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アウトプット=作るではなく出す。自己評価を当てにしない

友人のケントくんが家に来た。
ケントくんと私はお互い瞑想に興味があって、音楽を専門的に学んでいたこともあって、会うたび駅のピアノで即興連弾していたりした。

でも私自身、ピアノを楽しめたことは一度もなく、もっと本当は楽しいはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろうといつももがいていた。

クラシックを弾くのに、自分の中で「こうあるべき」というルールがあまりにも多くて、がんじがらめになってしまう。どう弾いても自分を否定しないことができない状態が、もう15年以上続いていた。(幼少期に、自分の演奏を認めたら成長しなくなるんじゃないかという恐れから、自分の演奏の改善点だけにフォーカスをし続けたことが癖になって裏目に出たのかなと思う。)

だから半年に一回会うたびに、ケントくんとピアノの前に座って、自分の変化を省みることが恒例になっていた。

この数年でケントくんは禅寺で修行したり、私も瞑想や、日々意識変容をもたらすあらゆる試みをして、自分を許す、ピアノで人と喜びを共有する自分で在るための大切なプロセスを踏んでいた。

今年、ケントくんの紹介で瞑想家ネオショウさんと出会い、日々自分を罰する思考やルールで縛る癖に気付いては、ひとつひとつ変えていった。

昨日、ケントくんに「久しぶりにピアノ弾いてみて」と言われて、弾いてみた。

今の自分ができる中で、一番自由な演奏をした。

やっぱり、ぜーんぜんダメだな、、今すぐ弾くのをやめたいと思った。

だけどケントくんの感想はとても意外なものだった。

「久しぶりに聴いたけど、全く違うよ。すごい。」

「え、ほんと…?これまでピアノを弾く時、この和音の次はこれって身体が勝手に似た動きをするのを当たり前に受け入れていたんだけど。新しいことしようって思って、私が弾こうとするのをやめて、目を瞑って適当に音を鳴らすっていうのをやっている。不協和音ばっかりだし崩壊してるかなあって。」

「いや、全く崩壊してない、聴き慣れた音と新しい音のバランスが絶妙で、かなり高度なことやってるよ。20年弾いてきたクラシックの和音が、指に染み付いてるからそれが随所に出ている。全くピアノを弾いたことのない人が適当に弾く時に出る音と、瑞葉が適当に弾く時に選ぶ音は全然違う。直感が音に出てきてる。」

「でもリズム感とか…もっとあったらいいのにな。」

「瑞葉のリズムが出てたよ。それはこれまで触れてきた「三拍子」とか「四拍子」ではないだけで。」

えええ、そうなんだ…そんなふうに受け取ってもらえると思わなくて驚いた。でもすごく嬉しい。

ずっと私は、自分の内側から湧き出てくるものがないと思っていたけれど、そうではなくて、ただ、出てきたものをジャッジして破り捨てていただけなのかもしれない。

「不協和音だけは嫌だけれど、でも今は新しい響きを探すのが楽しくて、終わりも始まりもないような演奏ばっかりしているよ。」

そう言ったら、ケントくんは「その音だけ聴いたら不協和音かもしれないけれど、人間はその前後の和音との繋がりの中で音楽を楽しむでしょ。瑞葉の今の演奏は、前後の響きが不協和じゃなくてすごいギリギリのバランスを保っているから全然曲として成立してる」と分析してくれた。

その場にいたネオショウさんが「不協和音と協和音の境目をずっと弾き続けてみたら?」とアドバイスをくれたので実際にやってみると、今の自分の中にある「許容範囲」の不協和音が少しずつ浮き彫りになってきて、その幅が少しずつ増えていることが認知できた。そして、なんか急に楽しくなってきて、弾きながら「キャハハ」って声出ちゃった(笑)。

ネオショウさんが、「あっ。なんか瑞葉っぽい響き。」と言っているのが聞こえてきて、ピアノでこんな体験をするのははじめてで、昔からずっと求めてきた、「音楽で人と喜びを共有する(=周りも自分も楽しい)」のヒントがここに在るかもしれないと思った。


自分では、何をやってもずっと、「私のピアノはダメダメだ〜」と思っていたけれど、同じ自己評価30点でも、外から見ると確かに変化し続けているんだなと実感した。

何か新しいものを取り入れて、「作ろう作ろう」としなくても、自分の苦しみに向き合い、その苦しみの裏側にある希望や理想をみていくと、自分だけの練習方法が思いついて、それを淡々と日々やっていくことで自分の内側に最初からあるクリエイティビティが開花していくのかもしれない。ただ、内側を「出す」ことがアウトプットで、人の心が動くものなのかもしれない。

怖いけど、アウトプットしていこう。

自己評価を基準に行動していたら得られないフィードバックがある。

自分にとっての未完成を、出し続けていく、それによって変化したプロセスが記録され、その変遷を見た誰かをインスパイアするかもしれない。

率直なフィードバックをくれたケントくん、ありがとう。私も、自分の視点を伝えていこうと思う。

それから、自分の中で苦しみが大きくなりすぎていた音楽との関係性を変えるきっかけをくれたネオショウさん、ありがとう。

ピアノで自分を解放する、そして人と繋がる、純度の高い自分を知るプロセスをこの人生で味わえて幸せ。

これから、私がどういうアドバイスを受けて、それを受けてどんな練習法を思いついてやってきたのかシェアしていこうと思う!!(最近海外のクラシックを学んできた人や学んでいる人からも苦しいという声をいくつか聞いて、何かお手伝いできたらなあと思い始めた!)


私のピアノの旅は続く…


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