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84.17歳のご長寿犬

17年前の6月、生後二ヵ月の小さな小さなダックスフントが我が家にやってきた。シルバーダップルという、地毛に白・灰色・茶色・黒がランダムかつ斑状に入っている種類の子犬。小さいながら骨格がしっかりしていて、手足がずっしりと大きく、身体が丈夫そうな女の子だった。

畳の縁につまづくほど小さかった時

しっかりと躾をしてくれた母と子犬の間には、早々に上下関係が形成されていた。反して、私にはいたずらを仕掛けてきたり、遊ぼう遊ぼう!と、しつこくじゃれついてくることで、どうやらこの時から子犬にとっての友達、遊び相手に認められたようだった。漫画のカバーやラグマット、部屋中あらゆるものを齧られたけど、奔放な無邪気さの愛らしさに勝るものはなかった。当時、私は中学2年生になったばかりで、学校にいる間も子犬のことが気になって、部活を終えればいそいそと家に帰ったりした。

本棚から漫画を引きずり出した瞬間

その子が4歳になった頃、ある時から散歩に行きたがらなくなり、部屋にある物にぶつかったり、おやつを投げた時にキャッチができなくなった。初めはどんくさい子だねぇ、なんて笑っていたけど、もしかしたら病気かも?と、獣医さんに連れて行くと、視力の低下・失明の診断が下った。

ダップルという種は単色の子に比べると、遺伝子の関係で視覚や聴覚、感覚器の病気などが多く報告されているという。残念ながら視力の回復は難しく、それから毎日朝晩の点眼薬を続けている。母と私は悲しくて肩を落としたのだけど、当の本人はいつも通り、それはもう食欲旺盛で、部屋の中では走り回り、よく遊んでよく寝ていたので、ケアを続けながらこの子にとって暮らしやすい環境を作ろうという気持ちに切り替えた。

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そして、この4月。
ありがたいことに17歳の誕生日を迎えることができた。病気や先天性の障害の報告が多い故に寿命が短いと言われているダップルだけど、今ちゃんと元気に生きていてくれることは、これ以上ない程に嬉しい。人間年齢でいえば80歳後半、調子の悪そうな日もあるのだけど、未だに食欲旺盛で水をよく飲み、体力を蓄えるようによく寝ている。

私が実家に会いに帰ると、しっぽを振りながら歓迎してくれて、実家にいる間中は膝の上に乗っていたり、身体の一部を常にくっつけていてくれる。いつも、元気に長生きしてね、20歳目指そうね、と声を掛けて撫でる。妹のように迎えた子犬は、いつの間にか姉になり、すっかりおばあちゃんになった。私の姉妹のような大事な存在。

17歳の誕生日を迎えて

最近はほぼ毎日、母がスマホのテレビ電話で画面越しに様子を伝えてくれる。年齢的に耳も少し遠くなったから、画面越しでは私の声は聞こえていないようだけど、私はいつも画面越しに今日も元気でね、と頭や鼻筋を撫でる。美味しいものを食べながら、まだまだ元気に長生きしてね。

おわり

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**OSUSUME**


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