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夏の夜はコインランドリーへ

6月末の気温や肌に触れる風、私が他の月より鮮明に覚えているのは、きっと誕生日が近いからである。

去年の6月より、今年の6月は圧倒的に暑い。
暑い と 熱い の区別がつかないくらいにあつい。

わたしはとにかくあついのが苦手だ。
体温の上昇を防ぐためか、体に炭水化物が上手く入らなくて蕎麦しか食べれないし、真昼間に外を歩くなんてお金くれなきゃしない。

そんなあつさに弱いわたしのマイブームは、夏の夜にコインランドリーへ出掛けることだ。

これは世界共通なのか知らないが、コインランドリーって年中明るい。
壁の色は白か青で、畳む用のテーブル、待機用のチープな椅子が並べられがちである。
そして、出入りする人間はわたし含め極めてくつろいだ服装で来る。


わたしはなぜか、それがものすごく気に入っているのだ。



わたしが座っている正面でわたしのおうちで使ったタオル達が、何故か徒歩7分のこの場所で、他所の家のタオルの隣でぐるぐる回っていて、わたしはそれを見ながら、チープな椅子に座ってお酒を飲む。

たまに隣で缶の緑茶ハイを飲んでるおじさんがいたり、近所のスナックのお姉さんが華々しいピンクのタオルを取りに来たり、雨が降った日、着ていた服を脱いで、そのまま乾燥機に放り入れ上裸で帰っていくお兄さんがいたりする。
わたしはそれらの群像劇を見ながら、またお酒を飲む。

コインランドリーは人が他人に見せない一番ラフな状態で来るお店だとわたしは思う。
だから好きだ。
服装に縛られず、寝癖さえコインランドリー内ではファッションの一部だ。
わたしがゴシップガールを見てニヤニヤしたとしても、川上未映子さんの小説を読んでいたとしても、誰も咎めない。
ただ乾燥された洗濯物が並び、無数の丸い窓の奥で、洗濯物達が踊っている。
わたしはその音を聞きながら、他のものに没頭するこの瞬間が堪らなく好きで、
更に言えば、乾燥かけ終えたフワフワの洗濯物達を抱きしめて、アイスでも食べながら帰る道も好き。

わたしがコインランドリーに行く夜は、常に完璧、何に対しても文句がない夜だ。


ここまで打っていたら、新しいお客さんと共に蜂が侵入してきて軽く大惨事になったけれど、眩しいくらい明るいからしょうがないことだと、割り切ることにする。

でも何を書こうとしたか忘れてしまった。これもしょうがないことにする。

夏の夜はコインランドリーへ。
一度行ってみることをおすすめします。

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