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【詩】メモリー



ふいに込み上げてくるような
意図的に引き出せないような


宝箱には何を入れていたっけ


誰がネジを巻いたのだろう
オルゴールが回りだす
ドラゴンと子豚と旅人の行進
月の夜に光るキノコ


夢の中にいるような
時を巻き戻したような


あの気持ちはどこにしまったっけ


誰が僕に語るのだろう
絵本の扉が開かれる
魔女のキャンディと老木の微笑み
回るメリーゴーランド


飛び出すピエロ
浮かぶ島々
オバケの装い


繰り返すメロディ
宝物を一つあげる
その気持ちを忘れないで


誰がネジを巻いたのだろう


誰が僕に語るのだろう


そこにいるのは誰だろう


失くしたものを思い出すような
子どもの時分を懐かしむような


繰り返すメロディ
宝物を一つあげる
その気持ちを忘れないで


彼がネジを巻いたのだろう


彼が僕に語るのだろう


そこにいたのはかつての僕で


オルゴールは遅くなり
物語にも終わりがみえる


遠くなるメロディ
宝物を箱に戻す
この気持ちはまたいつか


オルゴールは途切れ途切れに
物語の最後の一節


遠くなるメロディ
宝箱の蓋を閉じる
この気持ちはまたいつか


ネジの止まった寝室
絵本を棚に戻す
寝息を立てる我が子の額に
おやすみのキスをした


鳴り止まないメロディ
宝物を全部あげる
君のことを想う
この気持ちがあるから




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幼いときの、見聞きするもの全部がキラキラしているように感じたあの感覚。
自分だけの世界で踊り出すキャラクター。
失くしたイメージ。

何かしらのきっかけが必要で、いつも思い出せるわけではない。

そんな気持ちにさせてくれた、Raujikaの「Melt Works」


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