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ダイハツ不正問題から学ぶ、コンプラ徹底力を高める人材育成のポイント

今ダイハツの不正問題が世間を賑わせていますが、実はダイハツの不正問題って2回目なんですよ。その前は2021年に起こったばかりです(笑)


更に付け加えると、国内の自動車メーカー全体を見た場合、ここ10年で4件も不正が発覚しています。なぜコンプライアンス教育を徹底しているはずの大手企業で、こんなにも不正が起こるのでしょう?


今回は、

●上場企業
●上場企業の子会社(従業員200名程度)
●ベンチャー企業

それぞれで人事業務をしてきた経験を中心に、「大企業のコンプライアンス違反が起きる原因 & 中小企業も学ぶべき予防策」についてお伝えしようと思います。





一人当たりのリテラシー依存度が高まる

不正問題が大企業で頻発する一因は、業務と物理的な勤務場所が『細分化』されることにあります。


この細分化により、各部署が担当する業務の影響が全体に及ぼす影響を見極めることが難しくなり、個々の不正に対する問題意識が希薄化しやすくなります。


また、「物理的に狭い範囲で、一人あたりの業務カバーが広いことで、互いに監視し合っている」中小企業とは異なり、大手企業は縦割りのみのチェック体制が構築されがちで、上司一人が不正を見逃せば、チェックが十分に機能しづらくなる傾向にあります。


言い換えると、企業が成長するほど、マネジャーやリーダー一人あたりのリテラシー依存度は高くなってしまうのです。




好待遇により人材が確保できてしまう

同じく安全性を脅かす不正問題が発覚したビックモーターの旧社長が、


「毎年1000人も退職者が出ているそうですが、社内体質に問題意識は無かったのでしょうか?」


という質問に、なんと返していたか皆さんはご存じでしょうか。


「1000人辞めても、新しく1000人入社してるんだから問題ないでしょ?」


質問の意図が伝わっていない様子なのが印象的だったのですが、実はこの『経営層の認識』こそが大手企業に『不正体質』を作る一番の原因になっているのです。


大手になるほど業務が細分化され、一つのプロジェクトへ関わる人数が増える分『体質』を変えることが難しくなります。


仮に組織内にコンプライアンス的な問題を抱えている場合、いち社員が「体質」そのものを変えることは基本的に不可能なので、ある意味、問題意識を持てる“リテラシーの高い人材”から辞めてしまうのです。


逆に言うと、“不正体質に適応した人”が残っていく。(※残っている人材全員に問題があるという意味ではありません※)


好待遇により抜けた人材が補充できてしまう成長企業ほど、経営陣が『体質の問題』に敏感でないと、コンプライアンス違反は高確率で起こるものなのです。



中間層マネージャーの“血の通ったマネジメント”がカギ

上場企業の部長クラスを見ていて気付いたのは、彼らは立場上、下部組織の運営を“数値だけ”で行わざる負えません。


物理的な距離もありますが、指示系統が正確に機能し、直接的に命令できる人数は最大12名ほどと言われている中で、下部組織が大きい上層マネージャーほど、数値を中心としたマネジメントを行うしかありません。


しかし、現場で起こるコンプライアンスの問題は『人間性や感情の問題』が中心です。


この点で、上層部の人材はコンプライアンス違反を防ぐための制度設計はできても、本質的に予防が行えるのは、より現場に近い中間層のマネジャーたちです。


以前の記事で、ピクサーやネッツトヨタ南国、サイボーズなどを例にあげ、『感情や人間性の問題』が介在しないぐらいのプロ集団を作る手法についてお伝えしましたが、


コンプライアンス違反を予防するためには、『感情・価値観・人間性』といった“目に見えない影響力”をコントロールできる中間層マネージャーの育成が必要不可欠なのです。


そういった意味で、企業成長に合わせて、メンバーシップ強化型のマネジメント開発や、コーチングスキルの習得などが非常に有効です。




まとめ

●関係性の質
●文化
●体質
●チームマネジメント

日本企業の経営者の方々は、こういった“目に見えない影響力”の重要性をなぜか理解できない傾向にあります。


しかし、これらの影響範囲はコンプライアンス違反の防止だけに留まりません。


例えば、ジョブ強化型のマネジメント中心の企業と、メンバーシップ強化型のマネジメント中心の企業とでは、調査期間の5年間で売上が2倍、利益ではなんと756倍の差がみられたという統計調査まであるほどです。
ジョブ強化型・メンバーシップ強化型マネジメントの詳細はコチラ


ぜひ、一度自社の体質・マネジメントについて客観的に見つめ直してみて欲しいと思います。


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