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【高校バスケ】福岡第一と福岡大学附属大濠 戦いの軌跡にあふれる希望~2019~

「バスケットボールファンとして、こんなにもワクワクするドラマチックな展開には出会ったことはありませんでした。」

僕は小学校3年生の時にバスケットボールと出会い、学生時代、そして現在も指導者として長い間バスケットボールに関わりながら生活しています。選手の時も、指導者になってからも、バスケットボールの試合をたくさん見てきました。ミニバス、中学校、高校、大学、社会人、Bリーグ、NBAなどカテゴリーは様々ありますが、昨年度に関しては【高校バスケ】が僕の中では一番アツかった。

さて、記者でも編集者でもありませんが…!

僕の心を動かし、僕にバスケットボールをもっと好きにさせてくれた

2019年度の「福岡第一高校」と「福岡大学附属大濠高校」が歩み、戦ってきた1年間の軌跡を、僕が見た8回の試合的な観点から、ここに綴っていきたいと思います。

読んでいくにつれて、「チームの変貌」がわかり

最後には、「ドラマチックな展開」が待っています。

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①新人戦 中部ブロック上位リーグ

福一(福岡第一):河村・小川のスピードとシュート力、神田の3p、スティーブのリバウンドアタック。攻めの起点はスティーブのローポスト。福一のお家芸でもある速攻は、この段階ではスティールしたプレイヤーがそのままシュートにいくような場面がほとんどで、チームとしての形はまだできていなかったように感じる。それでもリバウンドには必ず3人~4人参加し、ポゼッションを多く獲得していた。

大濠(福岡大学附属大濠):横地の1on1、木林の外角とドライブ、西田のテクニック。横地のジャンパー、ローポストアタックが脅威的な強さを発揮していた。切り替えも速く、パスでつなぎ速攻をつくる。キックアウトからの外角の精度はこの時点で高い。相手センターのローポストアタックは徹底してダブルチームで封じていた。

◇この時の両チームの印象は、互いに「個の力」によるバスケットボールの展開。一試合通してジャッジに違和感を感じる雰囲気であったが、選手たちはお互いを励まし合いポジティブに試合をしていた!リバウンドによるポゼッションとゴールしたシュートの決定力の差はあり、結果88対74で福一の勝利。

②新人戦 決勝リーグ

福一:攻めのスタイルは特に変わっていないが、速攻時の両ウイングの走りだしが速くなり、走り切る場面が前回より増えた。得点をビハインドする状況が長く続いたゲーム展開だったが、河村のクラッチシュートの一撃が絶妙なタイミングで決まる。まさに福一の勝負強さそのものである。3Q終盤からのオールコートプレスDF、ダブルチーム、ローテーションの連携とフットワークは凄まじく、相手の認知・判断・実行を一気に狂わせる。

大濠横地のシュート、ドライブ、アタックが止まらない。全体的にも、冷静なプレーの中で相手DF(ディフェンス)を崩してシュートチャンスをつくりだし、横地・木林をはじめとし3pの成功数が多かった。ボックスアウトを徹底しリバウンド・ポゼッションを堅実にとる。速攻時の切り替えも速く、アウトナンバーをしっかりと決めていた。しかし、後半終盤の相手DFによってシュートセレクションが悪くなり、ターンオーバーも増えてしまう。

◇最後までどうなるかわからないゲーム展開。両チームのレベルの高さ(チーム力、個人能力、采配)が伝わる一戦。DFから流れを引き寄せる力と残り数秒での勝負強さが勝敗の分かれ目になり、結果67対63で福一の勝利。

③全九州(春季) 決勝

福一:序盤から速攻が炸裂。スピーディーな展開から小川・河村の外角シュートが入る入る。そして激しいプレッシャーDFから、内尾・神田のウイングラン、スティーブのリバウンドプッシュ&リムラン、河村・小川のミドルレーンアタックからレイアップフィニッシュ量産。攻防が変化するいかなる時も、ボールをバックコートからフロントコートに素早く運び、ランでチャンスを作り出す。2対1、3対2の完全アウトナンバーであろうと必ず4人がゴールに向かって走りセカンドチャンスのフォローに徹する。ハーフコートOFでは流動的なパッシングムーブからピック&ロール、カッティングでペイントアタック。ベンチから出場の山田・仲田・アリ・ハーパー・當山も力を発揮。選手層の厚さも感じた。

大濠:ガードとしてボールを運び、攻め、得点を量産してきた横地が相手のDFに苦しみタフショットが増える。全体的にもOF(オフェンス)のリズムができず、OR(オフェンスリバウンド)もとれないためなかなかスコアできない。DFも相手のトランジションにハリバック&マッチアップの対応が遅れてしまう。それでも西田・木林・田邉・平松がそれぞれ1プレー1プレー奮闘するも、終始自分たちのリズムを作ることができなかった。

◇終始、福一ペースのゲーム展開となった。ここまで個の力で打破するプレイが目立っていたが、そこに組織としてのチーム力が加わり、「福岡第一」の形が確立しつつあるようだった。結果98対60で福一の勝利。

④インターハイ予選 中部ブロック決勝

福一:DFシステムの機能が高精度。カバー、ローテーションが必ずある前提でのダブルチームトラップが積極的かつ多彩。1線プレイヤーは常に相手プレイヤーの目の前にいる状態をつくり、プレッシャーをかける。2線・3線プレイヤーは相手のペネトレイトからの合わせをスティールできるように狙いすます。クローズアウト・ルーズボールは全力。ペイントエリアでは基本フルフロントで守り、ボールを中に入れさせない。全体的なDFの意識としては「1対5」の構図を作り出しているイメージであった。

大濠ゾーンDFとハリバックの強化で、相手にアップテンポなバスケットをさせない。また、序盤からオールコートゾーンプレスををすることでプレッシャーをかけ続ける。ボックスアウトの徹底と全員でリバウンドに参加する意識から、確実にDFリバウンドを確保しポゼッションを獲得していた。OFはコートを広く使い、スペースを上手く使って1対1を起点に攻める。その中で、平松が積極的にドライブを仕掛け、丁寧にボールをさばき、高確率な外角のシュートで対抗した。

◇互いにDFとリバウンドの意識が高く、パッシングや1対1で有利なスペースを作り出し、1プレ1プレーを大事にする姿勢の質が高い。その中で、チームの流れを要所要所で作り出した福一の多彩かつ強固なDFからじわじわと得点に差ができていった。結果67対50で福一の勝利。

⑤インターハイ予選 福岡県大会決勝

福一:序盤から相手の組織化されたゾーンDFに苦しみ、自分たちのリズムを作り出せない。相手のハリバックが速いため速攻もやり切れず、またレイアップがタフショットとなり得点につながらない。また、相手のカウンターやスペーシングを使ったOFを止めることができず1Qで12点のビハインドとなる。しかし、その状況に風穴をあけたのは、河村。一瞬の隙をつくドライブ・ペネトレイトでファウルをもらいコツコツとフリースローを獲得する。スティーブもペイントエリアでコツコツとリバウンドシュートを決める。そして2Q開始5分、ゾーンプレス開始。自分たちの持ち味である激しいプレッシャーDFから少しずつ自分たちのリズム作り出す。そして得意のトランジションからの速攻(3線形成→トレーラー→センター)でペースをつくり、一気に逆転する。その勢いは止まらずブレイクポイントを積み上げながら、相手のゾーンプレスからの追撃をかわし、最終的にゲームをコントロールした。

大濠:開始早々、ゾーンDFが機能する。フットワークを使い、外をしっかりとケアしながら中も固める、組織化されたDFにより相手のリズムを狂わせる。より徹底されたハリバックから相手に速攻を許さず、より徹底されたボックスアウトからDFリバウンドの確保に成功し、カウンターブレイクが炸裂。ハーフコートOFでは足を止めずにスペーシングをとり、フォーメーションも多彩に組み込む中で人とボールがよく動く。田邉・木林の3p、西田のバスケットカウント、横地・平松の視野とペネトレイト、そしてルーキー岩下のセンス光るテクニックで、最高の前半を作り出し、7点リードで折り返し。しかし、3Q早々、相手のゾーンプレスからのスピーディーな展開に飲み込まれはじめる。相手のペースとなっても、我慢強く自分たちのバスケットをしようとするが、前半と比べると足がとまり、シュートが単発となる。それでも、平松・西田(弟)が3pを要所で決めるが、苦しい状況となってしまう。それでも、まだ残っている力をふりしぼりゾーンプレス。トップ、45度、コーナーからの木林と西田(弟)の3pが爆発。最後まで諦めなかった。

◇高校の体育館が会場でのIH予選決勝。会場が観客で埋め尽くされ、動画からも伝わる熱気たっぷりの雰囲気の中でのゲーム。この節目の大一番!大濠が前半猛ラッシュ、福一が追いかける展開となり、形勢逆転後もハラハラドキドキがとまらない一戦であった。まさに意地と意地のぶつかり合い。最後は、ここまでの県・九州王者としての意地を見せ、結果78対71で福一の勝利。

⑥全九州選手権決勝

福一:DFもOFも運動量が増していく。序盤から河村・内尾が前線で激しいプレッシャーをかけ、相手に攻めのリズムを作らせない。周りも足を動かし、カバー・ローテーション・ダブルチーム・オールコートプレスと次々にDFシステムが作動する。そして、そこからの速すぎるトランジションからブレイクポイントを量産。相手のミスショットが起きたとき、ブロックショットが起きたとき、スティールが起きたとき、相手のショットイン後、、、常に速攻を生み出すかのように、徹底してそれぞれの役割をチームのために果たそうとするプレイの中1Q終了時点で19点差のリードを作った。2Q以降も、相手のゾーンDFやゾーンプレスに対して、巧みなゾーンアタックで攻略し全く相手を寄せ付けない。そこからも攻撃の質は落ちず、ベンチメンバーも出場しながらゲームを進めた。シックスマン山田、アリの成長がこの試合で見て取れる。

大濠:マンツーマン、ゾーンDF、ゾーンプレスと、戦況に応じてシフトチェンジしながらDFをする。しかし、相手に巧みに攻略されてしまいなかなか機能しない。それでもOFは、トランジションからの速攻をよく作り出し、アウトナンバーを着実に決めるペネトレイト→キックアウト→3pと相手のDFを崩してシュートにつなげる得意のパターンは驚異的。また、木林がペイント2・3pと積極的に攻め続け、オールラウンドっぷりを発揮する。それぞれが自分の役割を果たそうと奮闘するが、相手の勢いを終始止めることができなかった。ベンチからは高木や西田(弟)が出場し、経験値を蓄えた。

◇IH予選決勝のあの大激戦から約20日後と、短いスパンでの対戦となった。終始福一のペースで試合が進む中で、大濠も色々なプレイを試しながら対抗した。両チームまた一段階レベルが上がった中でのゲームであったが、福岡第一の進化し続ける速さと強さとテクニックに、福大大濠は勝つために何が必要なのかを今後知るための1つの大きな経験となったように感じる。結果100対81で福一が勝利。

⑦ウィンターカップ予選 福岡県大会決勝

福一:河村を筆頭に、アップテンポなバスケットを展開する。しかし、相手のハリバック・マッチアップが速く、なかなかやり切れない。それでも徹底して臨機応変に全員で走る。ハーフコートでは、スティーブのハイピックでできるズレの利用、ペネトレイトに対する合わせの動きでフリーを作り出し、着実に得点を重ねる。DFでは、チームとしては相変わらずの強度であるが、特に内尾が相手エースにもはや何もやらせない働きを見せる。前半のはやいタイミングでベンチから山田・仲田・ハーパー・アリが出場するが、余裕を持ってプレーし、チームにさらなる勢いをつけた。3Q、やり切れなかった速攻が1本成功すると、試合の状況が変わったかのように次々と速攻を成功させ、優位に試合を運ぶ。残り3分で相手が仕掛けたゾーンプレスに一瞬はまってしまうが、すぐに得点を取り返し20点差をつける。しかし、4Q残り6分から状況が変わる。相手のゾーンプレスに対して、ミスが連発。残り1分50秒には9点差まで縮められてしまう。このまま相手の勢いにのまれてしまうのかと思った矢先…スティーブがバックコートから単独でボールを運び、そのままゴールにスラムダンク!!!そのあとの相手の速攻を次々とブロックショット!!!最後は相手のチャンスをことごとく断ち切った。

大濠:先制点は西田のバスケットカウント3p。続けと平松が3pで幸先の良いスタートを切る。OFはスペーシング→パッシング→1対1→合わせと高レベル。サインプレーの組織的な動きの中で、1プレー1プレーを確実にシュートにつなげる。また、相手DFのマッチアップ状況を見て、すかさずミスマッチをつきゴールにアタック。しかし、横地が相手のDFに対して思うようにプレーができず、チームの得点が伸びない。それでも、DFは素晴らしい意識とフットワークで全員のハリバック・マッチアップが素早く、相手に攻撃をやり切らせない。前半ベンチから出場の間山もシュート・リバウンドと存在感をみせ、食らいつく。そして後半、継続して防いできた相手の速攻を1本許してしまう。そのプレーをきっかけに相手の勢いが加速し、点差が20点となってしまう。それでも諦めない。3Q残り3分、ゾーンプレス発動。相手のミスを誘発し、得点につなげるがそう簡単には点差を縮められない。最終クオーター、それでも闘志を消すことなく我慢強くプレーを続ける。そして残り6分30秒、岩下のペネトレイトからこぼれたボールを田邉がキャッチしペイントショットをねじ込む。ここから展開が変わり始めるゾーンプレスが再度機能し、平松・高木・木林・横地・西田と猛攻撃が始まる。残り1分50秒、ついに9点差。しかし…その後、相手のセンターの攻守にわたる活躍によって流れを断ち切られてしまう。それでも諦めず、チャンスを作り出し、ゴールにアタックし続けた。

◇両チーム、一進一退の攻防を最後まで繰り広げた試合となった。福一の闘志・冷静さ・順応力・徹底力に圧巻。大濠の闘志・戦略・アクション・諦めない心に圧巻。最後はまさに「個の破壊力」が勝負の明暗をわけた。69対60で福一の勝利。

⑧ウィンターカップ 決勝

【戦いの軌跡~2019~はここで幕を閉じた】

互いの高校バスケ最後の試合が

ここまで何度も戦ってきた、同じ地区・同じ県・同じ地方のチームとだった。

まさに戦友。

日本一を決める最高な環境で

連覇か、下剋上か
最終的にどちらが強いのかが決まる最高なシチュエーション。

こんなにもドラマチックな展開はありますか?

勝負の世界で互いに勝負にこだわり、

バスケットに懸けてきた努力という名の人生が生み出したのは、

まさに、最高の試合であった。

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マニアックなこの文章を、

どれだけの人が読んでくれるのかはわかりませんが…

この両チームが共に歩んできた戦いの軌跡を、ぜひ見てほしい。

そこからあふれる希望を、ぜひ感じてほしい。

バスケットボールというスポーツを

もっとたくさんの人が知り、もっとたくさんの人が好きになり、

「バスケで日本を元気に!」

していけたらいいと思います。

※ここまでの8つの試合は、全てYouTubeで見ました。

#コーチD #WeLoveBasketball5 #カツオくんさん

いつも配信動画に楽しませてもらっています。この場を借りて感謝申し上げます。






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