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いいよねと思ったテキスト 出版編集A

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文章の書き方の参考にするもの。ヘッダー画像:『斜陽』太宰治
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記事一覧

「という」と「こと」を減らすだけで、文章はぐっと読みやすくなる

と思っている話です。もはやタイトルでぜんぶ言ってしまった。 せっかくなのでもう少し続けます。 2020/05/03追記:第二弾?書きました なぜこの記事を書こうと思ったか。 先日、執筆した「はじめてのUIデザイン」の一般販売がスタートしまして。 この本がまだ初稿になる前、共著者のみなさんと執筆真っ最中の頃に何度か打ち合わせがあったのですが、そこで「書籍的な文章を書き慣れてない人って、"という"と"こと/もの"を多用しがちなので、この2つを抑えるだけでも文章がシュッとする

小林賢太郎はラーメンズでなぜ情報不足なコントをつくったのか。小道具、セット、衣装替え、BGM、特殊効果もないアナログの世界で観客はなぜ笑うのか

はじめに 小道具なし、セットなし、衣装替えなし、BGMなし、特殊効果なし。体2つでよくやったって言われたいのがまずラーメンズのそのものの企画書ですから。それができてはじめて小道具とかセットとか使う権利があるのでないかと。自分にはそういう枷を作ってラーメンズってのをはじめました。(『BUZZ』 ロッキング・オン 401 2002/9/17)  小林は「枷」という言葉を使い、自らの作品の作り方を語ることが多い。  ここでいう枷とは、コント自体の長さや公演の枠を決める時間だ

「広告」より「振る舞い」が大切な時代へ。西武そごうの広告が議論を生む理由①

2019年、平成31年。ついに平成が終わる年に突入した。平成生まれの私はずっと、この時代に生きてきた。「失われた時代」「昭和に引きずられた時代」等と言われ、朝日新聞の調査では「動揺した時代」と答えた人が最多だったらしい。ネットの普及で、大きく時代が変わったのは確か。人と人との繋がり方、コミュニケーションの形、情報やコンテンツとの接し方、言い出したらキリがないし、多くの人々が「動揺」したのにも無理がないと思う。 接するメディアが変わり、情報の発信・受け取り方が変わり、消費に対

なぜ、若者は「顔を隠す」ようになったのか

anonymous(アノニマス)。それは「匿名」。without nameが由来だとも言われている。 日本の流行顔を追ったこの動画。最後を彩ったのはマスクをつけた女性だった。ちょうどこのYouTubeが話題になった際、アメリカから来た会社のメンバーが「どうして日本はマスクをつけている人が多いの?」と質問してきた。 その時、ふと思った。顔を隠す人が増えたと。 三種の神器−−マスク、メガネ、イヤフォンインフルエンザやPM2.5の予防のマスク市場は拡大したと言われている。これ

初めてアート作品を購入したら生活が変わった話

初めてオーダーで書いてもらい、アート作品を購入しました。 タイトルはちょっと大袈裟ですが、朝起きたら毎日アートを見ることが出来たので生活が変わったという表現にしてます^^ アートに興味ある方や、作品を購入したいと思っている方々の参考になれば幸いです。 私のバックグラウンド・31才、二児の父 ・職業エンジニア ・アートには30年間あまり興味なし ・美術館はたまに行く程度 ・昨年の夏にとあるきっかけでメディアアート作品を作る アートには今までほとんど縁がなく30年間過ごして

ひていけい、形になる前に:DMの表(面)から相磯桃花(の作品)を見つめる author by 紺野優希

相磯桃花の作品は、まるでDMの表(面)のようだ。日時や会場の位置、また参加作家などの説明が書かれている裏面とは違い、表(面)は作品やビジュアル・イメージという視覚的情報をもとに展示へ誘う。前者のような情報を内容として考えた時に、相磯桃花の扱うテーマは後者により近い。つまり、コンテンツ・中身の抜けたキャラクターへの問い、あるいは問題意識と言える。この場合、それに内容や意図を込めるのは、ゲームのプレイヤーと芸術家という人間主体である。そのように捉えた時、相磯の作品には「脱臼状態」

君の肝臓は食いたくねえけど、おめぇの遺灰は食いてえよ

相手の死を弔う特別な表現として、「遺灰が食べたい」ってよく見かけますよね。 かくいう俺も遺灰食いたくて、でもよく考えたらそれって別に異常なことじゃないだろ。 っていう話を書きます。 (こっから延々とインターネットに公開ラブレター置くやつが続きます) 君の肝臓が食べたいの話は一切しません。 --- 俺友達いるんですよ。 今までしょぼい年月人生やってきて、一個学んだことあります。 それは「俺みたいなやつは、”言語が同じ数人”としか付き合っちゃいけない」ってこと。 俺

己への浪費許容ハードルがメチャ高い

これを読まれている人間諸兄姉、「今までで一番頑張ったこと」は何だろうか?今まさに就活生が飽きるほど聞かれている質問であろう。 私は思いつかない。就活生だった当時もこれが答えられず、追い詰められ就活カウンセラーに「何も頑張った記憶がないんです…」と相談し「ええ…(困惑)」と悩ませてしまった次第だ。 そもそもこの世、全ての人が頑張りすぎではないか?私はツイッターでフォローしている人間がそれほど多いわけではないが、毎日遅くまで仕事をし、終電で帰ります~トホホ!辞メチャオーゼ~!

人生で一番苛烈な恋の話

先日、アイドルおたく時代の友達が遠征ついでに泊まりにきて、死ぬほど久しぶりに推してたユニットの映像を見せてもらうなどした。 私はその女性アイドルユニットを丸々3年間くらい推していて、おたくをはじめて1年ちょいくらいで推していたメンバーと繋がり、あとの2年は推しのおたくであり、友達であり、使いっぱしりであり、メンタル管理人だった。(※繋がりとは様々な理由でメンバーと個人的に連絡をとれるようになってしまったおたくのこと。メンバーと交際しているおたくを指すこともある) その頃の

パロディが作る過去

「テレビブロス」2017年10月掲載のコラムの再録です  藤井隆のアルバム「light showers」のプロモーション動画が面白かった。「90年代のテレビCMとタイアップした」という体で楽曲を使い、架空のいかにも90年代っぽいCM映像をわざわざ作っているのだ。「夏、売り場、走る。」なんてキャッチコピー、いかにもで最高である。  しかしそれを観て、少し恐ろしくなった。これはパロディのこわさだ。よく、パロディには愛(or敬意)がなければならないという言葉を見かけるが、そのよ