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熱っぽい空虚感

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主にnoteに更新した詩と散文のまとめです。
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祈り

祈り

「わたしは知らない」

ひとり疎開した
祖母の恐怖を
わたしは知らない

無口になった
祖父の傷を
わたしは知らない

もう知ることができない

それでも祈る
平和を
知るものとして

大地で育まれる
草木が美しいと
涙する人のとなりで

#平和
#原爆の日

・・・

「花火」

はしゃぐ子ども
冷えたスイカ
線香の香り
空を見上げる
花火の音
鎮魂の祈り
少し寂しい
蝉の声も
止んだ

もっとみる

愛していると伝えてください

かなしみの淵にいる
涙の滝は
静かに落ちて
しぶきとなって
誰かの涙と
混ざる交わる
雨が降って
虹の光を作っても
雨漏りする
心は何処

いつもと同じ景色に
優しい日差しが
あるだけで
美しいと
ありがとうと
呟き囁く
雨が降って
地が固まっても
遠くを見つめる
心は何処

かなしみの淵にいる
何処かにいってしまった
貴方を探す
私は此処で

雨上がりに

容赦なく肌を打つ
雨は無慈悲だ
冠水した道路
はりつく布きれ
コンクリートの街
ビニル傘がよく似合う
自然から拒絶されたようで
拒否してる
静かなビルの中で
いつしか歓声が上がる
ここが
虹の出発点
人はエゴイストで
ナルシシストだ
私は背を向け
賑わう間をすり抜ける

春の詩

春の詩

春一番
まだ肌寒い
露に濡れた梅が
眠る朝
ひとり歩くこの道に
夢や希望という言葉は似合わない
くぐもる空気は意識を朦朧とさせ
視界さえ曇らせる
誰とも目を合わさずに
アスファルトが途切れるまで
下を向く
顔を上げれば
今日が春一番
もっと強く
強く吹いて
吹き飛ばしてほしかった
答案用紙
終わらせて
はじまるまで
春は来ない
けれど
鼻にツンとくる
春の香り