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事業承継は税金メインで考えると危険

あなたが思う「事業承継で大切なこと」は何ですか?

事業承継を検討する際、単に「株式の承継」+「代表者の交代」と考えて、税金の多い少ないを最重要ポイントとして進めてしまいがちです。

例えば、
・一時的に利益を減らして株価を下げ、後継者に贈与すれば良い
・M&Aであれば株価を高めて売却益を確保できれば良い

といった、節税手法や手続きの議論に終始してしまうことです。

しかし、事業承継とは文字通り「事業そのものを承継」することであり、

承継後に経営が安定し、さらに発展していくことが最も大切なことです。

税金面も当然重要なことですが、それ以外にも重要なことがあり、円滑な事業承継を行うためには税金面で妥協が必要になることもあります。


事業承継の構成要素

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(上記の図は中小企業庁が作成した事業承継ガイドラインから抜粋)

円滑な事業承継を実現するためには、

・人(経営)の承継
 ⇒ 経営権

・資産の承継
 ⇒ 株式、事業用資産、資金

・知的資産の承継 
 ⇒ 経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、
   経営者の信用、取引先との人脈、顧客情報、
   知的財産(特許等)、許認可 等

これらの各経営資源を適切な形で後継者に承継していくことが重要です。

冒頭に挙げた株式の承継は「資産の承継」に該当するため、事業承継における重要な事項ではあるものの、事業承継の取組全体の中では一部に過ぎず、

これを重視しすぎると「自社の強み」や「企業価値」を低下させることになりかねません。

経営者交代を機に飛躍的に事業を発展させるチャンス

事業承継に向けた取組において検討しなくてはならない構成要素は、
人(経営)・資産・知的資産と実に多面的であるため、事業承継に向けた取組は大変な作業のように感じられ、取組を先送りする経営者もいますが、

事業承継によって経営者が若返りすることは
事業が飛躍的に発展するチャンスです


中小企業庁の実施した調査によると、以下のことが明らかになりました。

経営者年齢が上がるほど、投資意欲は低下し、リスク回避性向が高まる

経営者の交代があった中小企業は、交代のなかった中小企業よりも経常利益率が高い

これらのことから、中小企業において早期に事業承継を実現することは、中小企業の事業発展に貢献するものと考えられるのです。

事業承継を先送りしたり、節税を重視するあまり企業価値を低下させることは、事業が発展する機会を自ら逃しているのかもしれません。


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(出展:事業承継ガイドライン)


まとめ

「事業」そのものを「承継」し、事業を発展させる

という事業承継の基本的な考えを念頭に置いたうえで、取り組むべき課題を明確にすれば、日々の事業運営の中で取り組めることも多いはずです。


事業承継には後継者育成を含めて5年~10年ほどの時間を要することから、十分な準備期間をもって着実に進めていきましょう。

士業等専門家の支援を仰ぎながら事業承継を実行し、
さらには、事業の10年後を見据えて行動していくことが重要です。


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