1room

ハサミで切り落とした部分のビルがゆっくりと空を滑りながら海へと落ちていくそれを遠くの人は夕日だと言った昔から人は人を殺しました 殺人事件のニュースを見ていた 今日は大量殺人のニュースが流れた音楽が世界を救う気がした そんな気がしたまま沈んでいく船の中にいる 仲良しになりたかったね
誰かが誰かを殺すのは仕方がないけれど 私はみんなと仲良しになりたかった
東から夜が沈んで全てに取り消し線をつけていくから何も知らないまま
何もできないまま眠ることができるんです
宇宙の果ては宇宙の果てだけを見ている
そこに立ち尽くした僕のことなど 誰も見ていないここはビル街なのにアゲハが飛んでいるそうした景色を見なくなったのは 背が伸びきったせいなのか 引っ越したせいなのか時々擦り切ってはいけない気がして走り出していた
早く全て失わなければ僕はこの夏の終わりにすら置き去りにされて永遠を手に入れてしまうのではないかな 早く恋がしたかった 愛を知りたかった 夢を見たかった 約束をしてみたい 僕をちぎって 誰かに捧げるそうしてこの世界を一緒に散る散る散る夏は深呼吸
僕の深呼吸 体の隅から隅まで 私のものであるという保証が別になくても良かったのにな 爪が勝手に伸びていくこと 髪が言うことを聞かない朝 私のことを誰にも渡さないと意地になった時間を飛び越えて 直射日光は容赦なく肌を焼く生きることは負けていくこと 恋することは負けていくこと幸せは憧れて 負けを認めて消えていくのは私だけじゃない街が燃えていた星は遠くで燃え尽きて 人の体は全て火の中で ただはゆらゆらと揺れていた大好きな喫茶店も本当は火の海
孤独という言葉がここまで似合わない景色もない

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