽しめる作りになっています。

画像2

雨を避けるシェルターもBGM設定ができる設備の一つ。雨宿りしながら音楽を楽しめるゲームなんて他にありました?


さらには、楽曲提供しているアーティストの中には僕が好きな「Major Lazer」や、日本のアーティストからは「星野源」も参加しているので、そのバリエーションの広さにも、ついついニヤリとしてしまいました。

ちなみに、どの楽曲も厳選された印象のものばかりですが、エンドロール時に流れるゲームタイトルを冠した楽曲が、本当に感動ものなので参考までに載せておきます。
まるで大作映画のエンディングを思わせるようなエモーショナルなメロディが、全身を感動で包んでくる壮大な曲です。

CHVRCHES - Death Stranding (Lyric Video)



4.ソロプレイでありながら他のプレイヤーを感じる設計

各所で既に多くの評価をされている点ではありますが、最後にデスストの「オンラインゲーム性」について触れておきます。

デスストは、あくまでもソロプレイのゲームです。他のゲームにあるようなゲーム内で並んでの協力プレイや、対戦要素などは一切ありません。
それでありながら、オンライン接続が必要なゲームでもあります。これは、「配達する道中を快適にする様々なアイテム」を介したオンラインの繋がりを作るためでした。

発売以降、世界中のプレイヤーが同時にデスストの世界で一人で配達をこなしていました。しかし、その道中には、他のプレイヤーが使ったり残していった設備やアイテム、さらには様々なメッセージがオンライン要素として存在しているため、完全に孤立したプレイではありません。
プレイヤーはこれらを活用することで、配達ルートを短縮したり、重い荷物を楽に運んだりすることが可能になります。全てを自分で用意しなくても、他のプレイヤーの助けを借りられるといった珍しい要素です。
そして反対に、自分から別のプレイヤーにも同じように、助けとなるような設備やアイテムを残すことも可能です。

画像3

メッセージ的役割を果たす電信看板。励ましや注意喚起など様々な内容があり、間接的に他のプレイヤーとコミュニケーションをとれる仕組み。


この点が、デスストファンになった人達の中でも非常に評価が高く、プレイヤーのゲーム外での繋がりも生み出しているほどです。

広い世界を孤独に配達して進んでいく主人公のサム。周りを見渡しても人影はほとんどないにも関わらず、たしかに他のプレイヤーの存在をそこに感じられるという独創的なオンライン要素。デスストがテーマに掲げる「人と人との繋がり」を仕組みとして体現している部分だと思います。



以上、少々長くなりましたが僕が感じたデスストの革新的な部分についてまとめてみました。

これでようやく、自分の中でデスストというゲームを完全に消化できたような気がします。まるでここまで長い旅をしていたような感覚です。(とはいえ、次世代機が発売された折には、向上した画質でもう一度デスストランディングの世界を楽しみたいなと、密かに考えています)


それでは今回はこの辺で。

ここまでお読みいただいた方は本当にありがとうございます。

この記事が参加している募集

元々文章を書くのが好きで、文章と他の趣味を形に残していきたい、色んな人に自分の趣向や考えを発信してみたいと思って、自由気ままに書いています。 これで稼ごうなんて少しも考えてもいませんが、少しでも僕の書いたものに何かしら価値を感じた場合、激励としてサポートしていただけたら幸いです。