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雨に成る/あとがき

小説『春に成る』を書き終わった時、「ハルだけじゃなく、流果るかけいもちゃんと成長した部分を書きたい!」という気持ちが溢れて『雨に成る』と『空に成る』ができました。


今回は、流果目線の話『雨に成る』のあとがきを書かせていただきます。
流果はカケル部分があったり複雑な部分が多かったので、色々補足もしています。

※noteで『雨に成る』に♥をくださった方々のお名前を、記事の最後に掲載させていただきました。

『春に成る』の本編は「もうずっと、雨が降り続いている」で始まりますが、流果もそうでした。ハルのように傘のない流果は、花や葉を散らしていく雨にうたれて「自分もこうやっていち早く散らす雨になる」と決意しました。

一番壮絶な人生を歩んできた流果は、一人ではとても耐えきれず「カケル」を生み出して二人で生きてきました。
流果を守る為だけに生まれて来たカケルは、他人からの愛情を受けることなく、辛いものから流果を守り、流果ができないことをやる日々。
流果にはカケル、カケルには流果だけの世界ではお互いを支え合い、問題なくやってきましたが、敬と出会って流果は変わりました。

敬と出会って良い方向に進んでいることは分かりましたが、流果はカケルと敬を会わせないようにしました。敬に知られたくないようなことばかりしてきたからだというのは分かりましたが、それも流果の為だったのに、裏切られたような気持ちになったカケル。

ハルと出会って、初めは利用したら終わらせると決めていた二人でしたが、一緒に過ごすうちに揺らぐ流果と、敬の時みたいになりたくないとハルを傷つけ離そうとするカケル。カケルとハルが雨の中で二人きりになった時はそんな葛藤の中、ハルから「温かさ」を初めて向けられ、カケルは心の中で罵倒し、計画通りにしようとながらもできず、思わず「疲れた」と本音を漏らします。その後に敬と会った時も流果とカケルの複雑な気持ちは入り混じります。

そこからも様々な葛藤や複雑な想いを抱えながらも、「自分が嫌だからハルから離れる」から「こんな自分と離れた方がハルの為かもしれない」に変化していって、今までのことを告白しました。

初めて他人の為に何かをしたいと思わせてくれた敬と、初めて他人の為に何かをやめようと思わせてくれたハルが性別関係なく、大切だと自分の中で受けとめ、自分自身のことも受けとめました。

葉を散らす雨を見て「後押ししてくれたって感じ」と言うハルの言葉を聞いて、雨でもそういう雨になると思い直しました。

スガシカオさんの『海賊と黒い海』を聴いた時、これは……流果の曲だ!とおこがましくも、思ってしまいました。
流果とカケルの話でもあり、流果(カケル)と敬・ハルの話でもあるイメージ!むしろ両方に聴こえることで、そう変化していくことごと表現してもらっているような気さえしました。
動画には歌詞がないですが、是非歌詞と一緒に聴いていただきたいです!スガシカオさんの音楽も本当に素敵です!


流果のセクシャリティーってなんだろう?と考えたのですが、ハルを「女」ではなく「ハル」として見れるようになったように、「性別」で区別せず「人」として見て好きになった人が好きになるってことは、パンセクシャルっぽいのかなと思います。

流果には、複雑だったり、デリケートな部分が多いですが、ハルも敬も関わっていくことで勝手に「当たり前」だと思っていたことが、いい意味で崩されていく気がします。

全てのものに「良い」部分と「悪い」部分があります。
流果とカケルもそうで、「青」と「赤」のように全然違う色で、本当はどっちが良いも悪いもないけれど、見る人によって「良い(好き)」「悪い(嫌い)」があるだけです。流果とカケルは人格が分かれていたけれど、そうじゃなくても、自分自身の中に良い・悪いがあります。でも自分自身が思う「良い」が、他の人には「悪い」こともあるんですよね(逆も)。だから、「良い」も「悪い」も混じってて良い、「紫」が自分でいいんだって受けとめることが大切っていうことを忘れないように、つくった物語です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

『雨に成る』に♥をくださった方々に感謝を込めて、お名前を掲載させていただきます。本当に励みになり、支えていただきました。ありがとうございます!

【Special❤Thanks】

風の歌のナウシカ様、佐藤省司様、コウ。。。様、デザイン思考と本質追究を楽しもう♫様、NPO法人あおぞら様、りこひん様、ミック@アート好きのノート様、マナリ様、はなきよ@音楽大好きな健康マニア様、非会員ユーザー様で♥を下さった方々、Xで♥を下さった方々、そしてあなた。

皆さんに読んでいただけて、♥をいただけて、幸せでした。
ありがとうございました!

※見出し画像は、hananono様の画像です。素敵な画像を使わせていただき、ありがとうございました。

※次回は『空に成る』のあとがきを書かせていただきます。

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