課長のあそこ14

「ナイフ男を課長にしたのは、わたしです」

「ナイフ男?」

「前の会社で、【ナイフ男】って、みんなに呼ばれていたの、知らないの?」

「知るわけないだろ」課長は得意そうでした。

「ちょっと、おバカ」

「おれはバカじゃない」

「話がまとまったところで……」

「まだ話は、まとまってないぞ。ちっとも終わってない」

 こぶしをふり上げる課長に、「まだ何か? 質問があるのですか課長?」と、ジャブをいれました。

「おれは共同経営者だ」

「そのとおり」

「川原でひろってきただけの【石】だろうが、なんだろうが。とにかく」

「何がいいたいの? ドレイの課長」

「おれは奴隷じゃない」

「質問があるんなら、さっさとお願いします。課長」

「川原でひろってきた石に、おまえがライオンさんや、カバさんの絵をかいただけで、はたしてそれが【売れる】かどうか。それをオブジェと呼べるかどうか。それは知らない」

「まわりくどいわね」

「東銀座でギャラリー(画廊)をひらく費用の、大部分はオレの退職金だ」

「そのとおり。あんたが大将」

「大将なのに、どうしておれが【課長】なんだ? 社長はだれだ?」

「わたしです」

「なに?」課長の両目が、糸のように、細くなりました。

「2人で店をはじめるの。1人が課長なら、残った1人が、【社長】に決まってる。2ー1=1。その1が、わたしです」


(15話につづきます)

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