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留学しなくても英語は喋れるようになる

-アラフィフに英会話ができるまでの3つの習慣,という経験をシェアするためのシリーズです.(Episode#01) 有料記事にしていますが,最初のエピソードのため全文が無料でも読めるようにしています.

そのうち翻訳アプリがなんとかしてくれるって思ってません?

はい,たぶんそれは正しいと思います.10年前,まだインターネット上の翻訳サービスは全然使い物になりませんでした.単語を調べるのに使えるくらいで,ナチュラルな日本語を英訳するとなると,英語が喋れなくてもオカシイぞってすぐ分かるほど使えなかったですね.それが,この頃は随分精度が良くなってきていますから,日本語と英語の決定的な文法や表現の違いを超えて,おそらく数年後には違和感なく会話が出来るようになるんじゃないかと思います.

しかし,ですよ.例えばカメラが進化して誰でも素敵な写真が撮れるようになったことと,カメラの構造や特性を理解して”写真とは何か”を常に追い求めている写真家が撮る写真が一味違うように,あるいは,楽譜が読み書きできなくてもアプリが進化して誰でも音楽が作れるようになったことと,音楽家が歴史や構造を理解して生み出す音楽とは,やはり違うような気がするんですよね.どちらがいい悪いではなくて,モノゴトの構造を知るというプロセス自体に,学びの利点があると思いますし,その価値が分かる人なら,英語も喋れるようになるプロセスの旅そのものがいかにワクワクに満ちているかって想像出来ると思うんです.

あきらめた留学

20代のころ,パリに留学するつもりでフランス語の学校に2年間通ったことがあります.結局,その当時僕も若者らしく紆余曲折があり,結局それは諦めることになったので,そのフランス語も中途半端なまま四半世紀が経ち,日常会話もおぼつかないほどに衰えてしまいました.ただ,留学は諦めたもののフランスで暮らしてみたいという当時のささやかな望みは,大学院時代に当時の後輩を連れてひと月弱のヨーロッパ周遊中に1週間パリに滞在するというワガママな行程を押し付けて自分の中で強引に実現させました.ふたりで週貸しのアパルトマンを借り,毎日近所のお店で食材を買い,部屋のキッチンで調理し,同じアパルトマンに暮らしている人たちを招き食事をともにしたりと,今思えば素敵な日々を過ごし,冗談くらいには使える「パリ暮らし」の経験を既成事実化したんです.「昔,パリに暮らしててね.ただし1週間だけど」「なにそれ?」ってやつです.

フランス語よりも先に,大学1年の時に第二外国語の科目として中国語かドイツ語の選択で,ドイツ語を選んでみたんですが,単位は取れたもののほぼ何も分からない有様だったのを覚えています.その後,大学院で建築の歴史意匠を学びながら,聴講生として別の学部で比較美学を学ぶために週に一度ドイツ語で書かれたテキストを読んでくるという授業に半年参加したことがあります.文法的には英語とそれほど変わりないために辞書を片手になんとか乗り切ったんですが,授業で習った内容のことは覚えているんですが,ドイツ語として何かを覚えたという実感はなく,いまでも挨拶くらいしかできません.フランス語でも男性名詞と女性名詞があってもうそれは混乱するんですが,ドイツ語はさらに中性名詞があるんですよね.ちなみにロシアの友達から聞くとロシア語ではもっと多いとか.

当時は,英語よりもドイツ語よりもフランス語の方がはるかにマシでした.その時に漠然と理解したのは,言葉は学ぶ人のモチベーションがないと身につかないんだなと.これは言葉だけではなくてすべてそうなのだろうとは思います.フランス語のレッスンは会話練習もあったので,おかげで今でも少しは使えます.ボキャブラリーは中学から学んでいた英語の方が豊富だったんですが,いかんせん昔の日本の英語教育はスピーキングや英語を喋るという目標設定すらなかった時代で,話し言葉としてまともに口から出てこなかったですね.でも,今となっては,その中学英語で覚えた単語や基礎文法と,高校で授業として英語を否応無く学び続けたことが僕の英語の基礎体力のようになっていたのだなと実感しています.

留学しなくても英語は喋れる

当時から英語は決して嫌いではなく,むしろ好きな科目でした.僕らの時代は中学で初めて英語を習った世代なんですが,その時に英語を学ぶモチベーションになっていたのは,僕にとっては洋楽であり,西洋文化への憧れだったのは間違いありません.ほぼドリフのテレビで日本の歌謡曲しか聞いたことがなかった僕らは突如として街に溢れ始めたカッコいい洋楽を聴きながら,この歌詞が分かったらいいのに,とか,アルファベットで書かれた雑誌や新聞などの見た目の格好良さに心底憧れていたんです.

大人になってから英語,特に会話能力を学び直して3年半が経ち,今では英語で普通に受け答えが出来るまでになりました.英語の雑誌やインターネット記事,ラジオ,音楽に日常的に触れることで,目の前に見えてくる情報量が格段に違ってきたんです.それにともなって,日本の情報に限定されないことでより複眼的に世界を見られるようになりました.これは僕にとっては素晴らしい変化だったんです.そうなると欲が出て,引退後は自分の暮らす広島という世界的な知名度がある街で海外観光客にツアーガイドのボランティアをしたり,海外の大学でレクチャーをしたり,いや,やっぱり一度ちゃんと留学してみたいよな,なんて将来を妄想したり,チャレンジしたいことがどんどん出てきて,毎日英語漬けで新しいことを学んでいるというフレッシュな気分があるのは確かですね.

そんな経験から,留学しなければ英語は喋れないのかと聞かれたら,それとこれとは実際は別の話だろうね,と答えられます.もちろん,留学できればした方がさらに良いだろうということは明らかですが,少なくとも,僕は語学留学すら経験がないまま,何とか英語で日常的な雑談や今起きていることに関するトピックスについて会話を続けられるくらいには成長できました.しかも本腰を入れ始めたのは50歳近くのおじさんになってからです.それで,自分が試してきたあれこれを共有して,同じように日常生活の中で何とか英語と仲良くしたいな,と考えている人へのヒントになれば,という思いでノウハウをまとめてみることにしたわけです.

このシリーズ10本の記事をお得なマガジンにまとめました.ぜひご覧ください.

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