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セシボンといわせて(十八日目)

〈十八日目〉


 午前4時過ぎ、母に起こされる。
 トイレを出してケージを掃除しかけている。ジョイントマットは裏までびしょ濡れとのこと。水もひっくり返っているが、量的に水ではなくオシッコで濡れている、というのが母の弁。だから、玄関の外へ出してホースの水で流してきれいにしよう、と言う。
 猫は床に降りていたが、水を流すと慌てて一段目の棚板まで上がる。

 水で自分たちも濡れるのは仕方がない。まだ夏なのでマシだ。床に溜まった水を流し出す時は二人でケージを支えつつ協力して行った。床拭きはワイヤーネットで上下をしっかり分けてから行う。外での清掃なので、セシボンが逃げないように緊張している。
 ジョイントマットは床面の半分に敷き、トイレは二段目の棚板の真下へ設置した。(元々の置き方に戻した。)私がトイレの作業をしている間に、母は玄関の壁の、ケージが接する面にジョイントマットを立てて置き、段ボールを貼り付けてくれる。(壁 、ジョイントマット、段ボール、ケージの順になる)これでセシボンが手を伸ばして爪がとげる。
 玄関にケージを整えると、セシボンはすぐさま床に降りケージの扉の前に陣取る。   ずっと鳴いているけれど電気を消す。すると、黒毛は夜明け前の闇に溶けてしまい、私には君の姿が見えない。

 食堂の扉を僅かに開けておく。玄関に光が漏れている。
 凄く暴れる音がしている。爪で何かを引っ掻く音、バリバリ咬み切る音、何かがボロボロになっていく音......。
 音が落ち着いてから見にいくと、床のマットが咬み千切られており、壁に貼り付けた段ボールと壁の間に立てていたジョイントマットをケージの中へ引っ張っていた。

 その後もずっと鳴き続ける。
 今日は昼過ぎても暴れていて、トイレが反転していたり、ちりとりブルドーザーに発進してもらったりしていたが、朝の8時を過ぎて様子を見に行った時がもっとも酷く、これはまあ、凄いことに......、と絶句した。
 座った状態のセシボンにトイレ本体が被さるような感じになっている。
 どうしようかと、こっちも固まる。すぐにどうにかできそうもない。諦めたくなる。……写真、 取るか、と思いケータイを取りに行ったら、その間に自分で抜け出していた。

  母が、玩具でちょっと遊んでやったと言っていたのを思い出し、ススキの玩具で右耳の辺りを撫でると嫌がらず、寧ろ目を細めて眠そうにしていた。手を止めると鳴き始め、席を立つと、マットをガジガジかじり出す。

 夕方、母が帰るまでのしばらくは大人しくしていたが、帰宅とともにまた訴え鳴きが始まった。
「声、枯れてるねぇ」と言われている。



一つ前のお話はこちら↓です🐈‍⬛


*セシボンとの日々をまとめました。目次もあるのでお好きなところだけ読んでいただけます😊🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛**



☆☆☆見出し画像はみんなのフォトギャラリーより、にきもとと様の作品『空を見る。』を拝借しております。いつもありがとうございます☺️☺️☺️☆☆☆☆☆

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