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TOEICレベルの英語もできなくて、ビジネスの現場の英語が理解できるわけなくない?「英語学習2.0」岡田祥吾【Zakieigo②】

【Zakieigo②】「TOEICレベルの英語もできなくて、ビジネスの現場の英語が理解できるわけなくない?」

Hello there✋

純ジャパからグローバルに活躍するビジネスパーソンを目指すYuのnoteです。

今回を含め全3回の記事で、私の英語学習におけるバイブルとも呼べる一冊、「英語学習2.0」について、内容を要約しながら、見習いビジネスパーソンの私が実践できそうなポイントについて触れていきたいと思います。

初回となる前回は「英語学習2.0」の概要について書きましたが、第2回は学習生産性を上げるための具体的な英語学習法について触れていきたいと思います。

1.英語学習の組み立て方

「英語学習2.0」では英語の成長を以下のように定義しています。

英語力の伸び = 学習生産性 × 投下時間

まず「学習生産性」ですが、これは「一定の時間勉強して、どの程度英語力が上がるか」ということです。勉強の効率と言い換えることができるかもしれません。「投下時間」は、読んで字のごとく、英語学習に費やす時間です。みなさんが英語力を伸ばしたいと思ったら、すべきことは2つしかありません。それは、学習生産性と投下時間の最大化です。

その2つの実現のためにやるべきことは、

①本当に効果のある英語学習方法とは何なのか?  
②それを続けるためにはどうすればいいのか?

この2つを理解し実践することだと、岡田さんは述べています。
それでは、具体的にどのように実践していくのでしょうか?

「英語学習2.0」によると、学習法や教材はすでに世の中に満ち溢れているため、大切なことは、その手段(How)をどのように最適化して使っていくかであるとのことです。

次章からは、そこについてまとめていきます。

2.英会話の5ステップ

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上図の通り、英会話はまず「リスニング」「スピーキング」に分けられます。さらにリスニングは、「音声知覚」「意味理解」の2つに、スピーキングは「概念化」「文章化」 「音声化」の3つに分けることができます。
これが英会話の基本5ステップです。

この5ステップにもとづいて英語学習について考えてみると、何とリーディングが英会話の上達に繋がるというのです。
一体どういうことなのでしょうか?

3.リーディングが英会話に繋がるの?

リーディングの一番大きな目的は、「英語脳」を作ることです。 ここでの「英語脳」とは、「英語を左から右に順番に理解していく」ということを意味しています。

第一歩として、リスニングとリーディングの関係について説明します。  
リスニングとリーディングは、脳の中では非常に似た処理をしています。

 リスニングは、耳から音声情報を受け取り、単語の羅列を認識します(音声知覚)その後、文章全体の意味を理解します(意味理解)。  

リーディングは、目から文字情報を受け取り、単語の羅列を認識します(文字知覚)その後、文章全体の意味を理解します(意味理解)。

リスニング:音声知覚→意味理解    
リーディング:文字知覚→意味理解

このように考えてみると、受け取る情報が音声なのか文字なのかという違いはありますが、その後の意味理解は同じです。

このことから、リーディングを通して英語脳を鍛え「意味理解の精度とスピー ドを高める」ことができるとリスニング能力も高まるということが理論上説明できます。

本書において、英語脳を鍛える方法としては「多読」が紹介されています。

この多読トレーニングの効果を高めるために重要なポイントは、2つあります。

①辞書を使わない  
②後ろから訳さない

①に関しては、多読をするときにも、意図的にリスニングと同じように辞書を調べないという制約をつけることで、リスニング時と同様の状況を作りだすことができ、わからない単語も文脈から推測する力がつくということです。

②に関しては、つまり、「左から右に英語の順番で読む」ということです。これもリスニングと同じ状況を作りだすことが目的です。
リスニングをしているときは、わからないからといって、 もう一度戻って聞くことはできません。次から次へと英語を理解していかなければなりません。多読をするときは、この状況を意図的に作ることが大事なのです。

以上のことを踏まえると、「わからない単語がほぼ存在しない題材を選ぶ」ということも大事になります。
意識の高いビジネスパーソンは、いきなり「The New York Times」などでリーディングを実施したくなりますが、これらのニュースは単語レベルも文章の構造もむずかしく、理解に時間がかかることが珍しくありません。

単語を調べないとまったく意味がわからないという状況に陥る可能性が非常に高いので、最初は簡単な文章から始めることが大事です。IBCパブリッシングが出版している「ラダーシリーズ」など簡単なものから始めましょう。

4.「TOEICは意味がない」という人たちに言いたいこと

「TOEIC(ここではL&Rテスト)は意味がない」という人たちがいますが本当にそうなのでしょうか?

本書での結論から言うと、英語初級者~中級者にとっては、TOEICはきわめて有効な試験だと述べられいます。

まず、英語学習をするうえで、定量的に現状を理解するというのは非常に重要です。
ビジネスの世界では、PLやBS という指標で企業の現状を測り、改善活動をくり返します。
PLやBSが完璧に企業の状況を表しているとは言えませんが、わかりやすい指標で企業の状況を把握することは、有効なことです。

英語のスキルにおいても完璧に測ることができるテストは世の中に存在しません。それでも最善のテストを用いて現状を理解することにより、英語学習がより効果的になることは言うまでもありません。

それではTOEICはどのような点で利点があるのでしょうか?

そもそも、どれだけスピーキング能力が高くても、ミーティングで相手が言っている意味がわからなければ会話はできません。リスニング力が非常に高く、相手の言っていることが完全に理解できれば、最悪、スピーキング力が低くても単語をつなげて会話を成立させることは可能です。

よって実際に英語を使う現場を考えてみると、まず第一に、聞いたり見たりして内容を理解する能力、つまりはリスニングとリーディングの力が大事なのです。

次に、「TOEICのスコアが高くても英語を使えない人が多い」という意見について考えます。  
これもよく言われることなのですが、正しくもあり本質を外している意見だと述べられています。

TOEICスコアが高いということは、リーディング力とリスニング力が高いということになります。
したがって、 「TOEICのスコアが高くても英語を使えない人が多い」という意見は正しい。  
一方で、TOEICは、英会話をするうえでは必要条件になりますが、十分条件ではないのです。どういうことかというと、TOEICができると英会話ができるという論理は成り立ちませんが、TOEICすらできない人は英会話はできないという論理は成り立ちます。

岡田さんは、下記のように表現しています。

「高校野球では活躍していたのに、プロ野球では活躍できない人が多い」と言っているのと同じです。 だからと言って、高校野球レベルで活躍できない人がプロ野球で活躍できるわけがない(「英語学習2.0」97P より)

結論、TOEICレベルの英語もできないで、ビジネスの現場の英語が理解できるはずがないのです。きっぱり。

5.リスニングは音声知覚を自動化せよ

リスニングの際に行われる脳の処理は、2章の5ステップにおける「音声知覚」と「意味理解」に当たります。
リスニングのポイントはこの2つの処理が両方できて初めて成立するという点です。

リスニングに課題がある場合、音が聞こえて、それがどういう単語か浮かんでいない人は音声知覚が課題ですし、単語は頭に浮かんでいるものの意味がわからない人は、意味理解に課題があります。

音声知覚を鍛えるトレーニングと意味理解を鍛えるトレーニングはまったく異なりますので、それぞれの課題に合ったトレーニングをすることが、 学習効率向上につながります。

たとえば、野球選手が野球がうまくなりたいからといって、守備練習とバッティング練習のどちらをすべきか考えずに練習することはありえないはずです。守備の力を向上させるべき選手がバッティング練習ばっかりしていても、残念ながら 守備はうまくなりません。 (「英語学習2.0」104Pより)

音声知覚の課題は大きく次の2つに分けられます。
① 音を理解していない:知識データベースに単語の音データが不足している ② 音の情報処理が遅い:知識データベースとのトランザクション(一連の処理) のスピードが遅い

意味理解も同様で、課題は大きく次の2つです。
① 単語力不足:知識データベースに単語や文法のデータが不足している  
② 意味を引っ張るのが遅い:知識データベースとのトランザクションのスピードが遅い

音声知覚を鍛えるには、シャドーイングが推奨されています。
シャドーイングとは、英語音声を聞きながら、それと同じ音を少し遅れて発音するトレーニングです。

シャドーイングをする目的は、ズバリ「音声知覚の自動化」 です。

「音声知覚の自動化」とは、音声知覚に頭を使わなくても音声知覚を完璧にできる状態を作ることです。 
日本語をリスニングしている状態を思い浮かべてください。 音声知覚に頭を使っている感覚はありませんよね? 私たちは頭のほとんどを意味理解に使っていると思います。 
英語でもこの状態なるというのが「音声知覚の自動化」です。
そしてこれを目的に行うトレーニングが、シャドーイングなのです。

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次に、意味理解の鍛え方についてですが、これは3章で述べた多読に尽きます。
4技能を脳の働き方で分けて学習を進めることが大切です。

①受容スキル (receptive skills)リスニング・ リーディング
②産出スキル (productive skills)スピーキング ・ライティング

加えて、よくスタディサプリなどで実施されているディクテーションはどのように活用すればよいのでしょうか?

ディクテーションは英語の音源を聞きながら、すべての文章を書き取るトレーニングです。

「英語学習2.0」において、このディクテーションは、リスニング力向上の効果が薄いと書かれています。
理由としては、負荷がシャドーイングと比較してきわめて小さいからです。ディクテーションは、聞いた音を単純に書き取るというプロセスであるのに対して、シャドーイングは聞き取った音を同時に口から発音するというトレーニングであるため学習効果も高くなります。

一方でディクテーションにも利点はあります。
自分の音声知覚のスキルがどの程度なのかを見きわめるのに、最も適しているのです。

例えば、リスニングの際に聞き取れなかった部分の単語自体を知らないとしましょう。そうすると、音声知覚ができていない原因は、単語力の欠如であると推定できます。であれば、 リスニング力を上げるためにすべきことは、シャドーイング ではありません。単語の暗記です。単語力が欠如しているこ とが理由で音声知覚ができておらず、その結果リスニングができていない、こういった分析が可能になるのです。

このような観点から、ディクテーションはリスニングにおける課題の把握をするためにはきわめて有効な手段です。

また、成長を可視化することで、モチベーションの向上につなげるという面でもディクテーションは有効です。

一度ディクテーションした結果を残すことで、まったく同じ音源で1カ月後にディクテーションをすれば、 どの程度自分の音声知覚のスキルが向上しているかを把握することができます。

ディクテーションは、トレーニング自体の効果はそれほど高くありませんが、課題の把握、成長の可視化という観点では非常に有効ですので、活用の仕方次第といったところでしょうか。

6.スピーキングはシンプルさと機会の最大化

まず、スピーキングができない理由は大きく2つに分かれます。

①リスニングができていないからスピーキングができない  
②スピーキング力が低い

リスニングに課題があるために英語を話すことができていない人が、どれだけスピーキングのトレーニングを積んでも効果は薄いので、そういう方は、まずリスニングやリーディングなど受容スキルのトレーニングを積むほうが先決です。

それでは、スピーキングをしているときの脳のプロセス(フレームワーク)について、5ステップに基づいて確認します。  

スピーキングをしているときの脳の中では、大きくつのプロセスが行われています。
 ①概念化  ②文章化  ③音声化

まず、頭の中で何を言おうか考える概念化というプロセスがあり、それをもとに英語の文章を作る文章化というプロセ スがあります。最後に文章化した英語を口から発音する音声化というプロセスです。
どんな人でもこの3つのプロセスを瞬時に行うことにより、 英語を話しています。

この3つのプロセスに基づいてスピーキングの学習法をまとめていきます。

概念化においては、シンプルに考えること、これに尽きます。
具体的には下記のように、シンプルな思考を持つことが大切です。

  [日本語での概念化]   
英語をもっと一生懸命勉強したら、今よりさらに質の高い仕事ができるだろう。
 [シンプルな日本語での概念化]   
英語を勉強することは、私の仕事の質を上げる。
 [英語での文章化]   
Studying English will improve the quality of my work. 

シンプルな日本語で考えるクセを身に着けることが大事です。

次に、文章化ですが、最も推奨されているのは、口頭英作文というトレーニングです。

基本的なコンセプトとしては、非常にかんたんな日本語を、 どんどん口頭で英語に訳していくというトレーニングです。
知ってい る単語をいかにスピーディーに並べて文章化できるようにするかということが、このトレーニングの目的になります。

私自身も『CD BOOK どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』 (森沢洋介著、ベレ出版)を地道にやってきました。

音声化はやはりオンライン英会話や英語圏の友人と話すことで機会を増やすしかありません。
私の尊敬するAtueigoのAtsuさんは、そのような機会を作れないようであれば、英語で独り言をすることを推奨していました。独り言を含め、とにかく英語で発話をする機会を自ら生み出すことが大事になりそうです。

7.そんなこと言っても時間ないよね

ここまで「英語学習2.0」に掲載されている学習生産性を上げるための具体的な学習法についてまとめてきましたが、「そもそも英語学習のための時間を生み出せないよ」という意見もあるかもしれません。

再掲しますが、英語力向上の図式は以下です。

英語力の伸び = 学習生産性 × 投下時間

次の記事では、投下時間の増やし方についてまとめていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

See you soon✋

下記次回記事




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