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親子上場銘柄リストあり:日本の親子上場の解消は進むか

先日記事(以下リンクあり)にしましたNTTによるNTTドコモのTOBも別の見方をすると親子上場の解消です。完全子会社化する場合には市場価格に一定のプレミアムを付けて買い取ることが一般的ですので、親子上場解消銘柄を狙うという投資法は一つ面白いかもしれません。本日はそんな目線で記事を書きたいと思います。
それでは、こちらのbloombergの記事からスタートします。

大型再編に注目が集まる中、時価総額上位60社の上場子会社には、ソフトバンク、ゆうちょ銀行、Zホールディングス、NTTデータ、協和キリン、ウエルシアホールディングス、伊藤忠テクノソリューションズなどがあるとしている。
(中略)19年末以降の株価下落率が相対的に大きい上場子会社(時価総額300億円以上)としてイオンフィナンシャルサービス、住友理工、日野自動車、イオンファンタジー、SFPホールディングス、三井海洋開発などを参考に挙げる。

親子上場の解消が進む背景

親子上場が進む背景としては以下の2点があげられます。この点に関しては他にも記事はたくさんあるのでここではさらっと。

1.グループとしての経営戦略上の位置づけ
2.ガバナンスへの配慮

1つ目は、NTTの例でいえば、情報通信市場を取り巻く環境変化に対応するため、NTTグループ全体での経営資源の活用と意思決定の迅速化が必要とされていました。
2つ目は、コープレートガバナンス・コードの制定されて以来、親子上場解消が格段に進みましたが、NTTの例でいうと、ドコモが親会社であるNTTの利益を優先し、少数株主の利益をないがしろにするのではないかという懸念です(利益相反の問題)。
NTTグループとして最適な行動であっても、ガバナンスへの配慮からその最適な行動がとれないといった面もあったでしょう。

親子上場企業一覧

親子上場をしている会社の一覧は、Wikipediaにまとめられていました。気になる会社はあったでしょうか?
2020/9/30現在、親子合わせてなんと389社あります。日本では約3700社の上場企業が存在しますので、上場企業のおよそ1割が親子上場ということになります。

親子上場を解消した企業一覧

親子上場を解消した会社に関しても同じくWikipediaにまとめられております。私はこちらの情報がかなり有用だと思いました。なぜなら、リストの会社は親子上場解消に向けて、実際にアクションを起こしたことがある会社だからです。企業が事業を行うにあたって、自社の事業というのは常に見直しが必要で、事業ポートフォリオは入れ替えながら、時には資金調達目的で子会社を上場させることもあれば、時には事業のアクセルを踏むために完全子会社することもあるでしょう、逆に事業売却が必要なこともあります。しかし、旧態依然というか、変化を良しとしない会社が多いことも事実です。その点、親子上場を解消した会社は、グループ再編の一歩を踏み出した会社ということであり、今後も同じことをするハードルがぐっと下がると感じます。

とはいえ、上記のWikipediaのリストはかなり数が多いので、私の方で、2019年~2020年9月末までの約1年半の間で親子上場を解消した会社と、その親会社が現在も保有する上場子会社のリストをまとめました(文字の小さい表になっており、すみません)。なお、2019年以降にしたのは直近で親子上場を解消した会社は今後も解消を進めていくのではないかという仮説に基づきます(5年くらいに広げてもいいと思いますが数が多いので、、)。

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気になる会社はありましたでしょうか?

会社が親子上場の解消に向けて動くかどうかを占ううえで、大事なポイントが2つありそうだと思いました。

1.グループの経営戦略上、解消を行う意義があるか
2.解消により親会社の財務諸表にインパクトを与えるだけの規模があるか

1つ目に関して、私が気になった会社だと、例えばイオンの子会社であるイオンフィナンシャルサービス(イオンFS)。完全な妄想になりますが、小売業という経営環境の厳しいなかで、イオンの実店舗が集客装置となり、顧客からイオンカードなどの金融業で儲ける、みたいな場合、イオングループの戦略上重要なポジションを占めそう・・・とか。。

あとは、私のリストにはありませんが、キリンHDの子会社である協和キリンとかも面白そう。以下の画面ショットはキリンのホームページから拾ってきましたが、ビール事業から医療・バイオの領域に広げていく(ビールの技術ではなく、発酵の技術ととらえるのは面白いなと思いました)、その中核になる企業が協和キリンではないかとの想像も。。

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いずれのイオンもキリンも各社のセグメント情報を見る限り、イオンの金融事業もキリンの医療事業もそれなりの利益貢献あり、グループ全体での大きなウエートを占めます(上のポイント2つ目)。

なお、投資される場合は自己責任でお願いします。

おわりに

コロナ禍で事業環境が大きく変わった2020年、上場各社は経営戦略の見直しを迫られる中、子会社の株価も大きく下落している場合(冒頭のbloombergの記事)、TOBにより残りの株価を買い占めるチャンスでもあります。

投資家目線で見ても、親子上場解消しそうな会社を探してみるというのは普通に面白そうです(私も探してみます)。

なお、上で紹介した銘柄で中で気になる銘柄があるようなら、是非コメントください!!もう少し掘り下げて分析したいと思います。

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