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Mai.の大学・大学院生活を振り返る(大学院生編)

こんにちは。Mai.です。この記事は前々回と前回の続きの記事です。

そして今回は大学院生活について振り返ろうと思います。

まず、私は大学院を修士課程のみ修了しました。博士課程には進学していません。また、学部のときと変わらずに数学専攻です。

大学院生時代を学業を中心に振り返っていきます。ちょうど某ウイルスにより大学には半分行けていませんでしたがそれでも楽しい研究生活を送ることができました。

大学院1年生

この頃にちょうど某ウイルスが跋扈しており、授業やゼミなどの活動はすべてオンラインになってしまいました。最初は自宅でどのように研究に集中できる環境を作るか悩みましたが、意外と1か月ほどで環境が整い、かなり集中できるようになりました。

1年生では多くの時間を論文読みに使います。すべての論文が英語であり、かなり読むことに苦労しました。研究テーマをどうするのかもこの時期で決めることになります。私はこの時期はかなり悩んでいました。学部生の卒業研究でやった素数定理について研究を続けるのか、それとも新しいことをするのか…。

当時は素数定理と双複素解析学という分野について勉強していました。どちらかで修士論文を書こうと決めていました。ですが、なかなか決まらず夏頃まで悩みました。

ちなみに、双複素解析学とは複素数を拡張した概念である双複素数という集合に対して解析を行う分野のことです。虚数単位iとは独立で可換な虚数単位jを考え、

Z=a+bi+cj+dij (a,b,c,dは実数)

という数の集合(零因子を持つ可換環)上で解析するという分野です。あまりメジャーな研究対象ではありませんが、複素解析学は好きなのでその拡張した話にも興味がありました。

ですが、結局自分の卒業論文の内容を発展させることに興味が出てきて双複素解析学の方は全く勉強しなくなりました。

ゼミは週に2回ありました。しかも大学院生は私1人だったので週に2回発表がありました。なので進まないことも多く、1つの命題が証明できないまま3回のゼミが過ぎ去ったこともあります…。

ゼミでは、私の興味のある分野を予め指導教員に伝え、それに関する論文を指導教員が探してくださったのでそれを読んで説明するということが主な活動でした。また、その内容を発展させるならどのようにするかということも議論しました。論文の主定理の別証明やさらなる拡張なども考え発表しました。

毎回のゼミで上手くいくということはもちろんありませんが、それでも得るものは多くありました。指導教員は議論の穴や発表した内容の発展に関することを妄想としてひたすら話してくださいました。その妄想をひたすらメモに残して実現可能かということも確認していました。

あくまで妄想でそれが上手く行くことの方が珍しいのに、結構当たることが多く改めて指導教員の数学力を思い知らされました。

学部生のころにはあまり詳しくは知らなかったのですが、指導教員は解析数論の専門家ではなく、代数解析の専門家です。自分の専門外のことに興味をもつ大学院生を指導する指導教員の強さに驚かされたのはこの頃くらいでした。

さて、冬頃になると論文を読むだけではなく新しいことにも手をつけており、その頃にはすでに先行研究の拡張ができており、あとは詳しい証明をつけるということのみでかなり大学院生としては順調に進んで行ったことを覚えています(本当の地獄はここからだということはまだ知らない)。

大学院2年生

2年生になるといよいよ論文を執筆する学年です。しかし、その前にすることがあったのです。そう、就職活動です。1年生の2月から2年生の5月頃までは就職活動で満足に研究ができませんでした。とりあえず短期集中で終わらせることを目標に就活をしました。

数学を活かせる仕事というものはかなり限られてきます。数学専攻の多くの学生は教員の道にいくことが多いです。もちろん私も教員の道を目指し、教員免許は取得しています。ですが、教員の前に民間企業を経験していてもいいのかなと思い、教員の道には行かずに一般的な企業に就職することを決めました。また、博士課程の道も考えましたが、民間企業に就職したあとでも研究者に復帰できるので、まずは企業に就職しました。

もちろん、ネガティブな理由で民間企業に就職したわけではなく、データサイエンスをしたいというポジティブな理由で就職しました。

就活中においてゼミの回数は変わらずでしたが、就活に専念したいと指導教員に伝えたら考慮してくださって、内容はあまり進めなくてもよいと言われて助かりました。

それでも研究と就活を同時にこなすことはかなり大変でした。大学院生で指導教員からのコネがない人は覚悟しておいて方が良いかもしれません。

就活は短期集中型にして、2月に本格的に始動して5月末で終わらせました。これが短期なのかどうかの基準が不明ですが…。

さて、就活が終わると研究が本格的に始まり、修士論文に向けて自分が予想した定理の証明を細部まで詰める作業が始まります。これが地獄の始まりでした…。

指導教員の方針で、どんなことも細部まで証明をつけるというものがあり、自分が作った命題や定理の証明は事細かにしました。細かいという基準は、基準は周りの大学院生の同期がある程度読めるレベルだそうです。仮定がそれで十分なのか、例外は何かあるのかなどなど、とにかく表面上だけでなく本質的な問題をあら探ししていきました。このときに指導教員にめちゃくちゃに詰められました。言葉遣いやステートメントの書き方などたくさんのことを指導されました。

私が研究してた内容は「解析数論」という分野になります。数論は主に整数に関することですが、それを解析という分野から研究するものです。詳しくなりますが、素因数の個数に制限をつけた合成数にさらに大小関係のような制限を設けた合成数の個数が自然数の中でどのような分布をしているのかということを論文を読み勉強しました。その中で拡張できそうな問題を発見し、指導教員の指示を仰ぎながら問題を解決していきました。実際に先行研究の定理を拡張させることができました。

その拡張した定理を修士論文にしました。最初は余裕で証明できると考えていましたが、それがもう困難の連続でした。できると思っていたことができず、細かな議論をしようと思えばさらに新たな命題が必要になることに気が付き…。とこのような作業の連続でした。一日中パソコンの前に座っており、十分な睡眠時間もとれず心身ともに弱りました笑

このような作業を11月から1月まで3カ月続き、ようやく提出することができました。この時期のゼミ活動は、論文の進捗報告と修正箇所の説明の繰り返しでした。

今振り返ると、修士課程の学生が研究できる時間ってのは本当に限られています。

最初の半年から1年ほどは論文を読んで「勉強」しなければなりません。そしてその後、(民間企業に就職すると決めているのならば)就職活動を数ヶ月しなければなりません。

そうとしている間に2年生になり、11月くらいからは本格的に修士論文にとりかからなければならないのです。つまり、実際に「研究」をしている期間は2年間のうち半年ほどではないでしょうか。

その中で研究結果を出すことは非常に難しいことです。私は運がよく、研究結果を残すことができ、2022年の夏頃に学術誌に出版させていただけることになりました。感謝ですね。

まとめ

大学院生活は本当にその分野が好きじゃないと2年間やっていけないと思います。消極的な理由で大学院に進学するとお金も時間も無駄になるのではないでしょうか。進学する理由は人それぞれで、進学する理由を否定することはできません。ですが、覚悟が必要ということを意識しなければなりません。結果がなかなか出ずに苦しむことや病むことが多いです。それでも楽しさを見出しやっていける人が結果を残すと思います。

以上で私の学生生活の振り返りを終わります。よくよく振り返れば本当に数学しかしてこなかったし、それはそれで楽しかったし充実していたと自信を持って言えます。また、ここまで突き詰めて勉強をするともはや1つの武器になります。教育系Youtuberのノリで学ばせてくれる先生もおっしゃってましたが、個性を作る簡単な方法の1つとして勉強があると思います。

是非皆さんも興味のあることに没頭してみてください。

ここまで読んでくれた方が何人いるのかは不明ですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

他にも聞きたいことがあれば是非なんでも質問してください。

この充実した数学ライフを一生忘れることがありませんように。

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