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#恋

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きみの脈拍を感じてわたしは所詮他人なのだと知ったあの日、はじめてきみとひとつになりたいとこころから願いました。願い事は、叶わないからするものなのだということも知っていたから。きみをもっと解りたくて、だけどそうしてきみに触れる度にわたしたちは他人になる。きみの脈拍を感じた瞬間、わたしの身体もおおきくおおきく脈を打つ。ああ、きっとわたしたちはひとりでも生きていけてしまうんだね。それでもこうしてふたりで

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擦り切れるまで

擦り切れるまで

好きな曲の好きなフレーズを何度も何度も再生する。好きな映画の好きなシーンを何度も何度も再生する。きみがくれたあの言葉を何度も何度も再生する。反芻は、あの日々を本当にしてくれるかな、反芻が、わたしの一部にしてくれるかな。イントロを聴けば口ずさめるあの曲。この季節になると再生されるあの記憶。いつか擦り切れて、空白が生まれたその瞬間に、わたしはきっと、転生する。きみがまばたきをする瞬間に死んで、ふたたび

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カウントダウン

カウントダウン

きみに触れたのはきみとの破滅を望んだから。恋をすることは失敗することの決意でした。互いを呪い合う覚悟でした。あの光。深夜のブルーライト、きみからのメッセージ、「好きだよ」、6:32:14とだけ表示された無機質な最後の通話履歴。きっと霞んでも光はいつまでも光のままで、今もその先が心臓を突き抜けて痛い。過去を抉る気持ち良さは瘡蓋を剥がす気持ち良さに似ている。膿んだ傷口から溢れ出す体温。その痛みこそが今

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