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この命、サブスクだから。

私は恐ろしい発見をしてしまった。
歴史的にみてこの発見は禁忌であり、決して大衆に開かれてはいけない事実なのだが、今回は命の危険も顧みず、私の名誉にかけて世紀の大発見を論じたい。

近年なにかと話柄に上がってくるサブスクリプション、いわゆるサブスクというビジネスモデルだが、私はその起源となった思想を見つけてしまった。
NetflixやHulu、SpotifyやApple Musicといった大手サービスがひた隠しにしてきたその思想を、あろうことか私は暴いてしまったのだ。
サブスクの甘い蜜を独占してきた大手サービスからしたら、その思想を暴かれてしまっては黙っていないだろう。
ややもすると私は暗殺されるかもしれないが、しかしその恐怖に打ち勝ち、震えながらもいま筆をとっている。

もったいぶらずにストレートに言ってしまえば、サブスクリプションというビジネスモデルはあろうことかインド思想の丸パクリだったのである。
ああ、ついにこの事実を暴いてしまった、拍動の高鳴りが指先まで震わせる。

インドで発展したヒンドゥー教の前身、バラモン教において台頭した「輪廻思想」こそ、まさしくサブスクリプションの起源なのである。
輪廻思想とは極言すれば、命あるものが何度も転生し生まれ変わることをいう。
それは人だけに留まらず、畜生にだって転生する。
生前の行い、いわゆるカルマによって転生する身が決定されるというのもインド哲学の特徴。
とどのつまり、私たちの命というのは偶然にもいまこのときは人間に宿っているが、転生前や転生後はハサミムシかもしれないしイルカかもしれない。
もう、お分かりだろう。
これはまさに、命のサブスクリプションなのである。

この世界でサブスクリプション契約をすれば、ハサミムシにもなれるしイルカにもなれる。
同じように、Apple Musicでサブスクリプション契約をすれば、宇多田ヒカルも聴ければボサノヴァだって聴ける。
これはもう、丸パクリである。

バラモン教の起こりは紀元前13世紀頃と推定されている。
つまり、いまから3000年以上も前にサブスクリプションの本質が形成されていたことになる。
私はインド人に敬意を表し、声高に言いたい。
サブスクって、インド人のもんだろ。

さあ、いよいよ私はNetflixやAppleに消されるかもしれないが、しかしながら死の恐怖は微塵もない。
だってこの命、サブスクだから。

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