[縄文ZINE旅行社]北海道・北東北の縄文遺跡群全部見るツアー(案)
架空ツアーである。が、縄文ZINE旅行社の「北海道・北東北の縄文遺跡群全部見るツアー」は北東北の縄文遺跡群を十二分に楽しめるツアーとして完璧な計画だ。実際にこの計画に沿って回ることもできる、実現可能性は保証できる。もちろん個人旅行の参考にしてもらっても構わない。
前提として、縄文ZINE編集長の望月(私のこと)はこの17の構成資産と2つの関連資産、全て見に行っている。そう、ツアーの下見は随分前に済んでいるのだ。
まずは北の縄文の玄関口、御所野遺跡へ
1日目
12:00、二戸駅現地集合、バスで御所野遺跡へ
東京から東北新幹線で3時間弱で二戸駅に到着する。朝9時に東京を出れば12時前には二戸に着く。ここからはツアーバスで早速御所野遺跡に向かう。
12:15、御所野遺跡散策(ランチ)
御所野遺跡はピクニックに最適な遺跡だ。天気が良ければ散策も楽しい。ここにお弁当を用意してある。雑穀や季節の山菜で作った御所野弁当を楽しもう。雨が降っていれば竪穴住居内で食事をすることもできる。雨の遺跡もまた楽しい。
13:00〜14:30、御所野縄文博物館見学
遺跡公園に隣接している博物館も充実している。竪穴住居を模したシアターでプロジェクションマッピングを楽しみ、学芸員さんの解説と一緒に当地の遺跡からの出土品を実際に見てみよう。
是川縄文館で国宝合掌土偶に対面
15:10、是川縄文館
ツアーは御所野縄文博物館からバスで40分、是川縄文館に到着する。ここではまず是川で出土した数々の土器や土偶、漆製品を見学しよう。そしてもちろん国宝の合掌土偶にも対面できる。17時の閉館まで時間いっぱいまで是川縄文館を楽しもう。
17:00〜17:30、是川石器時代遺跡散策
じっくり出土品を見た後は、それらの出土した遺跡を散策。土器を見た直後の遺跡ほどタイムトラベルに適した状態はない。
18:30、ホテル(十和田湖周辺)
ホテルは天然秋田杉をふんだんに使った美しいホテル「十和田ホテル」か、館内に岡本太郎のモニュメントのある「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」を用意したい。ゆっくりと一日の終わりを楽しんでほしい。
ストーンサークル尽くしの一日へ
2日目
9:00、ホテル発
ホテルでの朝食を終え、怒涛の2日目が始まる。縄文巡りの朝は早い。9:00にはホテルを出発してバスでまずは大湯に。
秋田の二つのストーンサークル
10:00〜11:30、大湯ストーンサークル館/大湯ストーンサークル
まずは展示施設を見学。土版くんやさまざまな土器とストーンサークルのジオラマなんかを楽しみ、実際に二つのストーンサークルを楽しむ。好きなことを祈ろう!
12:30〜14:30、伊勢堂岱縄文館/伊勢堂岱遺跡
まずは伊勢堂岱遺跡の4つの環状列石を見ながら遺跡ランチ。お弁当は秋田内陸線の駅弁か比内地鶏の鶏めし弁当を。伊勢堂岱縄文館にはすごい数の土偶に会える。人気投票を(少なくとも6年以上)やっているので投票しよう。
青森の晩期のストーンサークル
16:00〜16:15、裾野地区体育文化交流センター
伊勢堂岱遺跡から青森に入る。まずは裾野地区体育文化交流センターで大森勝山遺跡の出土品を見学。展示点数は多くない。ここはそれほど時間はかからない。
16:30〜17:00、大森勝山遺跡
大森勝山遺跡を見学。入り口から5〜10分ほど歩く。ストーンサークル自体は地面の下で、本当に何もない場所だけど、岩木山をのぞむ地形と、この空気を感じよう。踊りたい人は踊っても良い。
18:30、龍飛崎温泉 ホテル竜飛
この日のホテルは龍飛崎まで徒歩15分のこのホテルに泊まるのはどうだろう。天気の良い朝は北海道が見えるだろう。この海を渡っていたと感じることも「北東北の縄文遺跡群」を理解することにつながるはずだ。
日本最古の土器から亀ヶ岡へ
3日目
9:00、ホテル発
出発まで天気が良ければ龍飛崎に行き、朝日をあびる津軽海峡を楽しんでもいい。バスに乗り、40分ほどで今日の最初の目的地、外ヶ浜町 大山ふるさと資料館に到着する。
9:40〜11:00、外ヶ浜町 大山ふるさと資料館/大平山元遺跡
外ヶ浜町 大山ふるさと資料館は古い学校を再利用した資料館だ。どこか懐かしい思いが縄文関係なくあふれてしまう人もいるだろう。大平山元遺跡やこの地域から出土したもの、民俗資料なども展示されている。遺跡は今は何もない。ただ縄文時代草創期の空気を感じるしかない。
シャコちゃんの故郷へ
12:00〜14:00、つがる市縄文住居展示資料館 カルコ
カルコには四季彩喰処 華かるこというレストランが併設されている。ここでランチ。縄文弁当もあるが、好きなものを頼むのもいいだろう。その後、カルコを見学する。つがるの土器や土偶、田小屋野貝塚の出土品もここでは見ることができる。
14:20〜15:10、つがる市木造亀ヶ岡考古資料室
ここで亀ヶ岡遺跡から出土したものを見る。
15:20〜16:00、亀ヶ岡石器時代遺跡/田小屋野貝塚
亀ヶ岡石器時代遺跡と田小屋野貝塚は徒歩5分の位置にある。がどちらも今は何もない。亀ヶ岡遺跡にはシャコちゃんの石像が建てられているが、何もないと言ってもいいだろう。ただ風の歌が聞こえるのみ。
16:20〜16:50、木造駅
巨大な遮光器土偶の駅舎の木造駅。ここもやはり外せない場所だ。目を光らせることもでき、意外と楽しめる。
18:00、浅虫温泉、南部屋・海扇閣
宿泊は浅虫温泉。陸奥湾に浮かぶ湯の島を眺める大浴場は最高。
いよいよ三内丸山遺跡へ
4日目
9:00、ホテル発
朝の温泉にはいったあとは今日も縄文の旅が始まる。最初の目的地は最近できたばかりの二ツ森貝塚館。
10:00〜11:10、二ツ森貝塚館/二ツ森貝塚
二ツ森貝塚館の展示室は決して広くない。じっくり見て30分〜40分もあれば通常は充分だろう(本気で見ると1時間はかかる)その後、車で5分の二ツ森貝塚にも訪れる。
12:10〜14:40、三内丸山縄文時遊館/三内丸山遺跡
いよいよ「北海道・北東北の縄文遺跡群」の中心的存在である三内丸山遺跡に向かう。縄文時遊館でランチを取り、まずは縄文時遊館で展示を見る。企画展が開催されていたらちょっと2時間では難しいかもしれないが、時遊館と遺跡をたっぷり楽しもう。
ツアー最後のストーンサークル
15:00〜16:30、縄文の学び舎・小牧野館
はっきり言って小牧野館はめちゃくちゃ充実している。もしかしたら縄文時遊館よりも見るのに時間がかかるかもしれない。小牧野遺跡から出土したものを中心に置かれている。三内丸山遺跡は中期だが、小牧野は後期の遺跡だ。
16:35〜17:30、小牧野の森・どんぐりの家/小牧野遺跡
どんぐりの家で簡単な説明を受け、いよいよ小牧野遺跡へ。今回のツアーの最後のストーンサークルだ。景色とともに楽しもう。
18:00、酸ヶ湯温泉旅館
本日の宿は混浴の大浴場ヒバ千人風呂で有名な酸ヶ湯温泉旅館に。青森のど真ん中のでかい混浴温泉で縄文旅の疲れを癒そう。
北の大地へ
5日目
8:45、旅館発
9:30、新青森
9:51〜10:53、新幹線、新青森駅〜新北斗駅
11:00、バスに乗車、函館市縄文文化交流センターへ
12:00〜14:00、函館市縄文文化交流センター/垣ノ島遺跡
ランチは函館市縄文文化交流センターで中空土偶弁当。天気が良ければ垣ノ島遺跡で食べても良い。交流センターと遺跡は隣接しているが10分少し歩く距離にある。縄文文化交流センターにはもちろん北海道唯一の国宝、今回の旅で2体目の国宝土偶である中空土偶に会える。遺跡からの景色もまた素晴らしい。
14:15〜14:50、大船遺跡
この遺跡も景色が素晴らしい。またびっくりするほど深い竪穴住居が見れる。管理棟にも少しだけ展示がある。
15:10〜16:20、森町遺跡発掘調査事務所展示室
関連資産である森町の鷲ノ木遺跡の出土品がここで見れる。展示は充実している。ここも押さえておくべきだろう。イカ飯形土製品もここで見れる。
16:30〜17:00、鷲ノ木史跡公園
ここは縄文の遺跡ではないのだけど、ここから北海道駒ヶ岳を見る。また、ここは鷲ノ木縄文人たちがシャケを取っていた桂川の河口。当時の解説付きで道南の縄文を楽しめる。
18:30、ホテル洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス
この日の宿は洞爺湖で。洞爺湖の湖畔のホテルで過ごしたい。ラグジュアリーなホテルは多いが、今回の宿は値段も考慮に入れここに。
縄文旅、最後の日
6日目
9:00、ホテル発
9:10〜10:40、入江高砂貝塚館/高砂貝塚/バスで入江貝塚
入江高砂貝塚館で出土品を見た後、高砂貝塚を散策する。その後、バスで入江貝塚にも向かう。
11:10〜13:30、北黄金貝塚情報センター/北黄金貝塚
今回の遺跡で個人的には最も美しい景観を持つのがこの北黄金貝塚だ。展示施設で資料を見た後に貝塚の丘に登って、ランチを食べよう。お弁当は伊達歴史の杜 道の駅弁『伊達武者弁当』なんてどうだろうか。
17番目の遺跡へ
15:00〜16:00、千歳市埋蔵文化財センター
キウス周堤墓群に行く前に、千歳市埋蔵文化財センターで千歳市の出土品を見る。キウスのものももちろん、あのビビちゃんという土製品もここで見ることができる。
16:10〜16:50、キウス周堤墓群
森の中にキウス周堤墓群はある。季節によってはめちゃくちゃ蚊に食われるので虫除けの準備をしておこう。ここは写真ではイマイチよくわからない場所だ。ぜひ実際に見ることをオススメしたい。
17:20、新千歳空港
これで5泊6日の「北海道・北東北の縄文遺跡群全部見るツアー」はクローズとなる。長いようであっという間のツアーだったと思う。本当を言えば、ここに青森市の青森県立郷土館が組み込まれるべきなのだが、こんな時期に建物の耐震不足で、(ほとんど無期限の)休館となってしまっている。郷土館には青森の構成資産の資料が、実はどこよりも展示されていたのだが…。これは本当に大きな損失だと思う。青森県には1日も早い郷土館の再開をお願いしたい。
実は少しだけ余裕を持って予定を組んでいるので、さらにタイトにすれば4泊で組むこともできるだろう。また、構成資産にこだわったプログラムにしているので、それ以外の考古館や遺跡は入れていない。それらをこのプランに付け加えることもできる。
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この「北海道・北東北の縄文遺跡群全部見るツアー」はモデルコースのオープンソースとしたい。個人でも団体でも(どうぞ勝手に)参考にしてこの先史時代の世界遺産を楽しんでほしい。カスタマイズも自由だ。もちろん一声掛けてくれても構わない。時間が取れたら縄文ZINE主催で開催するかもしれないけど。
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